【完結】おっさん軍人、もふもふ子狐になり少年を育てる。元部下は曲者揃いで今日も大変です

鏑木 うりこ

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46 剣を習おう

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「おいしー!」

 ぱくぱくもぐもぐ。最近ラセルのご飯を食べる量が増えて来た。これは成長期だ! 子供の成長期、こんな素晴らしい時期を見逃す私じゃないぞ!

「ラセル、剣を覚えようよ」
「えっ!カッコいい!! ぼくがんばる!」

 この国は王族がなぜか知らないけれどやたらと交戦的だ。暇があればすぐ他国に戦争を仕掛ける。なので徴兵制度は厳しいし、文化は発展しない。大人になって突然ぽいっと戦場に放り込まれることも少なくないんだ。そんなの死んじゃうじゃない? 私の下に配置された新兵達は何かと面倒を見てやれたけど、他の部隊の子達なんて本当に生き残れる子が少なかった……少ないからまた新兵が配置され……嫌な連鎖の繰り返し。
 そんな連鎖にラセルを巻き込ませる訳には行かない!

「ヘイズさんに教えて貰おうよ」
「うん! ヘイズさんってどこかの剣士だったんだよね! 6本も剣を使うなんてどうやるんだろ?」
「……知らなーい」

 本当は知ってるけど、まあ見た方が早いよね。ヘイズはラセルの家よりもっと街道側の方に大きな掘立て小屋を建てて住んでいる。
 私とラセルが朝食を食べた後に尋ると、家の前の畑にはヘイズの次の弟ハインがいて野菜を収穫していた。

「ハインさーん、ヘイズさんいる?」
「兄貴なら弟達とやり合ってる。道場の方へ行ってみな」
「分かったー!」

 ヘイズと似ているけれどちょっと違うハイン。ラセルと一緒にほったて小屋の皿に後ろの更にテキトーに立てた広い小屋……小屋? 塀と屋根があるだけの自称道場に行くとすごい声が聞こえてくる。

「次っ」
「うおーっ! ぐっ!」
「次ィ!」
「はいっ!!」

 ガキンガキンと鉄を撃ち合わせる音が聞こえて来て、ヘイズ達が訓練中だとすぐにわかった。

「やってるきゅん」
「わあ……凄いねぇ」

 六剣のヘイズは6人兄弟の一番上の兄ちゃんなんだ。だから本当は6本の剣をヘイズが持って戦う訳じゃない。6人で一斉に攻撃をする、それがヘイズ達の戦闘方法なんだ。だから六剣なんだよね。
 あれはまだ私が若かった頃、ある日まだ若かったクソ小生意気なヘイズが弟達を引き連れて立ちはだかった。

「絶対に役に立つから、弟達に飯を食わせてくれ」

 ってね。ヘイズ自身も腹が鳴ってたのに、自分のことはどうでも良いからって……感動したよね。でも私の元にいるということは必ず戦争に巻き込まれる。それは可哀想だと思って暫くしたら出ていくようにいったのに最後まで残っちゃって……ヘイズも結局お人好しなんだよなぁ~。

「イアン? イアン?? どうしたの?」
「きゅっ?! な、なんでもないよ、ラセル」

 ふう、昔の思い出に浸っちゃった。ま、ヘイズ達兄弟は皆デカくて強い剣士になっちゃったし、しょうがないさ。

「お? ラセルとイアンじゃん、どしたぁ?」
「ホークさん、僕ね剣を習いたい!」
「んんっ、よくぞ言った! その言葉を待ってたぞ! やっぱり男の子は剣だよなー! 魔法なんて剣でぶった斬れば良いんだからな! 兄貴達ーラセルが剣士になるってよー!」
「本当?!」
「よっしゃ! 最強の剣士にしてやるぜ!」

 末弟のホークが全員に声をかけると、暑苦しいのがワイワイと寄ってくる。や、やめて!剣で魔法を斬るとか教えないで欲しい!

「簡単だよ。結局どんなもんにも隙と綻びがある。そこをバッとやってズババってすれば斬れる」
「わあ、かっこいい!」

 不味い、このままではラセルの脳まで筋肉にされてしまいそうだ……ヘイズに剣を習うのは駄目だ、脳筋良くない!
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