【完結】悪役令息の祖父のワシが神子をハメたら殿下がおかしくなった。溺愛とかジジィには必要ないです、勘弁してくだされ

鏑木 うりこ

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89 ワシ、キッチリ仕掛けられるのが気に入らん

「では、ごゆるりと」

「はあ」

 とうとう殿下とゴールインしてしまったワシ。おかしい……ワシの計画では今頃、領地で優雅なスローライフを送っているはずだったのに。再教育中のカナンはちっともモノにならず、やはりカレリオの方が当主に相応しいと執事やメイド長から連絡が来ておる。カレリオが学園を卒業したら即手続きを済ませねばならないな。
 それまでワシの目も黒いじゃろうし……何とかなるだろう。ワシじゃなくてカナンが領地に引きこもる事になってしまったな……おかしい。

「ダグラス様!ダグラス様!」

 ああそうじゃった、お隣に殿下がおられるのじゃった。すっかり我が家の事に意識が飛んでおった。

「なんですかな?」

「初夜ですよ!初夜!」

 いや流石に、ワシだって口から出てしまうよ。

「何をいまさら」

 落ち込んでもそれが事実であります故。王族の初夜ともなれば、確かに見届け人やらなにやらいる時もあるでしょうが、子供が出来ない男同士の結婚の場合そんなのは必要ない訳で。

「ひ、酷……楽しみにしてたのに!」

「……」

 流石のワシも呆れるよ?殿下とワシのその辺事情は何故か皆知っておるし……今更感しかありませんな!

「せっかく、せっかく……これを……」

 またこの水色の小瓶を目にする日がこようとは!

「またー!!どこから貰って来たの!捨ててきなされ!!」

「だって、だってレイモンド様が、結婚したら絶対必要ですからって!今度皆で取りに行きましょうって!」

「あのどちくしょーーーー!」

 嘘を吹き込むな!嘘を!

「レイモンド様も毎日激しいって……ふう、トレヴァーが羨ましいです……」

 あの脳筋共が激しいのは毎日のトレーニングで、夜ではないと思いますぞ、殿下。きっと夜は夕飯を食べると昼間の訓練で疲れて、スヤスヤ早寝をし早くから起きてトレーニングをしているに違いないですぞ。間違いなく殿下が思ってるのとは違う激しさだと思いますぞ。

「お願いします~今日だけですから~……」

「うっ……」

 最近、殿下が下手に出ることを覚えなすった。なんだかんだで、殿下の「お願い」に弱い傾向があるワシじゃが、何か違和感を感じる。こう……演技っぽいような……?

「はっ!?ダスティンに何か吹き込まれましたな!?」

「そんなことはありません!って否定すればいいってダスティン様に教えていただきました!」

「あの野郎ーーーーーー!」

 やっぱりあいつかー!「あ、しまった」と口を押えても遅いですぞ!まったくワシの同期はろくでもないもの揃いじゃ!そんなワシもろくでもないんじゃがの。

「ケンウッド様が少しの間だけ言われた事を思わず聞いてしまうという催眠系の魔法が込められた魔道具を一つ貸してくださって……」

「やめてくだされーーー!」

 最後までキッチリ仕掛けてくるのは本当にやめて欲しい!……もし仕掛ける側だったら?そりゃ最後までキッチリ仕掛けるのは当然じゃろう……!

「ですから、ね?」

 満面の笑みで小瓶を渡してくるのは勘弁して欲しい!

「ううっ……」

 なんだかんだでやっぱり「お願い」に弱いんじゃよ……。

 
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