2度目のニューゲーム 合法チートで貴族も魔王も恋愛もぶっ飛ばす!

鏑木 うりこ

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旧知からの連絡

4 その先へ

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「はあ、おかしい」

「ですね」

「そうかな?」

 防寒具を着て、俺たちは仙国のモンスターを狩っている。今度は前のよりもっともっと強い……が、やはり非移動の植物系モンスターだ。だから狩り方は変わらない。

 ひょいひょいと指先で火矢を飛ばして行く。

「しかし、なんでこんなモンスターがここに居るって知ってるの?」

 ゲームでやってたからね、とはいえなかった。とこでどう狩るのが効率いいかなんて調べ尽くしたから。
 装備があればもっとえげつない狩ができるけど、ここはゲームじゃない。いのち大事に行かなくちゃ。

 多少時間がかかってもね。

でも、俺たちはすぐに最高レベルレベルカンストになる。

「良いのかな?こんなで」

 サラが言う。

「分からないわ!」

 ナディアも信じられないという顔だが。

「ほら、アカデミーに戻るぞ」

「「え??!」」

 なんでやり遂げた顔してんの?ここで終わりじゃないでしょ。


「あら!お帰りなんですか、ファルセットさん」

 初めてあった受付嬢に笑顔で挨拶される。

「え!上位職?嘘、早すぎじゃないですか?」

「遅い方でしょ?まあ、あの人いるかな……いた」

 目立つ所にいるのだが、目立たないそのお爺さん。最初はいなかったのに、途中から緩和政策の一つで現れたんだよなー。

「こんにちは」

 おもむろに話しかける。

「おお!君は素晴らしい!魔法使いを完全に理解しているんだね?!後ろの君たちもそれぞれの職を理解している……進むかね?その先に……」

 当然だ。

「もちろん」

 俺は頷く。

「では道を開こう、行くが良い。その人生を超えて次へ!グレウス様の元へ」

「ファル、まさか……」

 信じられないという顔で、サラとナディアが見ている。

「転生……次も同じ職業になる事を強制されている、更なる強さを得るためだけに生まれ変わる特殊転生……物語の中だけですよね?」

「違うよ、今から行ってくる。君達はどうする?」



 2人は来なかった。

「私達は……自分の力でここまで強くなったと言えるのでしょうか」

「ファルにおんぶに抱っこ……私達にこれ以上強くなる資格はあるのかな…?」

 迷いは人を弱くする。

「転職までナディアは引っ張ってやりたかったけど、本人の意思は大事だよな」

 僧侶系の転生後はレベリングがきついから魔法職で引っ張ってやりたかったが……まあ、時間さえかければ大丈夫だろう。

 お爺さんが転移魔法で飛ばしてくれた先に古い本がある。それを熟読し、開かれる路へ。
 長いが短い逡巡の迷路を思い出しながら抜け、転生を司る神の元へ。

「では、新たなる修羅への道を!……悪いな、手間をかけさせて」

「ん?」

 ゲームでは聞いたことがないセリフがあったような、なかったような。まあ微妙なズレは感じているから、それなのだろう。

 今まで積み上げてきたすべての強さを捨てて、更なる高みに。


 やることは前と変わらない。非移動の植物系モンスターを蹂躙していく。今度は1人なので早い早い!

「ふ、ファル?!」

「やあ、サラにナディア」

 次の日に冒険者ギルドであった時に、俺は既に魔法使いの高みを限界突破したと言われる高位魔導士ハイウィザードになっていた。

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