【完結】おっさん軍人、もふもふ子狐になり少年を育てる。元部下は曲者揃いで今日も大変です

鏑木 うりこ

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117 うちの子のお口が悪い

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「わ、私はなんてことをしてしまったんだ……」

 ガックリと両膝をつくアウレア・ガルエンを慰める者は誰もいない。

「本当だよ」
「全くだ」
「今更何言ってんだ」

 私もがっかりだ……本当に何のために私は殺されたんだ……?それでもアウレア・ガルエンを責める気にもならなかった。何故なら彼に対する気持ちはやっぱり「どうでもいい」だからだ。
 それに今の暮らしが楽しいというのもある。だってとても自由だ。部下たちも楽しそうだし、それにラセルとの生活はとても楽しい。
 あのまま生きていても納得出来ない戦場に送り込まれ、可哀想な兵士達に死ぬ事を強要し続けなくては行けなかった。何の罪もない若者に死ねというのはやっぱり何度やっても嫌なものだ。

「はあ、くだらない……」

 そんな言葉と共にため息が出ても仕方がないよね。

 そんな絶望したアウレア・ガルエンの前に彼が連れてきた騎士達が立った。

「話は済んだか?ミニィ・ワイアード、いやもう姓はないな、貴様らは目障りだ。養父の元に我々が送ってやろう」
「アウレア・ガルエンの護衛かと思ったら我々の暗殺でも依頼されていたのか?依頼主は宰相か?公爵か?くだらない事を考える狸が多すぎる」
「ふん、貴様らが知る必要などない」

「ゴライ公爵ですよ。まあ宰相も黙認しましたが」
「ああ!あの目の下が真っ黒な本当に狸みたいなやつか」
「それです、それ。最近は金髪のカツラを新調してそこだけ浮いてる奴です」

 騎士達は依頼主を喋らなかったが、クレヤボンスは把握していた。ついでに余計な情報まで把握していた。会ったら引っ張ってみろって事?

「いつも強い奴にくっ付いて甘い汁を吸っていた男でしたが、大将を失った我々にならば勝てると目算したようでして」
「なるほど、実情を知らない中央狸の言い出しそうなことだね」
「ほう……なら、色々教えてやった方が良いよなあ?今までめんどくせぇからてきとーに相手してやってたけど、世間ってモンをさあ?」
「そうだねぇ、ヘイズ。世間は結構辛く厳しいからねえ、きっと彼らの為になるよ」

 うんうん、と私が頷くとタムは口をむぎゅっと不満げに曲げた。

「大将演技下手ですよねえ、ミニィを見習ってくださいよ。騎士達にそんな感情持ってないのにバレバレですよ」

 ほっといて!

「だって彼らは私の部下じゃなかったし、いつも文句ばっかり人一倍でやることなす事ケチをつけてきたし、実力はないし」
「皆同じ気持ちでしたね!」

 そんな結構嫌いな部類に入る人たちにすら教えてあげる私達ってとっても心優しい!

「ま、教え方はこっちに任せてもらいますけどねぇ? 多少の命のとりあいなんて戦場じゃ珍しくないですしねえ? 」
「痛みと恐怖と共に覚えた事柄は忘れないっていうしな。まあその為にこの郊外を選んで誘い出した訳だし」
「こんな仕込まれた場所にノコノコやって来るお偉いさんの腰巾着共はホントおめでたい頭だよ」

 最初にクレヤボンスの薄い気配が完全に消える。そして退屈そうにしていたヘイズが笑った。

「大将はパムんとこが良いでしょうね。そのナリじゃ踏んじゃいそうだ」
「そうしとくか。じゃあいつも通り後ろでふんぞりかえってる」
「そう言いながらいつも最前線に出てるのは不思議ですよねぇ」

 知らないけど気がついたらいつもそうなってただけですー!でも今回はたくさんの人に認知されたくないし大人しく後ろへ下がろう。

 私がパムの所に着いたのを確認して、ミニィはニヤリと不敵に唇の両端を吊り上げた、すんごい悪人顔!

「クソ貴族のボンボン共が何ほざいてやがる。身の程って奴を教えてやるよ、講釈料はテメェらの命だがな!」

 やだっ!うちの子ったらお口が悪いっ!



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