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52 ワシ、夜会に参戦する
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貴族と夜会は切っても切り離せないものじゃ。剣に覚えがある者や魔法が優れている者は戦場やら、大会やらで活躍の場もある。
しかしワシのようにどちらも得意ではない者は、夜会こそが戦場であり、戦いなのだ。情報を読み、時勢を知り、味方を増やし、弱味を握る。
まあ、ワシも侯爵だった頃はガツガツしておったわ。ついでにバチバチもしたが、カナンに家督を譲ってからはのんびりしておったのじゃが……また夜会に出なくてはならんとは!
「ダグラス様!お似合いです!」
「はぁ……このまめまめしさを何故カレリオの時に発揮して頂けなかったのか……」
「それは、本当にすみません……」
今度はセブスト殿下の婚約者として出席しなければならなくなってしもうた。しかも殿下は張り切って揃いの礼服も仕立てて来るし、要らぬと言うのに宝飾品の類まで持ってくる。
全く、カレリオはあんなに邪険にしたのに!まあ反省はしておるし、カレリオとて当時の事を謝られても困るじゃろうしなあ。
あんまり虐めても可哀想じゃしのう……。
ついでに言うとまだ王宮に捕獲されっぱなしのワシだったので、王宮で催される夜会にはでない訳には行かないようじゃった。家に帰りたい……。
「良くお似合いです!セブスト殿下!ダグラス様!」
「ありがとう。出るからには殿下に恥をかかせぬくらいには立ち回りますよ」
着付けを手伝ってくれたメイドや侍従に礼を言って戦場に向かう。
「まあ、しかし気楽に構えて良いでしょうな」
「ええ、私は王太子ではありませんし、ダグラス様も一線を退いた身。ゆるりと楽しみましょう?」
そう言って差し出して来た手に手を重ねる。
「そうですな」
政治的価値の薄い我らだ。のんびりと眺めるのも良いかもしれん。
そう思って気楽に足を踏み入れたのに、殿下は早々に囲まれてしもうた。あれれ?
「セブスト殿下!近頃のご活躍聞き及んでおりますぞ!」
「いやぁ、本当にお強い!流石魔王を斬り伏せる猛者!グリズリーバッファローなど、普通は一人で倒せませぬ!」
「あ、いえ、あの……」
あれよあれよと言う間に人垣の向こうへ。中々の人気者じゃのう……。
「ワシはのんびりさせてもらうかの」
ひょいひょいと軽食のあるテーブルに近づき、脂乗りがあまりなさそうなさっぱりしていそうな白身魚のテリーヌなどを一つ二つ。肉はちょっとなあ、いや多分食えるんじゃろうけど、ゼリーとか口当たりのさっぱりしたものが良いのう……。
「ちょっと!カレリオ・バンドール!」
この夜会のカレリオは招かれておらんはずじゃが?バンドール家の者として振り返ると、年の頃は20歳前じゃろうか?きつい化粧をした小娘が偉そうに立っておった。なんじゃ?
しかしワシのようにどちらも得意ではない者は、夜会こそが戦場であり、戦いなのだ。情報を読み、時勢を知り、味方を増やし、弱味を握る。
まあ、ワシも侯爵だった頃はガツガツしておったわ。ついでにバチバチもしたが、カナンに家督を譲ってからはのんびりしておったのじゃが……また夜会に出なくてはならんとは!
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「はぁ……このまめまめしさを何故カレリオの時に発揮して頂けなかったのか……」
「それは、本当にすみません……」
今度はセブスト殿下の婚約者として出席しなければならなくなってしもうた。しかも殿下は張り切って揃いの礼服も仕立てて来るし、要らぬと言うのに宝飾品の類まで持ってくる。
全く、カレリオはあんなに邪険にしたのに!まあ反省はしておるし、カレリオとて当時の事を謝られても困るじゃろうしなあ。
あんまり虐めても可哀想じゃしのう……。
ついでに言うとまだ王宮に捕獲されっぱなしのワシだったので、王宮で催される夜会にはでない訳には行かないようじゃった。家に帰りたい……。
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「ありがとう。出るからには殿下に恥をかかせぬくらいには立ち回りますよ」
着付けを手伝ってくれたメイドや侍従に礼を言って戦場に向かう。
「まあ、しかし気楽に構えて良いでしょうな」
「ええ、私は王太子ではありませんし、ダグラス様も一線を退いた身。ゆるりと楽しみましょう?」
そう言って差し出して来た手に手を重ねる。
「そうですな」
政治的価値の薄い我らだ。のんびりと眺めるのも良いかもしれん。
そう思って気楽に足を踏み入れたのに、殿下は早々に囲まれてしもうた。あれれ?
「セブスト殿下!近頃のご活躍聞き及んでおりますぞ!」
「いやぁ、本当にお強い!流石魔王を斬り伏せる猛者!グリズリーバッファローなど、普通は一人で倒せませぬ!」
「あ、いえ、あの……」
あれよあれよと言う間に人垣の向こうへ。中々の人気者じゃのう……。
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ひょいひょいと軽食のあるテーブルに近づき、脂乗りがあまりなさそうなさっぱりしていそうな白身魚のテリーヌなどを一つ二つ。肉はちょっとなあ、いや多分食えるんじゃろうけど、ゼリーとか口当たりのさっぱりしたものが良いのう……。
「ちょっと!カレリオ・バンドール!」
この夜会のカレリオは招かれておらんはずじゃが?バンドール家の者として振り返ると、年の頃は20歳前じゃろうか?きつい化粧をした小娘が偉そうに立っておった。なんじゃ?
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