【完結】おっさん軍人、もふもふ子狐になり少年を育てる。元部下は曲者揃いで今日も大変です

鏑木 うりこ

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144 ストップザ脳筋への道

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「でもおかしくないですか? 私が拝領したのはどうやら南部で更に辺境っぽいのに、どうして推定西部にある港町をなんとかしに行かなきゃならないんですか?」
「便利屋としてスカウトされたんだろうね」
「ますます嫌だ」

 藁山の中から顔を出したミニィが唇を尖らせてブーと鳴いた。まあ、ミニィのいうことも分かるけれど、クレヤボンスの答えが全てだね、うん。

「クレヤボンスさん、ぼくたちが向かう所は港町なんだよね、泳げる?」

 ラセルの心配はそっちだね、ウンウン分かるよ。

「泳げるよ~。まあ聞いて欲しいんだけど、これから行く港町リアハーバーはリア伯爵の領地の小さな港町なんだ。港を利用するのはあまり大きくない船が多い。で、そのわりと近くに帝国軍港がある。そっちはリヴィア公爵が治める土地で海軍が駐留し、他国との貿易も盛んって訳」
「あー……」
「きゅぅ……そりゃ、リア伯爵は面白くないだろうね」
「昔は婚姻関係を結んだりして仲が良かったんだって。でも今のリヴィア公爵は中央とのやりとりにお熱で、リア伯爵を蔑ろにしているんだって」
「あー……」

 それは簡単で難しい問題だなあ……あ、そうだ。

「ラセル、ラセルはどう思う?小さな港町のリア伯爵と大きな軍港のリヴィア公爵。そしてリア伯爵は怒ってるんだって」
「ん~……」

 これはラセルに勉強してもらうのにいい機会だ。ルセラには剣術や体術、魔法は教えたけれど、貴族のあれこれは教えている暇がなかった気がする。だからやみくもに領土を広げて、扱いきれなくなってそして国が小っちゃくなったんだろうって思うんだ。

「えーと、小っちゃい港だと大きい船は来ない?」
「入れないねえ」
「大きい港だと大きい船が来る?」
「来るねえ……きっと人もいっぱいくるねえ。たくさん乗れるからね」
「大きい港の方がいっぱい人が来ていっぱいお金が儲かるってことだよね」
「多分そうじゃないかなぁ……公爵っていう貴族の中では一番偉い爵位の人が治めてるんだもん」
「うーん……」

 お、考えてる考えてる。こうやって子供の内から考える癖をつけておけば、ヘイズみたいの脳みそまで筋肉にならずに済むに違いない。いっぱい頭使おうね、ラセル。

「クレヤボンスさん、流石に情報は仕入れて貰えるんでしょうねえ」
「私もミニィの配下にしてもらえれば頑張りますよ~?」
「あなたの組織を別の人に渡すなんてそんな恐ろしい事出来ませんよ、お願いですから一緒に来てください」
「ではそこの狐の抜け毛は全部いただきましょうか!」
「どうぞどうぞ、ハゲになるまで引っこ抜いてください」
「キュッ!?」

 抜け毛って言ったのに、どうしてハゲになるまで引っこ抜かれなきゃならないの!? ミニィの意地悪!

「良いじゃないですか、あなたは私の息子になったんですよ?ちょっとハゲになるくらい……!」
「嫌だよ! きっとクレヤボンスは容赦なく引っ張るよ!? やだー!」
「ラセルは私と一緒に港町の反乱をどうするか考えてくれます、だって私の長男ですし。だったら次男は情報収集で役に立ってくださいよ、クレヤボンスさんが隠してる凄くいい情報を聞き出してくる役です!」
「いやだなぁ~~隠し事なんでありませんよ~~」

 あれは「良い情報」を二桁単位で隠してるな、あいつ。まあクレヤボンスもラセルの教育に付き合う気で情報を小出しにしているんだろうと思う。私とミニィ、クレヤボンスが話している間もラセルは考えながら、近くにいたタムに相談を始めているし。

「凄く近くに土地があるのに、片っぽは凄く儲かって片っぽは儲かってないから不満が出てるってことですか?」
「そうだと思う。きっとリア伯爵の所は活気がいまいちなんじゃないかな?儲かってるリヴィア公爵の所に軍港ってのも拍車がかかってるな」
「どうして?」
「軍港ってことは軍の人がいっぱいくるんだ。そして軍っていうのはさ、作戦中とか遊べないんだ。ずっと緊張してなきゃいけない。だから、港につくと休暇と遊びをぱーーっとしたくなるって訳。つまりいっぱいお金を落とすんだ」
「そうなの?」
「うん……身に覚えがある……陸ばっかりの俺らでもそんなんだったから、ずーっと海にいて海しか見てない海軍はもっとパーッと遊ぶんだよ」
「お酒とか飲んじゃう?」
「ちょっと高くてもがぶがぶ飲んじゃうと思うな」
「そっかあ……じゃあリヴィア公爵の所があんまり儲からないようにするか、リア伯爵の所がいっぱい儲かるようにすればいいってこと?」
「まあ、大まかなところそうだな」
「なるほど~」

 さて、ラセルはどんな作戦を考えるのかな?

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