【完結】虎の威を借りたつもりはないが、何か取られる狐の男子

鏑木 うりこ

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3 俺達の日常はこんなもん

「よっ大河内夫妻」
「誰がだ」
「ん」

 教室も忠臣と一緒。まあ学校は定員が少ないから3年間一緒だって割と普通だ。中学もずっと一緒だったなとか、小学校も一緒だったな、なんて思い出す事もあるけど、まあ別にいい。
 なんせ忠臣んちの両親はかなり忙しいから、家でよく忠臣の面倒を見ていた。運動会もおれんちの弁当を忠臣も食ったし、急いで仕事を終わらせて来た忠臣の両親はうちのレジャーシートの上から忠臣と俺をめちゃくちゃ応援してくれたし、運動会後の打ち上げ食事会はおれんちの家族も連れて回らない寿司に行ってたらふく奢ってくれたり。

 楽しい事ばっかりだよ。

「どうせ結婚すんだろ?良いじゃん」
「ん」
「はあ?しねーし、俺、男だしβよ」

 忠臣、適当に相槌打つな!阿呆。友達に揶揄われるのは毎日だけど、流石にうぜーし。

「やーでもよう、大河内ー流石に」
「あー」

 忠臣の虎尻尾が俺の胴に巻きついてる件ね。しゃーねーだろ。これは俺が悪い。

 俺らが5歳くらいの時、寝転がっている忠臣の尻尾を俺が思いっきり踏んづけたんだ。

「ふんぎゃーーーー!! 」
「う、うわーーー!オミ君!オミ君!ごめんなさいーー!! 」

 慌てて母さんが病院に連れてったけれど、忠臣の尻尾は複雑骨折。何とか継いでもらったけど、それは見事なカギ尻尾になってしまったのだ。

「かおるぅ……尻尾、怖い」
「じゃ。じゃあもう踏まないように俺がオミ君の尻尾を守ってあげる! 」
「うん!」

 それから忠臣は尻尾を俺の体のどこかに巻きつけている。地面に近い所に尻尾があると落ち着かないって本人は言ってるんだよね。

「北山ぁ……あーもういいや。早く結婚しろ」
「しねーし、馬鹿じゃねーの」

 俺は男でβだっつーの。結婚しても不毛なだけだろうよ。なんせ忠臣は子沢山を一族から期待されてるらしいしなー。

「忠臣?」
「ん」

 こいつまたボーッとして話聞いてないな?こいつは背も高いし、αだし、金はあるし顔もかっこいいのにボーッとして人の話を何にも聞いてないから彼女が出来ねーんだよ。

「忠臣ー?またボーッとして」
「ん」

 靴箱に女子から手紙が入ってても気がついてなくて発見したらくちゃくちゃで絶対二ヶ月以上気づかず居たな?って感じだし、勇気ある女の子が直接来てもいつもボーッとしてる。

「あ、あの大河内君っ付き合って下さい!」
「……」
「お、大河内、君?」
「……」
「あ、あのっ!!返事、は?!」
「……無理……」

 忠臣、せっつかれるのを物凄く嫌がる。

「俺、ああいう子、嫌い。薫が良い」
「あーはいはい。まだ男同士で遊んでた方が楽しいお年頃ですかねー」
「ん」

 モテα様はどうせよりどりみどりなんだから、今から焦って女の子とお付き合いしなくて良いんだろーなー!ちくしょー!羨ましい!!俺なんて一回も女の子から言い寄られた事ないのに!!

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