【完結】スキル「癒し」のみですがまだ生き残っています!

鏑木 うりこ

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スキルの不思議

10 その頃の中央神殿

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「教皇様! ただ今 王都にて神獣顕現の兆しありと出ました!」
「なにぃ?! それは誠か! 神獣と言えば500年前、白虎様が現れて依頼の僥倖であるぞ!」

 創造神中央教会最高責任者、教皇ノースは興奮気味にがたりと椅子から立ち上がった。
 神からの使いが自分が教皇であるうちに現れるなど、誉も良いところだ。正史に永遠に名が刻まれると鼻息を荒くする。

「して、今「聖女」のスキル持ちはいく人か?!」
「王都にておられまするマグノリア様ただ1人でございます!」
「おお! ではすぐに聖女マグノリアの元へ向かおうぞ!」

 時代が暗いのか、祈りが足りないのか。教会に大切な「聖女」のスキル持ちは近頃本当に減ってしまった。
 辛うじてマグノリアが「聖女」であるが、歴代の聖女の中では落ちこぼれの部類に入る。
 そんな聖女でも、神獣さえ得られれば本来の聖女の力も使えるはず、とノースはほくそ笑んだ。

 ノース自身も「教皇」のスキルは持っていない。「高司祭」でもなく「司祭」が彼の持つ1番高いスキルであっが、手腕と、金で教皇の座についている。
 しかし、金や腕でもなんともし難いものが教会にはある。回復や結界、聖魔法の行使である。純粋に神の力が必要な物をノースはどうしても手に入れる事ができなかった。
 そこに神獣顕現の一報である。神獣は聖女の元に現れる。そして聖女は1人しかいない。その1人を教会で厳重に管理しているのだ。

「私の世は盤石になるな……ふふふ」

 俗に塗れた笑いは清浄であるはずの神殿の高い天井に吸い込まれ、消えて行った。



「いない……だと?!」
「はい……マグノリア様のもとにはそのような異変は起こっておりませぬ」

 東神殿は王都の端にあって、広いが迷い易い為に人気があまり無い。

 その地下深く。一般の信者が絶対に入り込まぬ場所にノース教皇はいた。

「……して……」
「しかし、神獣の顕現があったと、占術士は言っておる」
「しかし……マグノリア様とご対面されますか?」
「いや、良い……」
「……して……」

 椅子に女が1人座らされている。目隠しをされ、耳も塞がれていた。椅子には錠がついていて、手も足も全て括られている。

「……して……」

 自由に動くのは口のみでボロボロに嗄れた声が辛うじて言葉を紡いでいる。

「だして……お願い……」

 聖女マグノリアの切なる願いを聞き届けるものは誰もいない。

「では神獣は一体どこに現れたと言うのだ!」

 苛立つ教皇はついに神獣の居場所を突き止める事はなかった。


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