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聖女たん、召喚される
4 ナタリー・クラレット
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人間ってきりもみ状に飛ぶんだーー。
ナタリーの感想はそうだった。
「駄目王子があああーーー!」
私の怒りの鉄拳は、マルクとか言う王子とか言う奴の顔面が崩壊するくらいの勢いで炸裂した。
「なっ!?貴様!マルク様になにをっ!」
「うるせーーーてめーも飛べぇーー!」
「ぎゃーーー!」
あ、お兄様が飛んでる。ざまぁですわ。
「ま、マルクさまぁ!ジェスターさまぁあ!」
「お前もだーー!女狐がー!」
「ぎゃっーー!」
アシェットさんも飛んでる。流石に少し手加減なさったのね。低空だわ。
ナタリーは夢を見ているのかもしれない。
ぼーっとするナタリーと呼ばれ少女に、私は近づいていって、よく手入れされた頭にごつん、と拳骨を落とした。
可愛い声で
「いたっ!」
と聞こえてきた。
「あなた!ナタリーさん?だっけ?なんでちゃんと最後まで主張しないの!悪者になって終わるところだったじゃない!」
私は怒っている。なんでこんな可愛い子がこんな場所で1人責められるのか!周りにはたくさんの人が居るのに誰一人止めないのか。
騒ぎを聞きつけて、衛兵が駆け寄る。騒ぎ出す男が1人いた。
「あの!あの小娘が!ワシの女と王子と、侯爵の御子息を殴ったのです!ナタリー令嬢の手のものに違いありません!」
どうやらアシェットとか言う臭い子の父親らしい。私たちはぐるりと衛兵に囲まれた。片っ端から殴ってやろうかな?!
その時、私の背後にふわりとクロウが舞い降りて、衛兵たちをひと睨みする。
「下がれ、雑魚ども。聖女たん♡に武器を向ければお前たちの首は飛ぶとおも……いや、俺は殺しをやめたんだ……えーと、どうしたらいいんだ……?」
「……」
颯爽と現れた時はカッコ良かったのにな……クロウは地頭がちょっぴり残念なんだな。
「皆さん、お静かに。衛兵は下がって下さい。何も恐れる事はございません。全て神のお導きなのですから」
すっとラティスが歩みでる。流石、神官長。胡散臭いセリフがよく似合う。
「ラティス神官長が良く仰る!お噂はかねがねですぞ!悪い方ですがな!」
アシェットの父親だというハゲデブががなり立てる。今はイケメンオーラばりばりのラティスとハゲデブでは、完全にオーディエンスはラティスの味方である。
ふふっ
ラティスは自分がイケメンであることを知っている笑みをこぼす。御婦人方から あら?神官長さまはこんなに素敵な方だったかしら?なんて聞こえる。
更生してもラティスはどこか腹黒い。
「ささっ!聖女たん♡やっちゃって下さい」
「まかせろーー!そぉいーー!」
「ぎゃぽーーー!」
ハゲデブはめり込まずに、壁にぶつかり跳ねて、床にバウンドした。新しいな!
王子がやっと壁から這い出して来る。
「うう……私は一体……何か悪い夢を見ていたようだ……ナタリー!ナタリーはどこだ!ああ、ナタリー……私は君に何と酷い仕打ちを。許してくれ、ナタリー」
まっすぐにナタリー嬢へ向かって行くマルク王子は差し出した手をピシャリと叩かれる。
「マルク様、いい加減にして下さいませ!わたくしも聖女たん様に罰していただき目が覚めましたわ。王族たるもの、自身の発言には責務が伴うもの。ご自分のお言葉はご自分で責任を取っていただきとうございます。婚約破棄の件、確かに承りました。」
ナタリーは毅然とした態度で美しいカーテシーを決め、くるりと王子に背を向けた。そこには負け犬はいなくて、1人の美しい淑女の姿があった。
「聖女たん様、お力添えありがとうございます。神の愛をこの身に与えてくださり光栄でございます。下賤なる我が家ではございますが、聖女たん様のお役に立てることがあればなんなりとお申し付け下さいませ!」
「あ、うん、はい……」
私はキラキラお目目で見つめて来る美少女に3歩ほど下がった。
「本日は雑多な用ができましたので、御前を失礼させていただきますが、後ほど改めてお礼をさせていただきたく思います」
王子との婚約破棄は雑多で済ませてちゃったよ。ナタリーちゃん、少し強く叩きすぎたかな……ごめん。世紀の女傑を作ってしまった気がする。
「ナタリー!お前何を言って……」
「お父様っ!聖女たん様の御前ですよ!お静かにっ!」
「あ、そういうの大丈夫なんで」
「お父様!お許しをいただきました!お父様も聖女たん様の素晴らしさに触れるべきです!そのハゲ頭をお下げ下さいっ!」
ぶっ飛ばして弾んだハゲとは違うハゲが現れて、ナタリーちゃんの威圧に負けて、私の前に腰を折った。
「せ、聖女たん様におかれましては……」
嫌そうに口上を述べようとしてので
「そう言うのいいんで」
と、あげようとした手がハゲ頭にちょこんと当たった。
ふぁさぁ……ぁ♡
そんな幻聴が聞こえた。あら不思議!死に絶えてツルッツルの荒野が瞬く間にふっさふさの緑なす豊かな草原に♡
「ふさぁーーーー?!」
「せ、聖女たん様ぁあああーー!」
マジか
「聖女たん様、るり子様のお力でございます」
どやどやりーん!ラティスの鼻が伸びている。折りたい。
ナタリーの感想はそうだった。
「駄目王子があああーーー!」
私の怒りの鉄拳は、マルクとか言う王子とか言う奴の顔面が崩壊するくらいの勢いで炸裂した。
「なっ!?貴様!マルク様になにをっ!」
「うるせーーーてめーも飛べぇーー!」
「ぎゃーーー!」
あ、お兄様が飛んでる。ざまぁですわ。
「ま、マルクさまぁ!ジェスターさまぁあ!」
「お前もだーー!女狐がー!」
「ぎゃっーー!」
アシェットさんも飛んでる。流石に少し手加減なさったのね。低空だわ。
ナタリーは夢を見ているのかもしれない。
ぼーっとするナタリーと呼ばれ少女に、私は近づいていって、よく手入れされた頭にごつん、と拳骨を落とした。
可愛い声で
「いたっ!」
と聞こえてきた。
「あなた!ナタリーさん?だっけ?なんでちゃんと最後まで主張しないの!悪者になって終わるところだったじゃない!」
私は怒っている。なんでこんな可愛い子がこんな場所で1人責められるのか!周りにはたくさんの人が居るのに誰一人止めないのか。
騒ぎを聞きつけて、衛兵が駆け寄る。騒ぎ出す男が1人いた。
「あの!あの小娘が!ワシの女と王子と、侯爵の御子息を殴ったのです!ナタリー令嬢の手のものに違いありません!」
どうやらアシェットとか言う臭い子の父親らしい。私たちはぐるりと衛兵に囲まれた。片っ端から殴ってやろうかな?!
