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19 仲が良いのか悪いのか
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「だ、だって……パトリシアは私の姪なのよ! それなのにあなたが勝手に連れて行こうとするから……」
「その件については説明しましたよね? とにかくこちらの国に連れてくることが先決だって」
「で、でもぉ……」
なにか行き違いのお話でもあったんだろうか……こういう時、頼りになるのは執事のアレックスだ。
「アレックス、一体どういうことですか?」
「お嬢様に内密で進めていたことは申し訳ございません。しかし、この方法が一番お嬢様のためになると愚考いたしました」
「……そう……だったんですか」
ダニエル様に婚約破棄をされ、レーゼン家を離れることを私が決意した後にアレックスはリオネル様と考えてくれたんだろうとは思うけれど、やはり相談はして欲しかったわ……。
「いち早くレーゼン家から離れることが重要と考えました。しかし想定外のことが起こり、心よりお詫び申し上げます」
「想定外とは叔母様のことね?」
「申し訳ございません」
でも少し納得がいった気分だった。国家間の人の移動は、貴人になれば成程手続きが面倒になる。だからこそ、アレックスとリオネル様は私がレーゼン家から除籍され、平民となった所で移動を考えた。しかし、叔母様は私をミズリー家の養子とする書類を出してしまったのね……そうなると私は今はミズリー伯爵家の娘……貴族だ。貴族ともなれば時間がかかって当たり前になる。
「ミズリー夫人が余計なことをするから、こんな恥知らずな盗人どもがやってくるんですよ!」
「リオネル! あなたが私の許可なくパトリシアを連れて行こうとするからです!」
「許可は求めました! ミズリー伯爵にも許しを頂いています!」
「私とセルジオは許していませんよ!」
「ですからそれは国についてからゆっくり説明するつもりでした!」
叔母様とリオネル様が激しく言いあっている……。激しい口論のはずなのに、何故か二人がとても仲良く見えて不思議な気がした……何故かしら?
「セルジオ様とリオネル様は仲の良いご親友でして、リオネル様は良くミズリー夫人に叱られておりましたよ」
「えっセルジオお兄様と仲が良いなんて聞いたことがありませんでした」
セルジオお兄様は叔母様の息子のセルジオ・ミズリー伯爵令息になって、私より5つ年上のの立派な方です。私が叔母様に助けを求めに行ったときにも色々気にかけてくれたり、アドバイスを下さった頼りになる方。よく冗談で妹にならないか? といってくださっていたけれど、あれは本気だったのでしょうか。
「せっかくできた可愛い娘をすぐにリオネルに渡すなんてイヤぁ~~~!」
「隣の邸宅でしょうが! 我慢してくださいっ」
「セルジオも怒ってるのよ!」
「あいつめ……!」
邸宅が隣? ミズリー家の家とリオネル様の家は隣同士で建っているんでしょうか? 不思議に思いアレックスを見ると、今度はにっこり笑っている。
「隣同士ですよ、生け垣の扉を抜ければすぐです」
「まあ」
そんな近くに家を建てるなんてことは通常あまりないこと。よっぽど仲が良い家同士でなければしないはず。リオネル様と叔母様はああ見えてとっても仲良しなのですね。
「その件については説明しましたよね? とにかくこちらの国に連れてくることが先決だって」
「で、でもぉ……」
なにか行き違いのお話でもあったんだろうか……こういう時、頼りになるのは執事のアレックスだ。
「アレックス、一体どういうことですか?」
「お嬢様に内密で進めていたことは申し訳ございません。しかし、この方法が一番お嬢様のためになると愚考いたしました」
「……そう……だったんですか」
ダニエル様に婚約破棄をされ、レーゼン家を離れることを私が決意した後にアレックスはリオネル様と考えてくれたんだろうとは思うけれど、やはり相談はして欲しかったわ……。
「いち早くレーゼン家から離れることが重要と考えました。しかし想定外のことが起こり、心よりお詫び申し上げます」
「想定外とは叔母様のことね?」
「申し訳ございません」
でも少し納得がいった気分だった。国家間の人の移動は、貴人になれば成程手続きが面倒になる。だからこそ、アレックスとリオネル様は私がレーゼン家から除籍され、平民となった所で移動を考えた。しかし、叔母様は私をミズリー家の養子とする書類を出してしまったのね……そうなると私は今はミズリー伯爵家の娘……貴族だ。貴族ともなれば時間がかかって当たり前になる。
「ミズリー夫人が余計なことをするから、こんな恥知らずな盗人どもがやってくるんですよ!」
「リオネル! あなたが私の許可なくパトリシアを連れて行こうとするからです!」
「許可は求めました! ミズリー伯爵にも許しを頂いています!」
「私とセルジオは許していませんよ!」
「ですからそれは国についてからゆっくり説明するつもりでした!」
叔母様とリオネル様が激しく言いあっている……。激しい口論のはずなのに、何故か二人がとても仲良く見えて不思議な気がした……何故かしら?
「セルジオ様とリオネル様は仲の良いご親友でして、リオネル様は良くミズリー夫人に叱られておりましたよ」
「えっセルジオお兄様と仲が良いなんて聞いたことがありませんでした」
セルジオお兄様は叔母様の息子のセルジオ・ミズリー伯爵令息になって、私より5つ年上のの立派な方です。私が叔母様に助けを求めに行ったときにも色々気にかけてくれたり、アドバイスを下さった頼りになる方。よく冗談で妹にならないか? といってくださっていたけれど、あれは本気だったのでしょうか。
「せっかくできた可愛い娘をすぐにリオネルに渡すなんてイヤぁ~~~!」
「隣の邸宅でしょうが! 我慢してくださいっ」
「セルジオも怒ってるのよ!」
「あいつめ……!」
邸宅が隣? ミズリー家の家とリオネル様の家は隣同士で建っているんでしょうか? 不思議に思いアレックスを見ると、今度はにっこり笑っている。
「隣同士ですよ、生け垣の扉を抜ければすぐです」
「まあ」
そんな近くに家を建てるなんてことは通常あまりないこと。よっぽど仲が良い家同士でなければしないはず。リオネル様と叔母様はああ見えてとっても仲良しなのですね。
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