194 / 229
194 美味しいは強い
しおりを挟む
「疲れた……」
「どうして!?」
休日が明けて、朝学校へ向かう馬車の中でぐんにゃりしてしまうのは仕方がないことだろう。
「やや、イアン様。今日の朝ごはんは美味しくなかったですか?」
「いや、美味しかった、最高だったよ。パム……特に目玉焼きが良い焼き加減で二つもあったし」
「下に隠れてたハム、美味しかった~!」
「ふっふー。そう言っていただけると嬉しいですね」
目玉焼きは美味しかった……パムは卵を二つ落としてくれる。おじさんだったときは三つくれた。黄身はとろとろ、白身はぷるぷるでさっと振った塩も利いていて美味しかったんだけど……。
「ミニィの張り切り様はどうしようかなって……」
「なんか元気だったね! ミニィさん」
「ワイアードの名前を帝国に刻み込んでやるーでしたっけ? まあミニィ坊は目標に向かって突き進んでるくらいが良いんですよ。暇になると駄目になる子ですから」
「……分かってるね、パム」
暇になると駄目になる、ウチの軍にはそういうのばっかりだった気がする。まあ刹那刹那で命のやり取り、これで最後がすぐ目の前にあるような生活が長かったからできる時に全力を出さなくてはならなかった……。
「休暇は休めばいいのに」
「その言葉そっくりイアン様にお返ししますよ」
「……ぎゅ」
私を仕事中毒みたいに言わないで欲しいな……ちゃんと最近はぐだぐだと昼寝をすることも覚えたんだけど?しかし、いつも忙しくしていたから休めと言われると中々難しいものを感じる……あれもやってこれもやってと色々考えてしまうんだ。
「中々、長年染みついた習慣は変えられませんね。そういう私もつい色々仕込みをしてましたし、市場へ買い物へ出かけようと思ったりしていましたよ」
「ははっ、タムなんて休みでも学園に泊まり込んで温室に入り浸っているしね」
「毎朝いつもの時間にいつもの所までお弁当を取りに来る以外、ずっと温室にいるみたいですよ」
「植物学の教授の助手じゃなかったの??」
「教授ももうあきらめたらしいですよ。でも色々珍しい植物の生育に成功しているのでやめさせることもできないとか」
「結果を出しちゃう所がタムなんだよな~」
タムが好きなものにのめり込むと本当に強い。あまり乗り気でない軍の事でも色々相談に乗ってくれたりして心強かったっけな。
「タムはちゃんと食べてさえいれば動けますからね」
「はは、ほんとパムはよくわかってるなあ」
ガタゴトとあまりきれいじゃない道を馬車で学園へ向かう私達。パムのお弁当はギリギリまで保管庫に入れてある。道が悪いから出しておくと中のおかずが踊り狂ってお昼に開けたときに面白いことになってしまうからね。
「私が率いていた隊が皆元気だったのは本当にパムのお陰だよ~」
「皆さんが色んな食材を持って来てくれたからですよ」
「えっ、どんなのがあったの?教えて~~」
「勿論ですよ、ラセル。まず、でっかい鳥の卵の話をしましょうか? まだその殻は実は私持ってましてね」
「でっかい卵!」
おっ、定番のアレだな。あれで超巨大な目玉焼きを作ったっけなあ。特注ででかい鉄板も作って……でも卵自体はそんなに美味しくなかったんだよなぁ~食べたけど。
料理の話になると途端の饒舌になるパムと自分が知らない物語に目を輝かせるラセル。そうだな、学園が長期休みに入ったらまたあのでっかい卵を取りに行くのもいいかもしれない。なんだっけ、ラージロックバードだっけ?ドラゴンモドキだっけ?きっとラセルも喜ぶし、最近腕が鈍り気味だと言ってたヘイズ達も喜ぶだろうし、でっかい鳥は大体秘境に生えてるからタムも喜ぶ草も生えてるだろうしね。
「素材捕獲旅行とか楽しそうだと思わない?」
「わっ! 凄い凄い。絶対楽しい!」
「良いですねー。帝国領にも美味しい物がいっぱいありそうですもんね」
美味しい料理の話は弾みすぎて、お昼までまだまだ遠いのに私とラセルはもう何か食べたくて仕方がなくなってしまった!
