【完結】悪役令息の祖父のワシが神子をハメたら殿下がおかしくなった。溺愛とかジジィには必要ないです、勘弁してくだされ

鏑木 うりこ

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5 ワシ、お家改革に乗り出す

 やはり返事はすぐに出来ない、だった。殿下と神子殿の仲はやはりお二人は知らなかった。分かっていたけれど、そうなんだよね。ゲームでも最後の最後まで知らないんだ。
 二人が揃って不在の時を見計らって殿下はカレリオを断罪し、バンドール家を取り潰す。そんな裁量が殿下にあるのか?と思うが、まあその際にカナンの不正が明るみに出て、言い逃れができなくなる訳で。
 あと、多分バンドール家を潰したいどこかが暗躍したんだろう。宰相のザハ家か、コルサル公爵家か。カレリオは邪魔だったんだろう。

「いた、いたた……腰が……」

 帰りの馬車で呻いた。バンドール家の馬車の揺れもしんどいし、陛下の前で頭を下げた格好でいたのも身体中が痛い。

「うー……爺ちゃんだもんなー。何でもっと若い内に出てこれなかったんだぁ?!」

 食事情が良いせいか、あまりかさついてはいないが、やはり年寄りの手だ。ああ~シミとシワの大乱舞じゃないか~~~!

「もう少し、若ければなー!」

 嘆いても仕方がない。今は炭鉱行きを阻止しなければ!後、カナンの更生と、カレリオの幸せ!カレリオが最優先だった!まあ、家族全員炭鉱も絶対嫌だしな。




「……」

 突っ立っているロッソと、平伏しガタガタ震えるメアリー。

「使用人名簿を」

「……」

「こ、こちらにございます!」

 突っ立っているロッソと、丁寧にまとめられたメイド一覧を持ってきたメアリー。
 うん、明暗が分かれたねぇ。

「サミュエル、マリエル」

「はい、大旦那様」「はい」

 私の後ろから男女一人づつ出てくる。これぞと見込んで一週間前から教育を始めた二人である。

「マリエルはメアリーの下についてメイドを半分に減らすよう」

「畏まりました、大旦那様」

 ぺこりと頭を下げる。うん、礼儀もそこそこに出来る。マリエルは良い補佐をするだろう。

「サミュエルは執事の部屋へ行き、片付けてくる様に」

「かしこまりました、大旦那様」

「お、大旦那様?!あの部屋は私が使っています!」

 今更慌てて、ロッソが口を開くが、お前何言ってんの??

「もう使わなくて良い。ロッソ、お前は今日限りでクビだ。退職金は今まで不正に使い込んだ金で許してやる」

「お、大旦那様?!」

 サミュエルは一つ礼をしてから与えた仕事を遂行しに消えた。うん、サミュエルも使える男だ、流石ワシ、人を見る目はまだまだ健在だな。

「ロッソ、騒ぐようなら手荒な事になるが?」
 
 バンドール家の私兵は結構強いぞ!今も部屋の扉のそばで待ち構えている。

「くっ……」

「お前の一週間の働きぶりは見せてもらった。非常に良くないな……特に主人の金をちょろまかすのは執事としてどうなのかと頭を抱える所だし、新人のメイドを殴りつけて言う事を聞かせるのは男としてもどうかと思う」

 メアリーは罪の重さを自覚し、やり直そうと私に謝罪をしてきた。そしてきちんと自分の仕事を忠実にこなし始めたが、ロッソは変わろうとしなかった。

「命は取らないでおこう。二度と我が家に近づくなよ?」

 サミュエルがロッソの私物を纏めて持ってきてくれる。

「金庫の中身は回収させていただきました。大旦那様のご好意で一万ゴールドは差し上げるとの事ですから。さようなら」

 サミュエルと私兵に見送られ、ロッソはとぼとぼと屋敷を出て行った。
 ロッソは悪い男ではなかったのだが……カナンのあまりにも隙がある主人振りに間が差したのかも知れない。
 ロッソの人生を歪めてしまったかも知れん。もし、巡り合う事があれば、力になってやりたいかもしれん。


 その時、炭鉱にいなければな。

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