【完結】おっさん軍人、もふもふ子狐になり少年を育てる。元部下は曲者揃いで今日も大変です

鏑木 うりこ

文字の大きさ
163 / 229

161 おいおい大丈夫か?

しおりを挟む
 リア伯爵に話をしに行ったリゼレン君が下を向いて帰ってきた。

「すいません、イアン……上手く伝わらなかったようです」

 一緒について行ったミニィもお手上げってポーズなので全然ダメそうだ。

「一緒に来てくださいよ、イアン!」
「仕方がないなあ……ラセルも来て。これからどういうことが起るのか見ておいた方が良い」
「うん」

 リゼレン君とミニィそして私とラセルの4人でリア伯爵の執務室を尋ねると先客がいた。どうやら町の人らしい。会話が丸聞こえなくらい大きなこえで話している。

「伯爵、なんであのあたりをもっと伐採しないのですか! 別荘をもっと立てれば都会からいっぱい偉い人が来るでしょう!」
「いや……わしもそう思うのだが反対されておって」
「反対されてもここは伯爵の領地ですよ! ご自分の領地は好きに出来る権限がありますよね!?」
「そ、そうなんじゃが……しかし」
「やらせてください! そうすれば働き口も増え、人々は潤います! 前回の2倍も三倍も人が来ればこの領ももっともっと豊かになるんです!」
「そ、そうじゃな、確かにそれはそうだ」
「違いますよ、そんなことをすれば誰もこの領に来なくなりますけど? それでよろしければどうぞ。陛下にはそのように伝えておきますので」

 私は町の人の前で偉そうに振る舞うのは色々疑問を持たれてしまう。ミニィに代役をお願いすることにした。ミニィなら上手にやってくれるだろうしね。
 突然声を出した私達一行にリア伯爵は驚いていたけれど、町の人……大工組合の親方って感じのいかついおじさんは振り返って怒鳴った。

「そんな訳あるかい!こないだ帰った坊ちゃん一行がめちゃくちゃ満足して行ったじゃねえか!ああやってもてなせばいいんだろう!その数が増えれば儲けがグングン出るじゃねえか!」
「できるので?あなた達で帝都の貴族を満足させることが。何か勘違いしていらっしゃいませんか?我々がずっとここにいると。我々は基礎ができ次第自分の領地に帰りますよ。帰った後はこの領の人達だけでやって行かねばならないのに。
「は?帰る……?」

 リア伯爵まで驚いていたけれど、どうして!? そりゃ帰るだろう!我々は遊びに来たんだし!遊びに来たついでに陛下のお願いを聞いただけだし!

「そりゃそうでしょう。私は自分の領があります。頂いたばかりであまりまだ手入れはされていませんが、今は人をやって色々調べている最中です。こちらが片付き次第戻ります」
「そ、それは困る! あの別荘の内部はほとんどあなた方が回していたじゃないですか!」
「だからこちらの人達で何とか出来るようにしないといけないんですよ。それなのにもう一棟増やしてどうするおつもりで?」

 ミニィの正論に言い返せなくなるリア伯爵。大工組合の親方らしき人は伯爵とミイィの顔をみて右往左往している。

「へ? 中の仕事ってそんなに大変な事なんですか? 料理を出したり寝る所を整えるだけでしょ? たかが数人の」
「君は! 君は絶対に失敗できない人相手に完璧にこなす自信があるのか!?」
「そんなのできませんよ。俺は大工だ」
「なら別荘だけ建てたってしょうがないことはわかるだろう!」
「うっ……」

 そして駄目押しだ、行け!ミニィ!

「あの別荘の設計図はお渡ししませんよ?外側だけならまだしも内側の各種仕掛けは私達が付けた物ですから」
「へ?」
「は!? あの設計図がなければただの家と変わらないじゃないか!」
「そうですね」
「そんな! あの頭がおかしくなるような細かい設計図がなけりゃ……」
「知りませんよ、そんなの。ご自分で用意したら良いのでは?」

 実際、あの設計図はクレヤボンスくらいにしか引けないと思う。それくらい常識を無視した造りだもの。だからこそ、超ド級のお偉いさんを呼べるんだけどね。

しおりを挟む
感想 68

あなたにおすすめの小説

過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます

水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。 家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。 絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。 「大丈夫だ。俺がいる」 彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。 これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。 無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

秋風の色

梅川 ノン
BL
兄彰久は、長年の思いを成就させて蒼と結ばれた。 しかし、蒼に思いを抱いていたのは尚久も同じであった。叶わなかった蒼への想い。その空虚な心を抱いたまま尚久は帰国する。 渡米から九年、蒼の結婚から四年半が過ぎていた。外科医として、兄に負けない技術を身に着けての帰国だった。 帰国した尚久は、二人目の患者として尚希と出会う。尚希は十五歳のベータの少年。 どこか寂しげで、おとなしい尚希のことが気にかかり、尚久はプライベートでも会うようになる。 初めは恋ではなかったが…… エリートアルファと、平凡なベータの恋。攻めが十二歳年上のオメガバースです。 「春風の香」の攻め彰久の弟尚久の恋の物語になります。「春風の香」の外伝になります。単独でも読めますが、「春風の香」を読んでいただくと、より楽しんでもらえるのではと思います。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

【完結】お義父さんが、だいすきです

  *  ゆるゆ
BL
闇の髪に闇の瞳で、悪魔の子と生まれてすぐ捨てられた僕を拾ってくれたのは、月の精霊でした。 種族が違っても、僕は、おとうさんが、だいすきです。 ぜったいハッピーエンド保証な本編、おまけのお話、完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! トェルとリィフェルの動画つくりました!  インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのWebサイトから、どちらにも飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

処理中です...