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49 ワシ、手の者を派遣する
「バンドール家でございます。こちらの教会に大旦那様のお眼鏡に適った少年少女がおります。これより、我が家で養育し、働くよう承ってございます」
「ええと、あの。大旦那様とはどなたの事が存じませんが、バンドールの紋章が入ったハンカチを受け取った者がおります。スージー、ロナルド」
「はい、神父さま」
身なりのきれいな女の子と男の子。そこそこに教育が行き届き、とても従順そうな2人。急遽用意したのだろう
この教会付属の孤児院にバンドール家から来たのはメイド副長とも呼べるマリエルと護衛にリドリーの2人だったが、2人ともよく気付くタイプだ。
リドリーに至ってはこっそり隠れて様子を伺っているワシとセブスト殿下にも気づいていて、ワシらか見やすい位置に誘導する徹底ぶりだ。
またボーナス狙っておる目じゃ!
さて、ワシの小さな罠がもう仕事をしておる。手筈通り、マリエルが尋ねる。
「子供の名前が違いますね。アンナとルークと聞いております。アンナとルークをお願いします」
神父は分かりやすく顔色が変わり、沢山の指輪がついた両手を揉み合わせる。
「え?は??少しお待ち下さいね!」
2人の子供を連れて奥に下がる。
「名前なんか教えたのか!」
「だって……きゃあ!」
「口答えするなッ!」
ワシらの所には声も音も聞こえて来なかったが、リドリーが顔を顰めている。子供をなじっているんだろう……。
「……あれがあの神父」
「こっちが素でしょうな」
少しして神父はにこにこ笑いながら手に小袋を持って出てくる。スージーとロナルドも一緒だ。
「ええ、ええ!この子たちの名前はアンナとルークでした!私とした事が少々勘違いしておりました」
そう言いながら、メイドのマリエルに近づいて来る。リドリーが2人の間にスッと入ると、リドリーに小袋を押し付けて来た。
「……」
「アンナとルークです」
じゃらり、と金の音がする袋。これで何も見なかった事にして2人の子供をアンナとルークとして連れて行けと言う事だろうね。
「手慣れているな」
「賄賂と買収が横行していると見て良いでしょうな」
アウトなやつじゃのう。殿下と小声で話し合う。
「貴方はこの子供達の養育者であるのに、名前を間違えるのですか。到底理解出来ませんね」
マリエルの声は氷より冷たいし、リドリーも金の入った小袋は受け取らない。あいつはそんな小金では動かんぞ。
「う……」
神父は呻くが、マリエルは2人の子供に声をかけた。
「貴方達、ハンカチは?」
「こ、これです!」
2人は困惑しながらもハンカチを差し出した。ワシが昨日アンナとルークに渡したハンカチに間違いない。
「ふむ、リドリーさん」
「はは、流石ですね。おーい!ハンカチを知っている奴ーどこだー?」
リドリーの大声は教会内に良く通った。
「ハ、ハンカチなら!こいつらが!」
神父は2人からハンカチを取り上げて、かざしてみせるが、そうじゃ無いんだ。
「おーい!ハンカチー!ハンカチーーー!」
「紫です!!」
奥の部屋から声がした。
「いたよ、マリエルさん」
「そのようですね」
「ええと、あの。大旦那様とはどなたの事が存じませんが、バンドールの紋章が入ったハンカチを受け取った者がおります。スージー、ロナルド」
「はい、神父さま」
身なりのきれいな女の子と男の子。そこそこに教育が行き届き、とても従順そうな2人。急遽用意したのだろう
この教会付属の孤児院にバンドール家から来たのはメイド副長とも呼べるマリエルと護衛にリドリーの2人だったが、2人ともよく気付くタイプだ。
リドリーに至ってはこっそり隠れて様子を伺っているワシとセブスト殿下にも気づいていて、ワシらか見やすい位置に誘導する徹底ぶりだ。
またボーナス狙っておる目じゃ!
さて、ワシの小さな罠がもう仕事をしておる。手筈通り、マリエルが尋ねる。
「子供の名前が違いますね。アンナとルークと聞いております。アンナとルークをお願いします」
神父は分かりやすく顔色が変わり、沢山の指輪がついた両手を揉み合わせる。
「え?は??少しお待ち下さいね!」
2人の子供を連れて奥に下がる。
「名前なんか教えたのか!」
「だって……きゃあ!」
「口答えするなッ!」
ワシらの所には声も音も聞こえて来なかったが、リドリーが顔を顰めている。子供をなじっているんだろう……。
「……あれがあの神父」
「こっちが素でしょうな」
少しして神父はにこにこ笑いながら手に小袋を持って出てくる。スージーとロナルドも一緒だ。
「ええ、ええ!この子たちの名前はアンナとルークでした!私とした事が少々勘違いしておりました」
そう言いながら、メイドのマリエルに近づいて来る。リドリーが2人の間にスッと入ると、リドリーに小袋を押し付けて来た。
「……」
「アンナとルークです」
じゃらり、と金の音がする袋。これで何も見なかった事にして2人の子供をアンナとルークとして連れて行けと言う事だろうね。
「手慣れているな」
「賄賂と買収が横行していると見て良いでしょうな」
アウトなやつじゃのう。殿下と小声で話し合う。
「貴方はこの子供達の養育者であるのに、名前を間違えるのですか。到底理解出来ませんね」
マリエルの声は氷より冷たいし、リドリーも金の入った小袋は受け取らない。あいつはそんな小金では動かんぞ。
「う……」
神父は呻くが、マリエルは2人の子供に声をかけた。
「貴方達、ハンカチは?」
「こ、これです!」
2人は困惑しながらもハンカチを差し出した。ワシが昨日アンナとルークに渡したハンカチに間違いない。
「ふむ、リドリーさん」
「はは、流石ですね。おーい!ハンカチを知っている奴ーどこだー?」
リドリーの大声は教会内に良く通った。
「ハ、ハンカチなら!こいつらが!」
神父は2人からハンカチを取り上げて、かざしてみせるが、そうじゃ無いんだ。
「おーい!ハンカチー!ハンカチーーー!」
「紫です!!」
奥の部屋から声がした。
「いたよ、マリエルさん」
「そのようですね」
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