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53 今更の後悔
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〈スキル「同族喰いEx」を使用します。魔王アッシュ(レベル851)が魔王セリカ(レベル1022)を捕食。魔王アッシュのレベルが上がります〉〈魔王アッシュ(レベル869722)。『神』より感謝と祝福を獲得(×100)により魔王アッシュのレベルが上がります〉〈魔王アッシュ(レベル86972200)になります。この世界で魔王アッシュを倒せる存在はほぼないでしょう〉
「セリカ、セリカ……!うわああああああ!」
バグった……俺のレベルがバグってしまった。まず、同族喰いだけでやばいと思てたのに、予想以上にセリカがレベルが高かったうえに、なんだ?神からの感謝と祝福で100倍?意味が分からない。
俺の目の前でセリカが消えてゆく。小さな白い蛍になってふわふわと散っていくのは中々きれいで幻想的だった。いいんじゃないかな、女の子だものな、きらきらふわふわ……魔法みたいにきれいに溶けてこの辛い世界には何も残らない。きっとセリカはそれを望んだんだろう。
セリカを作っていた全てが浮かび上がり最後の小さな蛍がベッドから飛びあがり、手を伸ばすロキを躱して俺の胸の辺りに吸い込まれる。
「セリカ、行かないで、セリカセリカあああああ!」
セリカはロキの叫びに応えることはない。そしてセリカの囚われた魂は現実へ帰って行けただろう。
「アッシュ……!お前えええええセリカを殺したなぁあああ! 」
ロキが俺を睨みつけるけれど、俺は怖いとは思わなくなっていた。
「セリカの願いだ。俺はセリカの願いを叶えた。ロキ、お前がセリカの願いを叶えられなかったから俺が叶えただけだ」
「だからってセリカを殺して……消す事ないだろう!!俺のセリカを返せ」
「身勝手な」
俺は冷たく突き放す。
「お前が最初にセリカの手を取らないからこういうことになるんだ」
「うるさいっ!アッシュの癖に!!お前もセリカと同じ目に合わせてやるー!! 」
「無理だな」
俺はどうやらとても高レベルになったようだからな。
「……おいで、スクルド……」
ただ、呼ぶだけで良かった。それだけで空間が歪み、人間が一人現れる。ああ背中に黒い一対の羽がある……そうか、スクルド。お前はウルズの羽を食ったんだな。ウルズとスクルドが片羽根づつ食ったあの黒い羽根それを食って自分の背中から生やしたんだな。
「……」
「俺だよ、スクルド。悪いんだけどロキを止めてくれ」
「……ああ、分かった」
耳は聞こえていて、言葉は喋れるようだった。ただ目は腐り落ちたかのように窪んでいて、さっきまでそこにいたセリカのようだった。ああ、早くそばに帰ってやれば良かった。
「やっぱり、俺を俺のダンジョンに連れて帰ってくれ、今すぐ」
「……」
「頼むよ、スクルド。お願い」
「……分かった」
スクルドは俺を抱き上げてセリカのダンジョンの天井を壊して飛び立った。
「セリカ、セリカ……!うわああああああ!」
バグった……俺のレベルがバグってしまった。まず、同族喰いだけでやばいと思てたのに、予想以上にセリカがレベルが高かったうえに、なんだ?神からの感謝と祝福で100倍?意味が分からない。
俺の目の前でセリカが消えてゆく。小さな白い蛍になってふわふわと散っていくのは中々きれいで幻想的だった。いいんじゃないかな、女の子だものな、きらきらふわふわ……魔法みたいにきれいに溶けてこの辛い世界には何も残らない。きっとセリカはそれを望んだんだろう。
セリカを作っていた全てが浮かび上がり最後の小さな蛍がベッドから飛びあがり、手を伸ばすロキを躱して俺の胸の辺りに吸い込まれる。
「セリカ、行かないで、セリカセリカあああああ!」
セリカはロキの叫びに応えることはない。そしてセリカの囚われた魂は現実へ帰って行けただろう。
「アッシュ……!お前えええええセリカを殺したなぁあああ! 」
ロキが俺を睨みつけるけれど、俺は怖いとは思わなくなっていた。
「セリカの願いだ。俺はセリカの願いを叶えた。ロキ、お前がセリカの願いを叶えられなかったから俺が叶えただけだ」
「だからってセリカを殺して……消す事ないだろう!!俺のセリカを返せ」
「身勝手な」
俺は冷たく突き放す。
「お前が最初にセリカの手を取らないからこういうことになるんだ」
「うるさいっ!アッシュの癖に!!お前もセリカと同じ目に合わせてやるー!! 」
「無理だな」
俺はどうやらとても高レベルになったようだからな。
「……おいで、スクルド……」
ただ、呼ぶだけで良かった。それだけで空間が歪み、人間が一人現れる。ああ背中に黒い一対の羽がある……そうか、スクルド。お前はウルズの羽を食ったんだな。ウルズとスクルドが片羽根づつ食ったあの黒い羽根それを食って自分の背中から生やしたんだな。
「……」
「俺だよ、スクルド。悪いんだけどロキを止めてくれ」
「……ああ、分かった」
耳は聞こえていて、言葉は喋れるようだった。ただ目は腐り落ちたかのように窪んでいて、さっきまでそこにいたセリカのようだった。ああ、早くそばに帰ってやれば良かった。
「やっぱり、俺を俺のダンジョンに連れて帰ってくれ、今すぐ」
「……」
「頼むよ、スクルド。お願い」
「……分かった」
スクルドは俺を抱き上げてセリカのダンジョンの天井を壊して飛び立った。
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