【完結】おっさん軍人、もふもふ子狐になり少年を育てる。元部下は曲者揃いで今日も大変です

鏑木 うりこ

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124 私が作りました、ドヤァ

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 コンコン、小さく扉を叩くと聞きなれた足取りが近づいてくる。そしてロイにでもアドバイス貰ったのだろう、開ける前に声が聞こえた。

「誰?」
「私だよ、ラセル」
「イアン!! 」

 ぴょん、と飛びのいたから大丈夫だったけど、ぼーっとしていたらラセルが勢いよく開けた扉に鼻の頭をぶつけたかもしれない。でも私はそんなにのろまじゃなかった。

「ラセル!迎えに来たよ~まず、入っていい?」
「うん!あれ、でもここに兵士が立ってたよね」
「大丈夫、ちょっとおねむしてもらってるだけだから」
「怪我はさせてないよ。ちょっと締めると落ちる場所があるんだ」

 ミニィとタムが兵士を一人づつ締め落し、静かに部屋の中で縛り上げる。さて、素早く決断しないとね。やっぱりラセルが閉じ込められていた部屋は梟の間と呼ばれる部屋で、壁に大きめな梟の絵がかかっている。

「おーい、クレヤ。どう?そこの部屋が見れる水晶の横にある蓋がついてる管を開けて喋ってみて。聞こえるはず」
「大将~こうですか?」
「わあっ梟が喋った! 」

 絵画の梟からクレヤボンスの声が聞こえてくる、そう作ったからね。

「面白いだろう、これ」
「凄い凄い!これ、クレヤボンスさんの声?わー、どうなってるの?? 」
「後で行ってみよう。いろんなところから入れるからね」
「うん! 」

 笑顔のラセルを見るとこっちまで楽しくなってくる。良かった、君もこの無駄に色々つけたオモチャが好きだったよね。

「大将~この部屋埃まみれですね、誰も使ってなかったっぽいですよー」
「そりゃよかった。じゃあ私達はさっさと裏に潜ってしまおうか。そこで色々話し合いをしよう」
「待って、イアン。ぼく、あの短剣を取られちゃったんだ。あの短剣を取り戻したいんだけど、どうしたらいいかな?」

 悲しそうに声を落とすラセルに笑いかける。大丈夫さ、何も問題ないよ。

「あれは君にしか抜けないし、君の元に帰って来るようになっている物だ。それより私達は今は早く美味しいご飯を食べた方が良い……お腹が空いているだろ、ラセル」
「え?そんなこと……あ……」

 お腹の話をした途端、ラセルからぐ~~っといい音が聞こえてくる。きっと今まで緊張してお腹が空いている事も忘れていたんじゃないかな?

「あー、良いですね。パムの飯が食べたいな~」
「私はパスタが食べたいです。おひさまトマトにひき肉のアレ」
「わあ~美味しそう! 」

 うんうん、と頷いて私達は逃走を開始する。この城を知り尽くしているし、クレヤボンスが入った部屋はこの城のほとんどの場所を見ることができる裏の監視部屋だ。

「大将~移動するなら早くした方が良いです。交代の兵士が準備してますよ」
「おっと、見られると面倒だね。行こう。廊下に裏に入る入り口がある」
「わーわー! どこどこ?ここかなっ」

 ぴょんと廊下に飛び出したラセルはやっぱり当たりの場所を見つけて来た。

「あれ?何かスイッチがあるよ。押していい?」
「ああ、押してごらん」

 隠しスイッチを押せば隠し部屋の扉が現れる。その埃っぽい細い廊下にラセルは飛び込み、何も言わなくてもごく自然に持ち上げると灯りがつくランプを手にした。

「わーい、楽しい! 」

 ラセルは駆け出す。初めての隠し通路なのに、良く通ったことがあるかのようにどこへ繋がっているか把握しているかのように迷わずにまっすぐに。

「ミニィ、タム。ここにあるスイッチに魔力を少し流すと扉が閉まる。閉めると表からはほとんど見分けがつかない壁になるから気を付けて」

 そう言いながらやって見せると、二人はすぐに理解したようでコクリと頷いた。

「予備のランプはもう一つあるんだ。真っ暗になる前に持ち上げて……ああ、ラセルがあんな遠くまで走って行った。クレヤのいる監視部屋に向かったんだろうな~。まあクレヤも連れて一回城から出よう」
「ええ、そうしましょう。それにしても見事な作り……いや、あまり実用的じゃないなあ。よくこんな設計が承認されましたね」

 タムは荒く削られた内部通路の壁を撫でながら真剣に見ている。

「承認なんか要らないさ。私が勝手に作った物が大半だもの」
「へぇ~義父上は築城技術も凄かったんですね」

 廊下は埃っぽすぎたので、ミニィの肩にしがみつく。凄いってわけじゃないんだ、ちょっとやってみたかったからやってみただけなんだ。

「いや、だって面白そうだろう?技術じゃなくて行き当たりばったりに作ったから余計複雑でね、なお楽しい」
「うわっ義父上っぽいー! 」
「で、その迷宮みたいな裏通路を全部記憶していらっしゃる? 」

 え、そりゃそうだろ。自分で作ったんだから、全部わかるのは当然じゃないか……あれ?ミニィとタムの視線が冷たい……なんで?



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