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16 何か変わるの……?
「北山薫君のー誕生日イブとしてぇーお祝い申し上げますーーー!」
「止めろ!どういうことだー!!」
「どうせお前ら明日学校こねーだろ?」
「明日は土曜日だ!誰もこねーよ!」
とにかく俺の誕生日は明日になった。北山家も大河内家もソワソワしてるし、忠臣は挙動不審でいつにもまして壁にぶち当たっているもんで、俺が一番落ち着いていた。
「良かったなぁ、大河内。もう逃げられなくて済むぞ」
「うん」
「大事にしろよ、締め殺すなよ?」
「気をつける」
「やめろ!お前ら!忠臣も返事してんじゃねーよ!」
「きゃーせんせー!大河内嫁が怖いですぅ」
「まだ北山だろ。まあ仲良くな?」
「あーーーっ!!」
クラス全員から囃し立てられたし、すれ違った校長先生からも暖かい目で見られたりしたのがなんだかいたたまれない。
「うんうん、第二性はね、うん。落ち着くならそれが良いよね、うん」
「はあ……?」
俺はのほほんと暮らしていたけれど何かあったんだろうか……。まあ忠臣が何個か学校の備品を壊して弁償していたからそれ関係かもしれないな。
その日の夜、俺は家族に見送られて大河内家にいた。
「なんかあったら大声で叫ぶのよ!分かったわね」
「わ、分かりました、冴子おばさん」
「私達も向こうで待機してるからね!忠臣、暴走しないように」
「う……うん」
冴子おばさんも総一郎おじさんも早く帰って来て、俺んちで待機らしい……という訳で、大河内家には俺と忠臣の二人だけ残された。最初のうちはまあ普通通りだったんだけど、夜になり日を跨ぐ時間が近づくとなんだかそわそわしてくる。
「えーと……俺さ、良く分からないんだけど、つがいになるってどういう感じなんだろうな」
「俺も……わかんない」
「だよなー」
テレビを見たり動画を見たりしながらゴロゴロしてたけど、忠臣の方が落ち着かない。
「は、歯磨きしてくる……」
「お前それ5回目」
「あう……」
どんだけ磨けば気が済むんだ?それにちょっと首を忠臣に齧られたくらいでなんか変わるんだろうか?本で読んだり動画で情報を見たけど、良く分からない。無理やりとかされると大変らしいけど、俺は別に忠臣と一緒にいても問題ないって思うけど……。
まーぶっちゃけなるようにしかならんか。
気が付いたらスマホを見ながら寝落ちしてて、忠臣に揺すり起こされた。
「薫、薫……12時過ぎた。お誕生日おめでとう、薫」
「んー……おはよう……どもども……ありがとー」
「薫……起きて。俺、いっぱい待った、いいよね?」
はて?何が良いんだっけ?
「つがい、噛んでもいいよね?」
あーそうだそうだ、そうそう、そういう約束だった~。
「おーいいぞーあんまり痛くないように頼むー」
ソファの上に座ったまま、頭を下げる。髪の毛は短いんだからぺろんと見えているはずだよね。
「いい?ホントに……良い?」
「いーよって言ってんじゃん。それともやめといたほうがいい~?」
「やめとかないっ!!」
後ろ、肩辺りに忠臣の手が乗ったなーと思ったらあっというまに痛みが走る。噛まれた、噛まれてる……あ、あれ?な、なにこれ……なんか、変だ。
「た、ただ、おみ、ただ……おみぃ……なにこれ、なにこれ……なんか、変だ……!あ……あああ!」
なんか確かに痛い、でも痛いとかそういうのだけじゃない。何か、何か逆らい難い何かがぐわっと押し寄せてくるような、それに、なにかを受け入れる為に体の中と頭の中の何かが弄られている感じ。そして真後ろで俺のうなじを噛んでいる忠臣の荒い息遣い……怖い、怖いよ!
「ただ……おみぃ……ただおみぃ……!こわい、こわいよ……たすけて、ただおみぃ……」
駄目だ、何も聞こえていない気がする……!もう十分噛まれたのに、さらに刺さってくる歯が痛い、痛いよ……。
「こわいよ たすけて おみくん……」
「っ!? カオ君!! 」
ぱっと痛みが消えて圧し掛かっていた重さがなくなる。
「カオ君!カオ君!!ごめん、俺!」
正面に忠臣の顔がある。すぐ近く。口の周りに血がついていて、凄く変な顔だけど……俺はやっと安心できた。
「オミ君ーー怖かったーー!」
「カオ君……!」
信じられなんだけど、俺は忠臣に抱き着いて泣いてしまった……何それ恥ずかしい……んだけど、その時はそうなっちゃったんだから仕方がないだろ……?