その時、私の背後にふわりとクロウが舞い降りて、衛兵たちをひと睨みする。
「下がれ、雑魚ども。聖女たん♡に武器を向ければお前たちの首は飛ぶとおも……いや、俺は殺しをやめたんだ……えーと、どうしたらいいんだ……?」
「……」
颯爽と現れた時はカッコ良かったのにな……クロウは地頭がちょっぴり残念なんだな。
「皆さん、お静かに。衛兵は下がって下さい。何も恐れる事はございません。全て神のお導きなのですから」
すっとラティスが歩みでる。流石、神官長。胡散臭いセリフがよく似合う。
「ラティス神官長が良く仰る!お噂はかねがねですぞ!悪い方ですがな!」
アシェットの父親だというハゲデブががなり立てる。今はイケメンオーラばりばりのラティスとハゲデブでは、完全にオーディエンスはラティスの味方である。
ふふっ
ラティスは自分がイケメンであることを知っている笑みをこぼす。御婦人方から あら?神官長さまはこんなに素敵な方だったかしら?なんて聞こえる。
更生してもラティスはどこか腹黒い。
「ささっ!聖女たん♡やっちゃって下さい」
「まかせろーー!そぉいーー!」
「ぎゃぽーーー!」
ハゲデブはめり込まずに、壁にぶつかり跳ねて、床にバウンドした。新しいな!
王子がやっと壁から這い出して来る。
「うう……私は一体……何か悪い夢を見ていたようだ……ナタリー!ナタリーはどこだ!ああ、ナタリー……私は君に何と酷い仕打ちを。許してくれ、ナタリー」
まっすぐにナタリー嬢へ向かって行くマルク王子は差し出した手をピシャリと叩かれる。
「マルク様、いい加減にして下さいませ!わたくしも聖女たん様に罰していただき目が覚めましたわ。王族たるもの、自身の発言には責務が伴うもの。ご自分のお言葉はご自分で責任を取っていただきとうございます。婚約破棄の件、確かに承りました。」
ナタリーは毅然とした態度で美しいカーテシーを決め、くるりと王子に背を向けた。そこには負け犬はいなくて、1人の美しい淑女の姿があった。
「聖女たん様、お力添えありがとうございます。神の愛をこの身に与えてくださり光栄でございます。下賤なる我が家ではございますが、聖女たん様のお役に立てることがあればなんなりとお申し付け下さいませ!」
「あ、うん、はい……」
私はキラキラお目目で見つめて来る美少女に3歩ほど下がった。
「本日は雑多な用ができましたので、御前を失礼させていただきますが、後ほど改めてお礼をさせていただきたく思います」
王子との婚約破棄は雑多で済ませてちゃったよ。ナタリーちゃん、少し強く叩きすぎたかな……ごめん。世紀の女傑を作ってしまった気がする。
「ナタリー!お前何を言って……」
「お父様っ!聖女たん様の御前ですよ!お静かにっ!」
「あ、そういうの大丈夫なんで」
「お父様!お許しをいただきました!お父様も聖女たん様の素晴らしさに触れるべきです!そのハゲ頭をお下げ下さいっ!」
ぶっ飛ばして弾んだハゲとは違うハゲが現れて、ナタリーちゃんの威圧に負けて、私の前に腰を折った。
「せ、聖女たん様におかれましては……」
嫌そうに口上を述べようとしてので
「そう言うのいいんで」
と、あげようとした手がハゲ頭にちょこんと当たった。
ふぁさぁ……ぁ♡
そんな幻聴が聞こえた。あら不思議!死に絶えてツルッツルの荒野が瞬く間にふっさふさの緑なす豊かな草原に♡
「ふさぁーーーー?!」
「せ、聖女たん様ぁあああーー!」
マジか
「聖女たん様、るり子様のお力でございます」
どやどやりーん!ラティスの鼻が伸びている。折りたい。
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