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39 水の道(宰相視点
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「北の山よりひいておりました水道から水が届きません!」
「王宮大庭園の噴水が止まっております!」
今度は水のトラブルが続出し始めた。
「水道は専門の機関があっただろう! 怠慢か?!」
「そ、それが今まで通り仕事をしていたと」
今まで通り?その言葉に強い焦燥感を感じる。まさかここもなのか?
「まずは責任者に話を聞くぞ。呼び出し済みなんだろうな?」
「はっ!」
私の部下はそう短く答える。もう厨房のことに構っている暇はない。水道が長期間止まるのは一大事だ。王宮の長い廊下を靴音を鳴らして歩く。
執務部屋に向かう途中、王宮の中庭が目に入った。
「……」
いつも何気なく見ている中庭には大庭園とまではいかないがここにも噴水が設置されている。他国からの貴賓が思わず立ち止まり感嘆の声を上げる中庭のはずなのに今は芝生は茶色に枯れ、木々も生気を失い倒れかけていた……いつからこんな酷い状態になり果てていたのだ!?
そしていつも滔々とあふれていた澄んだ水はなく、どす黒く腐った水が溜まっていて、異臭すらしていた。
「庭師はどうした」
私はつい足を止めて、惨状に顔を顰める。
「……全員辞めました」
「何故」
「どれだけ世話をしても枯れる一方なのだそうです。庭師たちがいうには、土地に見捨てられたのだと。何のことか分かりませんが無能者はは必要ないと思いましたので」
「庭の手入れができない庭師は確かに無能と呼ばざるを得ないな」
私は止めていた足をまた動かす。何故新しい庭師を雇わないのか、それを追求するより先に水道の件を何とかしなければならないからだった。
私の執務部屋には真っ青な顔の水道科の主任が立っていた。
「理由を聞こう」
「そ、それが」
主任がしどろもどろの説明に私は立ち上がって机を殴りつけた。
「またあいつかっ!!」
この王都は古来より水に悩まされて来た。大きな川が近くになく、水脈も地下の深い所を走っているので井戸も深く掘らなければならなかった。
しかし、そこに水道が引かれたのだ。
乾いた王都は一気に潤った。人々はその冷たく澄んだ水に感謝し、作物も取れるようになり、国は生き返るようだった。水道が通過する土地は農地として良く利用できるようになり、町や村が爆発的に増えた。
皆でこの水の道を守り続けると約束したのに。
「む、村々で水道の管理が甘く……ゴミが詰まったり、壊れたり、その、それで決壊した場所も多く……」
「それを管理するのが水道課の仕事だろう! お前達は何をしていたのだ!」
「わ、我々は以前と同じようにしていました! でも、でも……我々の回っていない小さな村で問題が起こり」
「何故回らない村があるのか、それも追求したい所だが何故以前は問題がなかったのに、今は水が途絶えたのか」
水道課の主任は口の中で何か言いづらそうに噛み締めていたが、とうとう吐き出した。
「ち、小さな村の隅々まで回っていたのは、その……イアン将軍の、部下で……その、補修も彼らが個人的に行っていた物も多く……それで、あの……将軍が、処刑されてから、誰も見回らなくなり……」
信じられない話だが、主任は嘘をついているようには見えなかった。
「急いで復旧の手配はしていますが、水道課にも、その……予算が限られていまして」
頭の痛いことだが、この国は福祉や公共設備に金を出し渋る。戦争にはあんなに予算を割く癖に、国民の暮らしの為に使う金は雀の涙だ。だがそれでもこの国は回っていたのだ。
「予備費を回す。早く復旧させよ」
「は、はい! ありがとうございます」
「復旧までの水源は……王宮の水は大庭園の噴水でも使うしかないか?」
私がどこから水を引っ張るか考えていたところだが、部下からありえない言葉が返って来た。
「大庭園の噴水も止まっております……中庭の物と同じくらい……その、腐って」
「アレは水道とは別の水源であっただろう? 何故止まる?」
「……あの……精霊が怒っていると魔導士どもが。見ていただくのが手っ取り早いかと思われます」
私は今度は大庭園まで移動することになってしまう。
「王宮大庭園の噴水が止まっております!」
今度は水のトラブルが続出し始めた。
「水道は専門の機関があっただろう! 怠慢か?!」
「そ、それが今まで通り仕事をしていたと」
今まで通り?その言葉に強い焦燥感を感じる。まさかここもなのか?