「止めろ!どういうことだー!!」
「どうせお前ら明日学校こねーだろ?」
「明日は土曜日だ!誰もこねーよ!」
とにかく俺の誕生日は明日になった。北山家も大河内家もソワソワしてるし、忠臣は挙動不審でいつにもまして壁にぶち当たっているもんで、俺が一番落ち着いていた。
「良かったなぁ、大河内。もう逃げられなくて済むぞ」
「うん」
「大事にしろよ、締め殺すなよ?」
「気をつける」
「やめろ!お前ら!忠臣も返事してんじゃねーよ!」
「きゃーせんせー!大河内嫁が怖いですぅ」
「まだ北山だろ。まあ仲良くな?」
「あーーーっ!!」
クラス全員から囃し立てられたし、すれ違った校長先生からも暖かい目で見られたりしたのがなんだかいたたまれない。
「うんうん、第二性はね、うん。落ち着くならそれが良いよね、うん」
「はあ……?」
俺はのほほんと暮らしていたけれど何かあったんだろうか……。まあ忠臣が何個か学校の備品を壊して弁償していたからそれ関係かもしれないな。
その日の夜、俺は家族に見送られて大河内家にいた。
「なんかあったら大声で叫ぶのよ!分かったわね」
「わ、分かりました、冴子おばさん」
「私達も向こうで待機してるからね!忠臣、暴走しないように」
「う……うん」
冴子おばさんも総一郎おじさんも早く帰って来て、俺んちで待機らしい……という訳で、大河内家には俺と忠臣の二人だけ残された。最初のうちはまあ普通通りだったんだけど、夜になり日を跨ぐ時間が近づくとなんだかそわそわしてくる。
「えーと……俺さ、良く分からないんだけど、つがいになるってどういう感じなんだろうな」
「俺も……わかんない」
「だよなー」
テレビを見たり動画を見たりしながらゴロゴロしてたけど、忠臣の方が落ち着かない。
「は、歯磨きしてくる……」
「お前それ5回目」
「あう……」
どんだけ磨けば気が済むんだ?それにちょっと首を忠臣に齧られたくらいでなんか変わるんだろうか?本で読んだり動画で情報を見たけど、良く分からない。無理やりとかされると大変らしいけど、俺は別に忠臣と一緒にいても問題ないって思うけど……。
まーぶっちゃけなるようにしかならんか。
気が付いたらスマホを見ながら寝落ちしてて、忠臣に揺すり起こされた。
「薫、薫……12時過ぎた。お誕生日おめでとう、薫」
「んー……おはよう……どもども……ありがとー」
「薫……起きて。俺、いっぱい待った、いいよね?」
はて?何が良いんだっけ?
「つがい、噛んでもいいよね?」
あーそうだそうだ、そうそう、そういう約束だった~。
「おーいいぞーあんまり痛くないように頼むー」
ソファの上に座ったまま、頭を下げる。髪の毛は短いんだからぺろんと見えているはずだよね。
「いい?ホントに……良い?」
「いーよって言ってんじゃん。それともやめといたほうがいい~?」
「やめとかないっ!!」
後ろ、肩辺りに忠臣の手が乗ったなーと思ったらあっというまに痛みが走る。噛まれた、噛まれてる……あ、あれ?な、なにこれ……なんか、変だ。
「た、ただ、おみ、ただ……おみぃ……なにこれ、なにこれ……なんか、変だ……!あ……あああ!」
なんか確かに痛い、でも痛いとかそういうのだけじゃない。何か、何か逆らい難い何かがぐわっと押し寄せてくるような、それに、なにかを受け入れる為に体の中と頭の中の何かが弄られている感じ。そして真後ろで俺のうなじを噛んでいる忠臣の荒い息遣い……怖い、怖いよ!
「ただ……おみぃ……ただおみぃ……!こわい、こわいよ……たすけて、ただおみぃ……」
駄目だ、何も聞こえていない気がする……!もう十分噛まれたのに、さらに刺さってくる歯が痛い、痛いよ……。
「こわいよ たすけて おみくん……」
「っ!? カオ君!! 」
ぱっと痛みが消えて圧し掛かっていた重さがなくなる。
「カオ君!カオ君!!ごめん、俺!」
正面に忠臣の顔がある。すぐ近く。口の周りに血がついていて、凄く変な顔だけど……俺はやっと安心できた。
「オミ君ーー怖かったーー!」
「カオ君……!」
信じられなんだけど、俺は忠臣に抱き着いて泣いてしまった……何それ恥ずかしい……んだけど、その時はそうなっちゃったんだから仕方がないだろ……?
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