【完結】生き残りたい俺は死者と語る。

鏑木 うりこ

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83 蛇

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「その男から鍵を取ってって」

「……これか?」

「うん、それ見たい」

 何かとても高そうな鍵だ。指示されるままに倒れた男から鍵を奪い、地下へと降りてゆく。立派な扉の前でお姉様達は止まり

 ここよ、中に入って

 そう言われた。言われるままに鍵で扉を開けると

「わーお」

「わー……宝物庫!」

 グレイデールの宝物庫に負けず劣らずのキラキラに輝く金貨や宝石が無造作に積み上げられた部屋だった。2回目とは言え、圧倒されるような財宝にフラフラと吸い寄せられる。

「凄いねーフォーリ。グレイデールもいっぱいあったけどグレイアッシュにもこんなにいっぱいあるんだ」

「はー……流石何百年も、お宝をため込んでいる城は違うねぇ~。うわ、毛皮とかまである、きもっきもっ!」

「あはは」

 尻尾の先までツンツンに立てて青くなるフォーリは面白い。中にはたくさんの剣や本があり、宝と呼ばれるものはどこも似たようなモノなんだなあと思ってしまう。

「お」

 そのお宝の影から一匹の蛇がこっちを見ていた。そういえばグレイデールの宝物庫でフォーリに投げつけられたっけ!これはお返しのチャンスじゃね?蛇は真っ赤な目でこっちをみているけれど、大人しそうなヤツだった。

「うっしゃ……へへへ」

 やられたらやり返さないと……俺のいたずら心は最大まで膨らんで「ウギャアアア!」と全身の毛を逆立てて牙を剥くフォーリを想像してニヤついてしまう。そっと手を伸ばしても蛇は俺の方を見ているだけで逃げ出そうとしない。変わった奴だなあ?なんて一瞬思ったが、俺が蛇を掴んだ瞬間。

「あ、あれ?」

 蛇がスーッと消えていく。え?な、なんだ??

「どしたの?ナナ」

「へびが……」

 消える消えるどんどん消える。掴もうと伸ばした右手からどんどん蛇が消えて……

「ひっ!」

 何かが腕を駆け上る感覚。そう、蛇が……腕を駆け上ってくる!?気持ち悪い!

「ナナ!?どうした!!」

 俺の声にフォーリが飛んできた。

「フォーリ!へ、蛇が消えて……俺の腕を登って……いや登ってないんだけど、登ったんだ!」

「……よくわかんないけどナナ。勝手にここのお宝を被ってちゃだめだろ?」

「へ……?」

 俺、何もしてないけれど……かぶってる?頭に手を伸ばすとそこに何かが乗っていた。

「何だろう。蛇の冠だ……ナナ、こういうのが好きなの?」

「え?」

 いやそんなの知らないけれど。でも確かに何かが指先に触れた。恐る恐る両手で頭の上を調べると、俺は何かを被っている。そっと持ち上げ外してみると2匹の蛇が絡み合った古臭い感じのする冠だった。

「あれ?いつの間に……うえから落ちて来たのかなあ?」

 片方の蛇は青い目で、片方は赤い目。どっちの蛇も見た事がある気がするんだけれど。いや、気のせいだと思う。だってこんな冠初めて見た。薄汚れているし価値もなさそう。こんなキラキラした宝物の中にあるのが不思議なくらい見劣りする。

「フォーリにあげよっか?」

「えー!くれるならもっと高そうなの頂戴よ!」

「ふふ、まあそう言わず」

 自分の頭から外した冠をフォーリにかぶせてみた。おや?似合うじゃないか狐が蛇を被ったぞ。

「どう?」

「似合う似合う」

 そうかぁ?なんて二人で笑いあっていると外がものすごく騒がしくなっていることに気が付いた。きっと亡霊達がぶっ倒してきた人達が目を覚ましたんだろうなあ。それにしても何がしたかったのか教えてもらわないといけないな。

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