【完結】おっさん軍人、もふもふ子狐になり少年を育てる。元部下は曲者揃いで今日も大変です

鏑木 うりこ

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111 ぼく、嘘なんて言ってない

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「よく考えろ、ラセル。王族だぞ?平民では出来ない贅沢な暮らしができるんだ」
「王様が贅沢をしちゃ駄目だって、ぼく教えてもらったよ。王様が贅沢をして仕事をしない国は皆迷惑するって。王様はいい物が食べられるくらい忙しくて責任重大な仕事をするから、いい物を食べるんだ。それに王様は自分の好きなものを食べられないってマリアお姉さんが言ってた。ぼく、プリンとか食べたい」
「マ、マリア……一体誰だ?」
「ファーマ帝国に住んでるマリアお姉さんだよ。リゼレン大隊長の教え子で僕の姉弟子なんだ」

 そういえばマリアお姉さんは貴族っぽかったけど、誰なんだろう?でもミニィさん達が信用している人っぽいし、凄くいい人だからきっといい人だと思う。

「……ラセルの口から随分な名前が飛び出してきたが、ファーマのリゼレン大隊長とラセルはどんな関係か教えてくれないか? 」

 伯父さんに聞かれて、ぼくは素直に答える。

「ぼく、リゼレン大隊長に剣を習っています。流麗剣っていって軽い剣でも戦えるからぼくみたいな子供でも学べるんだそうです」

 ……どうしてみんな目を真ん丸にしているんだろう?ぼくが大隊長から剣を習うことは変なことだったんだろうか?

「……あの、リゼレンの流麗剣、だと?あれは門外不出の秘剣ではないのか? 」
「待て、リゼレンの剣を習う姉弟子のマリア……まさかマリアネット……マリアネット皇帝、まさか」

 ざわざわとその場にいた人達が話を始めてしまった。お祖父ちゃんはまだぼくを見ているけれど、さっきと目つきが違う。お祖父ちゃんも驚いた顔をしている、何かぼくはまずいことを言ってしまったんだろうか……早く帰ろう、その方が良い気がしてきた。

「ぼ、ぼく……帰ります。伯父さん、お祖父ちゃん会えてよかったです! 」

 ぺこり、と頭を下げて出口に向かって歩き出そうとして思い出した。

「あ、伯父さん。あの短剣を返してもらえますか?あれ、ぼくのなんです」
「短剣……?」
「はい。黒い鞘に入って、柄に赤い小さな石がついてる短い短剣です。この国に来た時初めて入った遺跡で見つけたんです。遺跡で見つけたものは見つけた人の物になるんでしょう?だから、ぼくのです」

 もう一回皆がさっきより目を大きくして真ん丸になった。あっこれ言っちゃ駄目な奴だった!?

「ラセル、聞くが嘘偽りなく答えよ。あの短剣とはデンブル・リトスが持ち込んだあの短剣か? 」
「は、はい……。遺跡で見つけて、お父さんのお父さんに会いに行くときにリトス家に置いて行きました。そして帰ってきたらデンブルさんが迷惑料だったか慰謝料だったかの代わりに貰っていくって勝手に持って行ったんです」
「……遺跡で見つけたといったな。なんという名の遺跡だった?」
「えーと……始まりの遺跡だったと思います」
「あれは小さな遺跡だったはずだが、その、どこにあったのだ?」
「地下三階に……」

 質問に答えながら周りのざわざわが収まらなくてどうしたらいいか分からなくなってきた。

「地下三階?あの遺跡は2階までしかないはずだぞ?」
「隠し階段があったのか?いやしかしあれは随分と内部をくまなく探してそんなものはないと判断されているはず」
「それならまだリトス伯爵令息の冒険者から買ったという方が信じられるぞ」

 ぼくは信用されていないみたいだった……嘘は言っていないけれど、周りの人達はぼくを嘘つき呼ばわりしているみたいで酷く嫌な気分になってくる。

「……信じて貰えないんだ……」

 仕方がない諦めよう。あれはぼくのだけれど、ここのお城の人達にあの短剣はとても大切な物みたいだったからここに置いて行こう。何か機会があればぼくの所に帰ってくる気がするし、多分。ざわざわする人達の中で、伯父さんは僕を見ていた。ぼくの話に嘘がないか見抜こうとする鋭い感じの目がぼくを捕らえている。でもぼくは嘘は言ってない、伯父さんの目をまっすぐに見返すことができる。



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