【完結】悪役令息の祖父のワシが神子をハメたら殿下がおかしくなった。溺愛とかジジィには必要ないです、勘弁してくだされ

鏑木 うりこ

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79 ワシ、その後を色々耳にする

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 若い時は違ったが、年寄りの時の流れは早い。あっという間に殿下は学園を卒業する。

「沢山の思い出が詰まった良き学園生活でした」

 殿下はやはり卒業生代表として壇上に立ち、色々な事を語りながらも、最後の締めくくりはこうだった。
 一応ワシもほんの少しだけ生徒としてカレリオの代わりに通ったので、学園に思い出はあるが、腰痛が辛かったな。が、最初に出てくる辺りやはりジジィだな。
 カズハの話はダスティンとワシだけにはチラリと報告があった。海の向こうの国の王に気に入られ、側妃として後宮に閉じ込められたらしい。

「え?は?!そう言うシナリオなの?!えっ??ルート分岐は?攻略対象者って誰???誰か教えてよ!!」

 よくわからんことを叫びながらも、自由は一欠片もないが贅沢な暮らしはしておるようじゃ。

「そのまま死ぬまで外に出る事はないそうだ」

「ほう」

「アレはサディーアにも粉をかけておっただろう?」

「……そうであったな……」

 あーダスティンは怒ってたのか。こりゃワシが手を下すまでもなく、カズハは消えておったな。

「ダグ、お前はぬるい。あの程度で許すなど……生皮剥がして死霊の餌にしてくれようと思っておったのに」

「……あ、うん……」

 どうやらワシ、カズハの命を救ったみたい。一応愛されてるし、贅沢してるし、生きてるし。感謝されても良いみたいじゃった。

「ま、お前と殿下の事も何とかしておくから安心しろ」

「安心は出来んが、お前の頭の中の画餅に乗らせて貰うよ。お前なら絵の中の餅を必ず現実の物にするじゃろうし」

「実現しない絵など描くものか」

 おーこわ。とりあえず復興し始めたオルトラ温泉の高級旅館でも押さえておくか。あそこも竜を打ち倒したら湯の量はすぐに復活したし、リドリーを派遣してあの荒くれ者どもを鍛え、街の護衛にしたらうまい具合に回り始めた。
 今では街の護衛だけでも竜を狩れるようになったらしく

「竜狩りツアーが人気なんです!」

 なんて、両手を「ボーナス下さい!」の形で出してきたので、金貨の入った袋を乗せてやった。

「わーい!ありがとうございま~す!」

 貰った金にホクホクと素直に喜ぶリドリーは安心してみていられるから良いのう。

「そういえば、バンドール家の方にカークス先生が来ていたんですが、カークス先生も婚約者がアレになっちゃったんで、誰かいないんですかねえ?」

「そう言えばそうじゃな。罪もない若人がパートナーを失う悲しい事件が勃発しておるからな……」

 そういえばトレヴァーの婚約者もレイモンドばかり追い回すトレヴァーにほとほと愛想が尽きたようだと聞いておるし、その辺上手い事やっておくかの……。

「アンナも良く働くし、ルークは俺の弟子みたいになりましたし、スージーもロナルドもカレリオ様の言いつけを良く守っています」

 ほう、子供達も上手く馴染んでいるんじゃの。……あのスージーとロナルドもウチに来とるのか、まあその辺はきっとカレリオの采配なんじゃろう、悪くない。

「カナンは?」

「あー……旦那様は相変わらずと言いますか……」

「……家に関わる全権を取り上げておくとしよう」

 鉱山での強制労働に逆戻りになってはたまったものではないわい。
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