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24 まさに、藁
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「いやああああーーー!」
泣くシシリー。分かる、分かるんだけどさぁ……。
「何で勇者の剣がトモロコスの枯れた茎で、盾がサトイーモの葉っぱで、戦士の武器がキューカンパなのよぉーーー!」
「い、言いたい事は良く分かる……でも、ちょっとだけ聞いて欲しいんだ!シシリー!!」
涙ぐむシシリーに俺はそっと事実を告げる。
「これ、物凄く強いんだ」
「うわぁーーーん!!!」
だが、5分後。そこには枯れたネギィボーズを振り回すシシリーの姿があったのだ。
「嘘……嘘よ……私が師匠から受け継いだオリハルコンのエネルニゥム石のマジックロッドより、このネギィの花の部分が立ち枯れになったヘンテコな物体が強いなんて嘘よ、嘘よ……」
目の焦点が定まっていない……シシリーの常識が崩壊寸前だ。一体どうしたら……?!
「でもつよーい!私、無詠唱出来たわー師匠を超えちゃったぁ♡」
楽しそうだし嬉しそうだから良い事にしようかな……だって強いし。
「わ、私は……私はこの聖女の杖を手放しませんから!絶対に、絶対にです!!」
マリアンヌが王都から持ってきた杖を大切に握り締めているけれどさ。
「……こっちの方がうんと強いよ……」
「見てみろ……マリアンヌ。岩が水を吸ったパンより柔らかく壊れていくぞ……キューカンパならな……」
「みて、無詠唱よ……うふふ……ちょっとネギィ臭いし、カサカサしてるけど……強いわよ、うふふ、うふふふ……」
結局強さに負けてマリアンヌはサトイーモの茎を持つことになった。これで勇者一行の武器がある意味揃った。
「ダサいとかダサくないとか!それは命あっての物種だよな!?」
「その通りだぜ、コーディ!死んだら何にもならん!」
そうだよ、俺達が魔王を倒したら皆に報告する時はちょこっと修正すればいいんだよ。俺はちゃんと勇者の聖剣なんか持っててかっこよく倒したことにすればいいんだよ。
……収穫した後のトモロコスの茎を持ってたなんて絶対にそんなことはないんだよ!!
俺達は模擬戦なんかを繰り返していたんだけれど、とても嫌な事実に気づいてしまったんだ。
「なあ、コーディ。タトの野菜の食べられない所……武器として凄く強いんだが……防具としてはどうなんだ?」
「ダナン、それは気付きたくない事実だと言うことだけは、間違いなく阿呆な俺でもなんとなく気づいてる」
ちょうどタトがバケツから稲を収穫して
「んー!美味そうな米だー!あ、コーディこれな!餅米!餅、食べるだろ?」
「あーん♡食べるぅ~♡じゃ無くてな?!例えばだよ?!あの米を外した後の藁を体に巻いたらすげー防御力あるんじゃ?!とか思ったりしてないからな!?」
ダナンも脳筋だ。脳を成長させる力を筋力と胸に持ってったんじゃないか?と思うくらい脳筋なんだが、そのダナンが
「うーーん」
と、考え込んで
「ふ、試してみるか……!」
なんかかっこよく言ってもダメなんだからな?!
「わ、わあああーーー!たんま!ちょっと待て、待てぇーー!ぎゃはは!」
「いや、しかしな……」
「二人ともなにやってんだ!!まって、待ってーーー!」
タトが文字通り腹を抱えて笑った。俺とダナンはタトの藁を貰って、全身を藁で覆った……藁納豆に手足が生えた様な奇妙なクリーチャーになっていた……。
「でも、強いんだ……」
「うん、藁の隙間から空気は通るから涼しいのに、我々を害そうとする物は通さない……何せ軽いし水にも浮く」
「シシリーの魔法も弾くんだよ……」
藁納豆スーツ?すごく、強い。
「え……笑えるんだけど……」
「ああ、まさに藁、だな……辛い」
俺達は一体どうしたら良いんだ?!
