【完結】悪役令息の祖父のワシが神子をハメたら殿下がおかしくなった。溺愛とかジジィには必要ないです、勘弁してくだされ

鏑木 うりこ

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39 ワシ、嵌める

「うそ、失敗?あ、どこ、リセットボタン、どこ?どこだろ?ね、教えてよ」

 カズハがヨロヨロと寄ってくる。さて最後の仕上げをせねば。
 地面に下ろして貰えたワシはゆっくりとカズハに近づいて行く。

「ダグラス様?」

 大丈夫じゃよ。そしてぽそりと呟くのだ。

「ファンディスク」

「は?」

「第二幕……隠しキャラ、海の向こうの国」

「う、嘘、え?」

 それだけそっと呟いて離れた。

「え、あ、あったの?ファンディスクに第二幕……?!嘘、知らなかった……あ、もしかしてここで全員と結ばれない事が条件?!え、嘘?!えっ!えっ?!」

 口の中で噛み締めるようにカズハは繰り返す。

「ダグラス様?カズハに何か仰ったのですか?」

「ええ、この国を離れてもお元気でと。学園では色々ありましたので」

 セブスト殿下は苦ーい顔になってから

「それについては私も弁解のしようもございません。本当にカレリオにもダグラス様にも申し訳ない事をしました」

「良いのですよ、若気の至りと言う事にしましょう」

 面目ないと首を垂れながらもワシからちょっとも離れようとしない。別の騎士がカズハの元へ行き、立つように言うとシャッキリ立ち上がって

「ねえ!僕、この国から出たい!」

 なんて自分から言い出しているようで良かった。婚約を承諾する二つ目の条件がカズハをこの国から追い出す事、しかも自力では戻って来られない遠い国へと注文をつけたのだから。

「ま、ファンディスクも第二幕も無いんだけどね」

 いや、もしかしたら出たかもしれない。しかしワタシはその存在を知らない。そう完全な嘘だ。
 でもこれでカズハはウキウキと楽しく遠い国へ向かうだろう。どんなついた先の国で待遇になるかは分からないが。

「もう僕を好きになってくれない殿下なんか要らないー!カレリオだろうがそっくりさんだろうが婚約したら良いさ!僕は違う国で幸せになっちゃうもんねー!さ!行こ行こ!」

 もうカズハの心はありもしないファンディスクか続編でいっぱいだ。良かった、神子がいなくなれば完全にあのゲームから離れることが出来る。バンドール家の没落も、炭鉱からも解放された!やった、やり切ったぞ!

「ではダグラス様。手続きをするのに、一度王宮まで来てくださいますよね?」

「ああ、そう致しましょう」

 エスコートされるままに殿下と共に馬車に乗り込んでしまったんじゃよ、ワシ。やっと迫りくるゲームストーリーから逃げられたと安心して油断したんじゃ……とほほ。


 
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