「まずは責任者に話を聞くぞ。呼び出し済みなんだろうな?」
「はっ!」
私の部下はそう短く答える。もう厨房のことに構っている暇はない。水道が長期間止まるのは一大事だ。王宮の長い廊下を靴音を鳴らして歩く。
執務部屋に向かう途中、王宮の中庭が目に入った。
「……」
いつも何気なく見ている中庭には大庭園とまではいかないがここにも噴水が設置されている。他国からの貴賓が思わず立ち止まり感嘆の声を上げる中庭のはずなのに今は芝生は茶色に枯れ、木々も生気を失い倒れかけていた……いつからこんな酷い状態になり果てていたのだ!?
そしていつも滔々とあふれていた澄んだ水はなく、どす黒く腐った水が溜まっていて、異臭すらしていた。
「庭師はどうした」
私はつい足を止めて、惨状に顔を顰める。
「……全員辞めました」
「何故」
「どれだけ世話をしても枯れる一方なのだそうです。庭師たちがいうには、土地に見捨てられたのだと。何のことか分かりませんが無能者はは必要ないと思いましたので」
「庭の手入れができない庭師は確かに無能と呼ばざるを得ないな」
私は止めていた足をまた動かす。何故新しい庭師を雇わないのか、それを追求するより先に水道の件を何とかしなければならないからだった。
私の執務部屋には真っ青な顔の水道科の主任が立っていた。
「理由を聞こう」
「そ、それが」
主任がしどろもどろの説明に私は立ち上がって机を殴りつけた。
「またあいつかっ!!」
この王都は古来より水に悩まされて来た。大きな川が近くになく、水脈も地下の深い所を走っているので井戸も深く掘らなければならなかった。
しかし、そこに水道が引かれたのだ。
乾いた王都は一気に潤った。人々はその冷たく澄んだ水に感謝し、作物も取れるようになり、国は生き返るようだった。水道が通過する土地は農地として良く利用できるようになり、町や村が爆発的に増えた。
皆でこの水の道を守り続けると約束したのに。
「む、村々で水道の管理が甘く……ゴミが詰まったり、壊れたり、その、それで決壊した場所も多く……」
「それを管理するのが水道課の仕事だろう! お前達は何をしていたのだ!」
「わ、我々は以前と同じようにしていました! でも、でも……我々の回っていない小さな村で問題が起こり」
「何故回らない村があるのか、それも追求したい所だが何故以前は問題がなかったのに、今は水が途絶えたのか」
水道課の主任は口の中で何か言いづらそうに噛み締めていたが、とうとう吐き出した。
「ち、小さな村の隅々まで回っていたのは、その……イアン将軍の、部下で……その、補修も彼らが個人的に行っていた物も多く……それで、あの……将軍が、処刑されてから、誰も見回らなくなり……」
信じられない話だが、主任は嘘をついているようには見えなかった。
「急いで復旧の手配はしていますが、水道課にも、その……予算が限られていまして」
頭の痛いことだが、この国は福祉や公共設備に金を出し渋る。戦争にはあんなに予算を割く癖に、国民の暮らしの為に使う金は雀の涙だ。だがそれでもこの国は回っていたのだ。
「予備費を回す。早く復旧させよ」
「は、はい! ありがとうございます」
「復旧までの水源は……王宮の水は大庭園の噴水でも使うしかないか?」
私がどこから水を引っ張るか考えていたところだが、部下からありえない言葉が返って来た。
「大庭園の噴水も止まっております……中庭の物と同じくらい……その、腐って」
「アレは水道とは別の水源であっただろう? 何故止まる?」
「……あの……精霊が怒っていると魔導士どもが。見ていただくのが手っ取り早いかと思われます」
私は今度は大庭園まで移動することになってしまう。
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