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番外編
1 サディーアの受難
「サディーア……サディーア、可哀想な子」
「メルクリーアお祖父様、どうして私は可哀想な子なのですか?」
「……今は分からなくて良い。一生分からなくて良いように、私は頑張って長生きするからね……」
物心ついた時から、サディーアは「可哀想な子」と祖父のメルクリーアに言われ続けていた。
何故か、どうしてか。メルクリーアは教えてくれない。そしてそう言うのはメルクリーアだけであり、同じく祖父のダスティンはそんな事を一言も言わず、サディーアの父であるアーノルド同様厳しく躾けられた。
ゼフ家は代々優秀な者を多く輩出していて、宰相位につく者も多い。祖父のダスティンもそうだし、サディーアの父のアーノルドは現在の宰相を勤めている。
無論、サディーアもそうなるべく日々勉学に励んでいた。
「サディーア様はメルクリーア様に似ていらっしゃいますね」
「そうですか?メルクリーアお祖父様と血の繋がりはないのに、不思議ですね」
ゼフ家の執事はまだ若い。最近交代したばかりだった。そんな執事とサディーアは取り止めもない話をしていた。
「アーノルド様は養子でいらっしゃるから、確かにそうですね」
この国では珍しくない同性同士の結婚。祖父のダスティンとメルクリーアは男性同士で結婚したので、サディーアには二人の祖父がいる。そしてダスティンは養子にアーノルドを迎えた。アーノルドは女性と結婚し、サディーアはその息子である。
「父上がメルクリーアお祖父様に似ていらっしゃるから」
メルクリーアもアーノルドもサディーアも青い髪をしていて、目の色も全員同じ水色だ。サディーアの母親も似たような髪の色に目の色で、顔つきもなんだか似ているような気がする。
「ふふ、もしかしてダスティン様はメルクリーア様に似ているからアーノルド様を養子に迎えたのでしょうか?」
「そうかもしれませんが、それ以上に父上が優秀だったからでしょう?無能な者はゼフ家に必要ないはダスティンお祖父様の口癖ですよ」
「そうですね。ダスティン様は中々手厳しい……」
「そう感じるのは期待されているから、ですよ」
「ご期待に添えるよう頑張らねばなりませんね」
まだ未熟な二人は励まし合う。頑張って一人前にならなければと。
ゼフ家がある意味平和だったのはこの頃までだった。たちの悪い風邪が流行し、サディーアの母親とメルクリーアが病に倒れたのだ。
必死の手当ての甲斐もなくサディーアの母親は儚くなり、メルクリーアも伏せがちになる。
「メルク、メルクリーア……早く元気になってくれ」
「大丈夫ですよ、ティム。すぐ良くなるからね」
ダスティンは甲斐甲斐しくメルクリーアの元に通い始め、サディーア達の教育はアーノルドが受け持つ事になる。
「ダスティン様に比べたら私の課題は簡単かな?」
「ええ、そうですね、父上」
「はは!サディーアは生まれた時からダスティン様のしごきを受けているからそう思うんだな!世の中はもっと緩くてぬるいぞ?」
「嘘でしょ?父上」
しかし、王宮で紹介されたセブスト殿下やトレヴァーはあまり賢いとは感じなかったから、やはりゼフ家の教育は厳しいのかも知れない。そう思った。
「メルクリーアお祖父様、どうして私は可哀想な子なのですか?」
「……今は分からなくて良い。一生分からなくて良いように、私は頑張って長生きするからね……」
物心ついた時から、サディーアは「可哀想な子」と祖父のメルクリーアに言われ続けていた。
何故か、どうしてか。メルクリーアは教えてくれない。そしてそう言うのはメルクリーアだけであり、同じく祖父のダスティンはそんな事を一言も言わず、サディーアの父であるアーノルド同様厳しく躾けられた。
ゼフ家は代々優秀な者を多く輩出していて、宰相位につく者も多い。祖父のダスティンもそうだし、サディーアの父のアーノルドは現在の宰相を勤めている。
無論、サディーアもそうなるべく日々勉学に励んでいた。
「サディーア様はメルクリーア様に似ていらっしゃいますね」
「そうですか?メルクリーアお祖父様と血の繋がりはないのに、不思議ですね」
ゼフ家の執事はまだ若い。最近交代したばかりだった。そんな執事とサディーアは取り止めもない話をしていた。
「アーノルド様は養子でいらっしゃるから、確かにそうですね」
この国では珍しくない同性同士の結婚。祖父のダスティンとメルクリーアは男性同士で結婚したので、サディーアには二人の祖父がいる。そしてダスティンは養子にアーノルドを迎えた。アーノルドは女性と結婚し、サディーアはその息子である。
「父上がメルクリーアお祖父様に似ていらっしゃるから」
メルクリーアもアーノルドもサディーアも青い髪をしていて、目の色も全員同じ水色だ。サディーアの母親も似たような髪の色に目の色で、顔つきもなんだか似ているような気がする。
「ふふ、もしかしてダスティン様はメルクリーア様に似ているからアーノルド様を養子に迎えたのでしょうか?」
「そうかもしれませんが、それ以上に父上が優秀だったからでしょう?無能な者はゼフ家に必要ないはダスティンお祖父様の口癖ですよ」
「そうですね。ダスティン様は中々手厳しい……」
「そう感じるのは期待されているから、ですよ」
「ご期待に添えるよう頑張らねばなりませんね」
まだ未熟な二人は励まし合う。頑張って一人前にならなければと。
ゼフ家がある意味平和だったのはこの頃までだった。たちの悪い風邪が流行し、サディーアの母親とメルクリーアが病に倒れたのだ。
必死の手当ての甲斐もなくサディーアの母親は儚くなり、メルクリーアも伏せがちになる。
「メルク、メルクリーア……早く元気になってくれ」
「大丈夫ですよ、ティム。すぐ良くなるからね」
ダスティンは甲斐甲斐しくメルクリーアの元に通い始め、サディーア達の教育はアーノルドが受け持つ事になる。
「ダスティン様に比べたら私の課題は簡単かな?」
「ええ、そうですね、父上」
「はは!サディーアは生まれた時からダスティン様のしごきを受けているからそう思うんだな!世の中はもっと緩くてぬるいぞ?」
「嘘でしょ?父上」
しかし、王宮で紹介されたセブスト殿下やトレヴァーはあまり賢いとは感じなかったから、やはりゼフ家の教育は厳しいのかも知れない。そう思った。
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