泣くシシリー。分かる、分かるんだけどさぁ……。
「何で勇者の剣がトモロコスの枯れた茎で、盾がサトイーモの葉っぱで、戦士の武器がキューカンパなのよぉーーー!」
「い、言いたい事は良く分かる……でも、ちょっとだけ聞いて欲しいんだ!シシリー!!」
涙ぐむシシリーに俺はそっと事実を告げる。
「これ、物凄く強いんだ」
「うわぁーーーん!!!」
だが、5分後。そこには枯れたネギィボーズを振り回すシシリーの姿があったのだ。
「嘘……嘘よ……私が師匠から受け継いだオリハルコンのエネルニゥム石のマジックロッドより、このネギィの花の部分が立ち枯れになったヘンテコな物体が強いなんて嘘よ、嘘よ……」
目の焦点が定まっていない……シシリーの常識が崩壊寸前だ。一体どうしたら……?!
「でもつよーい!私、無詠唱出来たわー師匠を超えちゃったぁ♡」
楽しそうだし嬉しそうだから良い事にしようかな……だって強いし。
「わ、私は……私はこの聖女の杖を手放しませんから!絶対に、絶対にです!!」
マリアンヌが王都から持ってきた杖を大切に握り締めているけれどさ。
「……こっちの方がうんと強いよ……」
「見てみろ……マリアンヌ。岩が水を吸ったパンより柔らかく壊れていくぞ……キューカンパならな……」
「みて、無詠唱よ……うふふ……ちょっとネギィ臭いし、カサカサしてるけど……強いわよ、うふふ、うふふふ……」
結局強さに負けてマリアンヌはサトイーモの茎を持つことになった。これで勇者一行の武器がある意味揃った。
「ダサいとかダサくないとか!それは命あっての物種だよな!?」
「その通りだぜ、コーディ!死んだら何にもならん!」
そうだよ、俺達が魔王を倒したら皆に報告する時はちょこっと修正すればいいんだよ。俺はちゃんと勇者の聖剣なんか持っててかっこよく倒したことにすればいいんだよ。
……収穫した後のトモロコスの茎を持ってたなんて絶対にそんなことはないんだよ!!
俺達は模擬戦なんかを繰り返していたんだけれど、とても嫌な事実に気づいてしまったんだ。
「なあ、コーディ。タトの野菜の食べられない所……武器として凄く強いんだが……防具としてはどうなんだ?」
「ダナン、それは気付きたくない事実だと言うことだけは、間違いなく阿呆な俺でもなんとなく気づいてる」
ちょうどタトがバケツから稲を収穫して
「んー!美味そうな米だー!あ、コーディこれな!餅米!餅、食べるだろ?」
「あーん♡食べるぅ~♡じゃ無くてな?!例えばだよ?!あの米を外した後の藁を体に巻いたらすげー防御力あるんじゃ?!とか思ったりしてないからな!?」
ダナンも脳筋だ。脳を成長させる力を筋力と胸に持ってったんじゃないか?と思うくらい脳筋なんだが、そのダナンが
「うーーん」
と、考え込んで
「ふ、試してみるか……!」
なんかかっこよく言ってもダメなんだからな?!
「わ、わあああーーー!たんま!ちょっと待て、待てぇーー!ぎゃはは!」
「いや、しかしな……」
「二人ともなにやってんだ!!まって、待ってーーー!」
タトが文字通り腹を抱えて笑った。俺とダナンはタトの藁を貰って、全身を藁で覆った……藁納豆に手足が生えた様な奇妙なクリーチャーになっていた……。
「でも、強いんだ……」
「うん、藁の隙間から空気は通るから涼しいのに、我々を害そうとする物は通さない……何せ軽いし水にも浮く」
「シシリーの魔法も弾くんだよ……」
藁納豆スーツ?すごく、強い。
「え……笑えるんだけど……」
「ああ、まさに藁、だな……辛い」
俺達は一体どうしたら良いんだ?!
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