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85 生き残る者
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結局フォーリは王様になるしかなかった。王様を選定し終わった俺はもう必要ないって。
「んじゃ、そういう事で……」
「はぁ?何言ってるの?まさか自分だけ逃げようと思ってんの?」
「ぎゃっ!」
あ、はい!逃げようとしていたらフォーリに襟首を捕まえられた。
「や、やめて、やめてフォーリ」
「うるさいよ!ナナ!」
ずるずると引きずられて、ベッドの上にぽいっと放られる。ひいい!
「や!何するんだよ、フォーリやめて、やめてよ!」
「分かってないコにはお仕置きするんだよ!」
うつぶせに引き倒されて、上に乗られた。駄目だ、俺の力じゃ振りほどけない。
「ナナは俺の雌だろう?どこへ行く気なんだ」
「い、いや。王様になったんだから、俺で遊んでないで、ちゃんと……跡継ぎとか、要るだろ。女の人と結婚しないと」
全部言い終わる前に、首の後ろを思いっきり噛まれた!い、痛い!!
「痛い!痛いフォーリ!痛い離して……ッ!」
フォーリは聞く耳もたんと言った感じで、しかも小さく唸っている。え、凄く怒ってる!?
「離して……離してぇ……いたいよう……」
首の骨を折られるんじゃないかと思うくらいの力で噛まれて、俺はまた降参する。
「俺の雌だってこと忘れたら何度でもお仕置きするからな」
「ごめんなさい……ふぉーり……」
「分かれば良いんだ」
牙の後が残った首筋をペロペロと舐められる。まだ少し怖くてフォーリのいう事は聞こうと思う。
権威の塊みたいなグレイル王の王冠の威力はすさまじい物で、あっという間に反対派は消えていた。
うるさいからやっちゃった!
と言う亡霊さん達の大活躍もあった訳だが。死体?ああ、勿論俺が回収してスキルは集めたし体は使える所はとってあるし、魂はさっさと神様の元に送ったよ。これ以上監視されるのは嫌だし……。
「ナナ、こっちへ」
「……はい」
王位についたフォーリは王妃として俺を隣に置いた。嫌だと何度も断ったけれど、そのたびに噛まれて酷い跡が残っている。
「へへへ、ナナの可愛い抵抗の証」
「やめろ、気持ち悪い!」
その跡を舐めて触って愛でているフォーリはやっぱりおかしい。
グレイデールとグレイアッシュの中間にある国は、なんとなく勢力が弱まって来ていてそのうちフォーリの配下に入ってしまうと思う。古代のグレイル国が本当に復活しそうな気がしてきた。
「妻はナナしかいらない。優秀な養子を用意するか、ナナに子供を孕ませる方法を考えろ」
そんな宣言をフォーリがしてしまうものだから、たくさんの養子候補が送り込まれて来たけれど、どれも不合格の判定を受けて帰らされてしまっている。
「もう養子候補を送るより、なんとかナナ様にご懐妊いただく方法を考えた方が早い」
と、やけっぱちになっている部下が増え始めていて怖い。いや、俺男だから。子供なんて産めないからね!?
ナナちゃん……良かったわね
スーっと今日もまた一人二人、お姉様方が昇天していく。
「ひ……」
一人しか愛さない王とその王に愛され慈しまれ求められ……毎晩啼かされているのを見て満足されているらしい……勘弁してください!
「毎晩……毎晩……公開プレイしないといけないの……」
「……この城の亡霊さん達が全員神様の所に行くまではこのままじゃ?」
「ひいいい!」
俺、頑張る。掃除とか超がんばる!
「夜、頑張った方が早いかもな?」
それは勘弁して欲しい!
こうして俺は蘇った古代国家グレイルの王妃と言う変な場所に座ってしまうことになった。地獄街の死体漁りから成り上がったのだが、昔の方が気楽だったな、なんて思う事がたくさんある。
でも王妃の仕事は大してしなくても、違う仕事は続けているし、いろんなヤバい人達との付き合いも続いている。
「ナナー。今晩も新しい薬を試してくれだって」
「いや……そろそろ諦めて欲しいんだけど……」
フォーリが薬学部が開発した変なポーションを振りながら俺を呼ぶ。俺を妊娠させようと訳の分からない部門が発足して色々やっているがそろそろ諦めてくれないだろうか。
「今度は自信作って言ってたから、そろそろ子ども産んじゃうかもしれないな!楽しみー」
「馬鹿な事言うなよ~」
でも相変わらずフォーリは俺の事を可愛がって傍から離さないでくれているし、大事にしてくれるし、尻尾も触り放題だ。
「良いじゃん。そろそろ可愛い狐耳の尻尾付きの子供産めよ~絶対可愛いぞ」
「あーはいはい。産めたら産みますよー」
適当に返事をしておこう。もう何度目のやり取りか忘れるくらい言ってる事だしな。まあともかく俺はこのまま寿命まで生きられたら良いなと思っている。寿命が無理でもおっさんになるくらいまで、フォーリと一緒にいられたらいいな。
「俺、長生きする予定だから。ナナも頑張って付き合えよ」
「これ以上噛まれたくないから、頑張るよ」
なにおう!?と言いながら甘く嚙みついてくるフォーリを撫でながら、まあひとつ前の人生より、その前の人生より、今の人生が良いなと心から思った。狐の嫁になったけれど、神様呪いを解いてくれてありがとう。
俺、もう少し長く生きてみるよ。そして神様の仕事を手伝うね。
生き残りたい俺は死者と語る。【終】
「んじゃ、そういう事で……」
「はぁ?何言ってるの?まさか自分だけ逃げようと思ってんの?」
「ぎゃっ!」
あ、はい!逃げようとしていたらフォーリに襟首を捕まえられた。
「や、やめて、やめてフォーリ」
「うるさいよ!ナナ!」
ずるずると引きずられて、ベッドの上にぽいっと放られる。ひいい!