「どうして!?」
休日が明けて、朝学校へ向かう馬車の中でぐんにゃりしてしまうのは仕方がないことだろう。
「やや、イアン様。今日の朝ごはんは美味しくなかったですか?」
「いや、美味しかった、最高だったよ。パム……特に目玉焼きが良い焼き加減で二つもあったし」
「下に隠れてたハム、美味しかった~!」
「ふっふー。そう言っていただけると嬉しいですね」
目玉焼きは美味しかった……パムは卵を二つ落としてくれる。おじさんだったときは三つくれた。黄身はとろとろ、白身はぷるぷるでさっと振った塩も利いていて美味しかったんだけど……。
「ミニィの張り切り様はどうしようかなって……」
「なんか元気だったね! ミニィさん」
「ワイアードの名前を帝国に刻み込んでやるーでしたっけ? まあミニィ坊は目標に向かって突き進んでるくらいが良いんですよ。暇になると駄目になる子ですから」
「……分かってるね、パム」
暇になると駄目になる、ウチの軍にはそういうのばっかりだった気がする。まあ刹那刹那で命のやり取り、これで最後がすぐ目の前にあるような生活が長かったからできる時に全力を出さなくてはならなかった……。
「休暇は休めばいいのに」
「その言葉そっくりイアン様にお返ししますよ」
「……ぎゅ」
私を仕事中毒みたいに言わないで欲しいな……ちゃんと最近はぐだぐだと昼寝をすることも覚えたんだけど?しかし、いつも忙しくしていたから休めと言われると中々難しいものを感じる……あれもやってこれもやってと色々考えてしまうんだ。
「中々、長年染みついた習慣は変えられませんね。そういう私もつい色々仕込みをしてましたし、市場へ買い物へ出かけようと思ったりしていましたよ」
「ははっ、タムなんて休みでも学園に泊まり込んで温室に入り浸っているしね」
「毎朝いつもの時間にいつもの所までお弁当を取りに来る以外、ずっと温室にいるみたいですよ」
「植物学の教授の助手じゃなかったの??」
「教授ももうあきらめたらしいですよ。でも色々珍しい植物の生育に成功しているのでやめさせることもできないとか」
「結果を出しちゃう所がタムなんだよな~」
タムが好きなものにのめり込むと本当に強い。あまり乗り気でない軍の事でも色々相談に乗ってくれたりして心強かったっけな。
「タムはちゃんと食べてさえいれば動けますからね」
「はは、ほんとパムはよくわかってるなあ」
ガタゴトとあまりきれいじゃない道を馬車で学園へ向かう私達。パムのお弁当はギリギリまで保管庫に入れてある。道が悪いから出しておくと中のおかずが踊り狂ってお昼に開けたときに面白いことになってしまうからね。
「私が率いていた隊が皆元気だったのは本当にパムのお陰だよ~」
「皆さんが色んな食材を持って来てくれたからですよ」
「えっ、どんなのがあったの?教えて~~」
「勿論ですよ、ラセル。まず、でっかい鳥の卵の話をしましょうか? まだその殻は実は私持ってましてね」
「でっかい卵!」
おっ、定番のアレだな。あれで超巨大な目玉焼きを作ったっけなあ。特注ででかい鉄板も作って……でも卵自体はそんなに美味しくなかったんだよなぁ~食べたけど。
料理の話になると途端の饒舌になるパムと自分が知らない物語に目を輝かせるラセル。そうだな、学園が長期休みに入ったらまたあのでっかい卵を取りに行くのもいいかもしれない。なんだっけ、ラージロックバードだっけ?ドラゴンモドキだっけ?きっとラセルも喜ぶし、最近腕が鈍り気味だと言ってたヘイズ達も喜ぶだろうし、でっかい鳥は大体秘境に生えてるからタムも喜ぶ草も生えてるだろうしね。
「素材捕獲旅行とか楽しそうだと思わない?」
「わっ! 凄い凄い。絶対楽しい!」
「良いですねー。帝国領にも美味しい物がいっぱいありそうですもんね」
美味しい料理の話は弾みすぎて、お昼までまだまだ遠いのに私とラセルはもう何か食べたくて仕方がなくなってしまった!
87
あなたにおすすめの小説
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます
水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。
家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。
絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。
「大丈夫だ。俺がいる」
彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。
これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。
無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
秋風の色
梅川 ノン
BL
兄彰久は、長年の思いを成就させて蒼と結ばれた。
しかし、蒼に思いを抱いていたのは尚久も同じであった。叶わなかった蒼への想い。その空虚な心を抱いたまま尚久は帰国する。
渡米から九年、蒼の結婚から四年半が過ぎていた。外科医として、兄に負けない技術を身に着けての帰国だった。
帰国した尚久は、二人目の患者として尚希と出会う。尚希は十五歳のベータの少年。
どこか寂しげで、おとなしい尚希のことが気にかかり、尚久はプライベートでも会うようになる。
初めは恋ではなかったが……
エリートアルファと、平凡なベータの恋。攻めが十二歳年上のオメガバースです。
「春風の香」の攻め彰久の弟尚久の恋の物語になります。「春風の香」の外伝になります。単独でも読めますが、「春風の香」を読んでいただくと、より楽しんでもらえるのではと思います。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる