【完結】おっさん軍人、もふもふ子狐になり少年を育てる。元部下は曲者揃いで今日も大変です

鏑木 うりこ

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189 とても疲れるよ

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 もう戻っていいと言われたのはお昼ご飯の時間だった。ヒゲがあったら全部へにょりと垂れているだろう……。代わりに両腕をだらんと垂らしてとぼとぼ歩く、疲れたぁ……。

「あーラセル、イアンちゃん戻って来たよー」
「イアンちゃん、大丈夫?」
「へ?」

 何故かクラスの女生徒から可愛らしく呼ばれている……ドウシテ……。

「あ! イアン大丈夫……じゃなかったみたいだね。お疲れ様」
「うん、なんとか……ラセル……兄さん一体……?」
「ああ、イアンが帰って来なくて心配だね、って……皆、心配してくれたよ」
「あ、ありがとうございます……?」

 いつの間にかラセルはクラスの女生徒達と打ち解けて仲良くなっていた。

「思えばイアンちゃんは私達より小さいのよね」
「うんうん、小さいのに学園に一緒に来たってことは何か凄い力があったってことでしょう?」
「それが魔法ってことなのよね? 凄いわ」

 そして私は……ペット扱いか……?

「ラセルとイアンは新しく貴族界入りしたんでしょう? だって見たことなかったものね。それで皆、様子をみていたのよ」
「話してみたらラセルは結構面白いし。ちょっと荒いけど礼儀も悪くないわ」
「レオン殿下達と仲が良いのも加点ね」

 流石小さくても女性……しっかりしていらっしゃる。そして……あの目つきは……数人の女生徒からラセルは目をつけられたようだ。いじめの対象じゃなくて、結婚相手の方にね。ラセルのことを知れば知るほど優良物件だと気が付いたんだろうな。そして……私はラセルと仲良くなる取っ掛かりってことだろう。

「大丈夫だった~?」
「あ、はい。ありがとうございます」

 相手にその気がなくてもあってもとりあえず仲良くしておくことは良いことだろう。何せラセルは帝国で人脈を広げていかないといけない。既にレオンというぶっとい繋がりはあるものの、それだけじゃやっていけないのだ。
 私も頑張ってラセルに相応しい子かどうか見極めるぞ……でも女性関係は苦手だからできる気はしないけれど……。

「素直で可愛いわね、私も弟もこれ暗い可愛げがあれば良いのに」
「あら?ターシャの弟は可愛いわよ?」
「そうかしらー?」

 まだ小さいのに、夜会に出ている女性達のような会話が繰り広げられている……やっぱり女性は苦手かもしれない。

「なあ、ラセル! 必殺技ってどうやるんだ!」
「必殺技ぁ? そんなのないよ」
「本当はあるだろ!? リゼレン大隊長直伝のさ!」

 ラセルは男子生徒同士で盛り上がっている。ああ、あっちの会話の方が楽そうで良い……!男の子は簡単だ、何か派手なことをやっていれば簡単に尊敬してくれる。でも女子は違う……。

「ねぇねぇ、新しいカフェが出来たのよ?」
「それより今話題のアクセサリーショップよ、すごく可愛いのよ!」
「大ぶりな宝石がついているのに手に取りやすい価格のお店のこと?」
「そうそう、それよ」

 ワイワイ、キャアキャアと姦しい。女性からの情報収集はクレヤボンスに一任してた。あいつはこういう女子の集団にも臆せず入っていき、いつの間にか仲間になってた。

「あー! わかるぅ。私もねぇ、絶対ピンクだって思うもんー」
「でしょう?赤より絶対ピンク!」
「うんうんー!」

 普通のおっさんのはずなのに、きれいに溶け込むんだよな……謎だ。

 とにかく女生徒の囲みから逃げ出したくても逃げられず、ラセルは中々助けに来てくれなくて更にぐったりしてしまった。

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