「や!何するんだよ、フォーリやめて、やめてよ!」
「分かってないコにはお仕置きするんだよ!」
うつぶせに引き倒されて、上に乗られた。駄目だ、俺の力じゃ振りほどけない。
「ナナは俺の雌だろう?どこへ行く気なんだ」
「い、いや。王様になったんだから、俺で遊んでないで、ちゃんと……跡継ぎとか、要るだろ。女の人と結婚しないと」
全部言い終わる前に、首の後ろを思いっきり噛まれた!い、痛い!!
「痛い!痛いフォーリ!痛い離して……ッ!」
フォーリは聞く耳もたんと言った感じで、しかも小さく唸っている。え、凄く怒ってる!?
「離して……離してぇ……いたいよう……」
首の骨を折られるんじゃないかと思うくらいの力で噛まれて、俺はまた降参する。
「俺の雌だってこと忘れたら何度でもお仕置きするからな」
「ごめんなさい……ふぉーり……」
「分かれば良いんだ」
牙の後が残った首筋をペロペロと舐められる。まだ少し怖くてフォーリのいう事は聞こうと思う。
権威の塊みたいなグレイル王の王冠の威力はすさまじい物で、あっという間に反対派は消えていた。
うるさいからやっちゃった!
と言う亡霊さん達の大活躍もあった訳だが。死体?ああ、勿論俺が回収してスキルは集めたし体は使える所はとってあるし、魂はさっさと神様の元に送ったよ。これ以上監視されるのは嫌だし……。
「ナナ、こっちへ」
「……はい」
王位についたフォーリは王妃として俺を隣に置いた。嫌だと何度も断ったけれど、そのたびに噛まれて酷い跡が残っている。
「へへへ、ナナの可愛い抵抗の証」
「やめろ、気持ち悪い!」
その跡を舐めて触って愛でているフォーリはやっぱりおかしい。
グレイデールとグレイアッシュの中間にある国は、なんとなく勢力が弱まって来ていてそのうちフォーリの配下に入ってしまうと思う。古代のグレイル国が本当に復活しそうな気がしてきた。
「妻はナナしかいらない。優秀な養子を用意するか、ナナに子供を孕ませる方法を考えろ」
そんな宣言をフォーリがしてしまうものだから、たくさんの養子候補が送り込まれて来たけれど、どれも不合格の判定を受けて帰らされてしまっている。
「もう養子候補を送るより、なんとかナナ様にご懐妊いただく方法を考えた方が早い」
と、やけっぱちになっている部下が増え始めていて怖い。いや、俺男だから。子供なんて産めないからね!?
ナナちゃん……良かったわね
スーっと今日もまた一人二人、お姉様方が昇天していく。
「ひ……」
一人しか愛さない王とその王に愛され慈しまれ求められ……毎晩啼かされているのを見て満足されているらしい……勘弁してください!
「毎晩……毎晩……公開プレイしないといけないの……」
「……この城の亡霊さん達が全員神様の所に行くまではこのままじゃ?」
「ひいいい!」
俺、頑張る。掃除とか超がんばる!
「夜、頑張った方が早いかもな?」
それは勘弁して欲しい!
こうして俺は蘇った古代国家グレイルの王妃と言う変な場所に座ってしまうことになった。地獄街の死体漁りから成り上がったのだが、昔の方が気楽だったな、なんて思う事がたくさんある。
でも王妃の仕事は大してしなくても、違う仕事は続けているし、いろんなヤバい人達との付き合いも続いている。
「ナナー。今晩も新しい薬を試してくれだって」
「いや……そろそろ諦めて欲しいんだけど……」
フォーリが薬学部が開発した変なポーションを振りながら俺を呼ぶ。俺を妊娠させようと訳の分からない部門が発足して色々やっているがそろそろ諦めてくれないだろうか。
「今度は自信作って言ってたから、そろそろ子ども産んじゃうかもしれないな!楽しみー」
「馬鹿な事言うなよ~」
でも相変わらずフォーリは俺の事を可愛がって傍から離さないでくれているし、大事にしてくれるし、尻尾も触り放題だ。
「良いじゃん。そろそろ可愛い狐耳の尻尾付きの子供産めよ~絶対可愛いぞ」
「あーはいはい。産めたら産みますよー」
適当に返事をしておこう。もう何度目のやり取りか忘れるくらい言ってる事だしな。まあともかく俺はこのまま寿命まで生きられたら良いなと思っている。寿命が無理でもおっさんになるくらいまで、フォーリと一緒にいられたらいいな。
「俺、長生きする予定だから。ナナも頑張って付き合えよ」
「これ以上噛まれたくないから、頑張るよ」
なにおう!?と言いながら甘く嚙みついてくるフォーリを撫でながら、まあひとつ前の人生より、その前の人生より、今の人生が良いなと心から思った。狐の嫁になったけれど、神様呪いを解いてくれてありがとう。
俺、もう少し長く生きてみるよ。そして神様の仕事を手伝うね。
生き残りたい俺は死者と語る。【終】
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