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9 リオウ
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「ぐわぁっ!」
後ろから思いっきり殴られ、気を失った。そして目を覚ますと、ベッドの上だった。
ばっと跳ね起き、辺りを見回す。
「お、俺の!俺のつがい!俺のつがいはどこだ?!」
その咆哮は招かれた王宮に響き渡った。
「本当に申し訳ございません!まさか王太子殿下を殴り倒す不届き者がおろうなど!」
「そんな事はどうでも良い!あの黒髪の、私の妻は何処だ!!」
「お、落ち着いてください、リオウ様!つがいとはどう言う事でしょうか?」
「俺は昨日この庭で俺のつがいに出会ったのだ!俺の、俺の愛しいつがい!何処だ、何処へやった!!」
虎の獣人であるリオウの本気の咆哮に、気の弱い女性は気を失ってその場に倒れる。男性も武の心得がないものは青い顔でへたり込む。それ程リオウは怒っていた。
「やっと、やっと見つけたつがいなんだ!ああ、まだあの匂いが残っている!何処だ、どこへ隠した!!」
リオウ自身を傷つけた事を詫びに現れたこの国の宰相は青い顔をさらに青くする。つがい、獣人のつがいとは国を傾けても得るべしと言われている程、大切にする存在。そんな人物がこと王宮にいるのか?と思う事と、黒髪の心当たりがある人物を思い浮かべて、寿命が一気に50年ほどすり減る思いだ。
どう伝えれば、怒る猛獣を宥めすかす事が出来るのか?ああ、無理だ。逡巡は一瞬、全て包み隠さず伝える事が最良と、それ以外方法がないと結論を出した。
「その、リオウ様がつがいとした人物ですが、間違いなく勇者と共に召喚されたカイリ様であろうかと思います。黒髪で……オメガであったでしょうか?」
「おお!カイリと言うのか!すぐに、すぐに会いたい!!ああ、あまりの嬉しさに手酷く扱ってしまった!すぐに詫びて体の不調を見てやらねば。どこに、どこにカイリはいるのだ?!」
リオウは春が来て花が開いたような喜色満面でカイリの行方を聞いてくる。宰相は死と隣り合わせの答えを答えねばならない。
「それが……カイリ様は……ヒュー様の言う事には知らない男達に連れ去られ、何処へ行ったか分からぬと……我々も全力で行方を追っているのですが未だ見つからず」
「なん、だと……?!」
「ひっ!」
あまりのリオウの怒気にその場にいた者は全て立っていられなかった。
コレは嘘をついている。半眼のリオウはイライラとソレの存在を見ていた。
「だからぁ~カイリさんの上にその人が乗ってて……カイリさんが襲われてるって思って思いっきり殴ってしまったんです、ごめんなさい」
ヒューがリオウの前に引き出された。いくら勇者のヒューでも後ろからティーゲ国王太子リオウを殴ったのは不味い話であった。
「ヒュー、その先の話を聞きたいんだ。そのあとカイリ様はどうなったんだ?」
「えーと、カイリさん、気を失ってて……起こそうと思ったらなんか覆面の人達がいっぱい来て連れてっちゃったよ、その後は知らないよぅ」
「何故止めなかった!」
「だって怖かったんだもん!」
子供っぽく口を尖らせるヒューをなんとか殴りつけないよう、リオウはぐっと力を入れて耐えた。
こいつはカイリを嫌っている。
何故かは分からない。ヒューの態度と言葉の端々に宿る感情を機敏に嗅ぎ取っって、リオウはヒューを敵と認識した。愛しいつがいの敵ならば自分の敵でもある。
しかし今は殺す時ではない。カイリを探さねば!
残り香を辿って大河に行き着き、カイリはそこから川へ投げ捨てられた可能性が高いと判断された。
「あの体で、川に?!」
リオウの後悔は死ぬ程深かった。生まれた時から探し続けたつがい。あまりの嬉しさに我を忘れて本能のままに犯した。当のカイリの言葉を聞かぬまま、無理矢理噛みついてつがいにしてしまった。
「俺の、俺が……っ!」
まともな体でもあの大河に投げ捨てられたら無事でないかもしれない。それなのにあんな怪我を負わせて……。そうでなくても人族のカイリでは獣人のリオウを受け入れる事は辛かっただろうと後悔が怒涛のように襲い掛かる。
「カイリ、無事でいてくれ……!」
リオウの願いは天に届いていたが、リオウがそれを知る事は出来なかった。
後ろから思いっきり殴られ、気を失った。そして目を覚ますと、ベッドの上だった。
ばっと跳ね起き、辺りを見回す。
「お、俺の!俺のつがい!俺のつがいはどこだ?!」
その咆哮は招かれた王宮に響き渡った。
「本当に申し訳ございません!まさか王太子殿下を殴り倒す不届き者がおろうなど!」
「そんな事はどうでも良い!あの黒髪の、私の妻は何処だ!!」
「お、落ち着いてください、リオウ様!つがいとはどう言う事でしょうか?」
「俺は昨日この庭で俺のつがいに出会ったのだ!俺の、俺の愛しいつがい!何処だ、何処へやった!!」
虎の獣人であるリオウの本気の咆哮に、気の弱い女性は気を失ってその場に倒れる。男性も武の心得がないものは青い顔でへたり込む。それ程リオウは怒っていた。
「やっと、やっと見つけたつがいなんだ!ああ、まだあの匂いが残っている!何処だ、どこへ隠した!!」
リオウ自身を傷つけた事を詫びに現れたこの国の宰相は青い顔をさらに青くする。つがい、獣人のつがいとは国を傾けても得るべしと言われている程、大切にする存在。そんな人物がこと王宮にいるのか?と思う事と、黒髪の心当たりがある人物を思い浮かべて、寿命が一気に50年ほどすり減る思いだ。
どう伝えれば、怒る猛獣を宥めすかす事が出来るのか?ああ、無理だ。逡巡は一瞬、全て包み隠さず伝える事が最良と、それ以外方法がないと結論を出した。
「その、リオウ様がつがいとした人物ですが、間違いなく勇者と共に召喚されたカイリ様であろうかと思います。黒髪で……オメガであったでしょうか?」
「おお!カイリと言うのか!すぐに、すぐに会いたい!!ああ、あまりの嬉しさに手酷く扱ってしまった!すぐに詫びて体の不調を見てやらねば。どこに、どこにカイリはいるのだ?!」
リオウは春が来て花が開いたような喜色満面でカイリの行方を聞いてくる。宰相は死と隣り合わせの答えを答えねばならない。
「それが……カイリ様は……ヒュー様の言う事には知らない男達に連れ去られ、何処へ行ったか分からぬと……我々も全力で行方を追っているのですが未だ見つからず」
「なん、だと……?!」
「ひっ!」
あまりのリオウの怒気にその場にいた者は全て立っていられなかった。
コレは嘘をついている。半眼のリオウはイライラとソレの存在を見ていた。
「だからぁ~カイリさんの上にその人が乗ってて……カイリさんが襲われてるって思って思いっきり殴ってしまったんです、ごめんなさい」
ヒューがリオウの前に引き出された。いくら勇者のヒューでも後ろからティーゲ国王太子リオウを殴ったのは不味い話であった。
「ヒュー、その先の話を聞きたいんだ。そのあとカイリ様はどうなったんだ?」
「えーと、カイリさん、気を失ってて……起こそうと思ったらなんか覆面の人達がいっぱい来て連れてっちゃったよ、その後は知らないよぅ」
「何故止めなかった!」
「だって怖かったんだもん!」
子供っぽく口を尖らせるヒューをなんとか殴りつけないよう、リオウはぐっと力を入れて耐えた。
こいつはカイリを嫌っている。
何故かは分からない。ヒューの態度と言葉の端々に宿る感情を機敏に嗅ぎ取っって、リオウはヒューを敵と認識した。愛しいつがいの敵ならば自分の敵でもある。
しかし今は殺す時ではない。カイリを探さねば!
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「あの体で、川に?!」
リオウの後悔は死ぬ程深かった。生まれた時から探し続けたつがい。あまりの嬉しさに我を忘れて本能のままに犯した。当のカイリの言葉を聞かぬまま、無理矢理噛みついてつがいにしてしまった。
「俺の、俺が……っ!」
まともな体でもあの大河に投げ捨てられたら無事でないかもしれない。それなのにあんな怪我を負わせて……。そうでなくても人族のカイリでは獣人のリオウを受け入れる事は辛かっただろうと後悔が怒涛のように襲い掛かる。
「カイリ、無事でいてくれ……!」
リオウの願いは天に届いていたが、リオウがそれを知る事は出来なかった。
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