【短編完結】記憶なしで婚約破棄、常識的にざまあです。だってそれまずいって

鏑木 うりこ

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5 あらあら、新しい婚約者が出来ちゃったわ

「あっはっは! 面白い、面白過ぎるよ。エリーゼ嬢!」

 人垣から同い年くらいの男子が出てきた。大笑いしながら。

「はぁ、どうも?」
「にしてもお見事だった。ねえエリーゼ嬢。物は相談なんだが私の婚約者にならないか?」
「え、なんで?」

 私この人の事何も知らないのに、婚約者になれってやだよ。

「君は、今婚約破棄をされた傷物令嬢だ。そんな傷物令嬢が新しい婚約者を見つけるのは至難。なら、条件は合わなくても受けておくのがいいって思わない?」
「え? あ、そうなの?」

 私は父親を捜した。そばにいたからちょうどよかった。

「ねえ、父親さん。あの人あんなこと言ってますけど、合ってます? 受けた方がいい話です?? 個人で決めていい話じゃないんでしょう?」
「え、エリーゼ! あの方が誰か分からんのか!?」

「あの方どころか誰も分かりませんが……ジュディ様とカナン様は友達だったのかな? って気はしてます」

 父親にあの方と呼ばれたあの方はまた大笑いしているし、ジュディ様とカナン様はうるうるしているし。

「……シュトラウス卿、どうだろうか。悪い話ではないと思うが?」
「傷物の我が娘で良ければいかようにも!」

 父よ、多少は私に選ぶ権利をくれ。

「と、言う事だ、良いかな? エリーゼ嬢」

 では私からも一言言っとくことがあるぞ。

「名前も知らないイケメンさん。一言約束して欲しいのですが」
「いけめんってなんだ?」
「かっこいい男の人ってことです」

 大笑いしたが確かにこの人はイケメンなんだよね。青みを帯びた銀色の髪に、紫色のきれいな色の目をしている。うん、ヨハン王子よりかっこいい。わーすごーい

「いけめんか! 気に入った。なんだろうかエリーゼ嬢よ」
「浮気は許せません」
「約束しよう、絶対にエリーゼ嬢を裏切らないと」

 そか! ならいいや。いい気がする。

「そんならよろしくお願いします~イケメンさん」
「末永くよろしくね、エリーゼ。私の名前はレンセル。レンセル・ルド・ラファード。お隣の国の第二王子だよ」
「ありゃ、王子様だったのかー。そりゃイケメンだねえ!」

 びっくりしたけど、オッケーしちゃったからまあいいか。浮気しないって言ってるし、父親もいいよって言ったもんね。

「じゃあ詳しく話をしようじゃないか。シュトラウス卿、あなたの屋敷にお邪魔して良いだろう?」
「ええ、殿下。粗末な我が家ですが、喜んでご招待させていただきます」

 父親は深々と頭をさげ、馬車の手配を素早くする。

「ではエリーゼ、行こう」
「ちょっと待って」

 背中を優しく押すレンセル殿下に少し止めて、私はあの場から一歩も動かず嘘だ……を繰り返しているヨハン様の近くに来た。当然私の隣にはレンセル殿下が守るように立ってくれている。優しい。

「えーとヨハン様、ですよね? あなたの事はよくわかりませんが」

 伝えておかないと、エリーゼが可哀想だと思ったんだ。

「私がここで目を覚まして、一番最初の感情は深い深い悲しみと……心からの言葉でしたそれは

『お慕いしておりました』

 と、きれいな女性の声が聞こえてきましたよ。あなたはエリーゼを裏切ったけれど、エリーゼは最後まであなたを信じていたようですね」
「エリーゼ!」

 私に向かって手を伸ばすヨハン様。その間にさっとレンセル殿下が入る。ヒューいい男!

「貴方の事が大好きでお慕いしていたエリーゼは完全に死んでしまった。あなたに殺されて。もう私はエリーゼであってエリーゼでないので。失礼しますね。ルシールさんとお幸せに」
「エリーゼは私が責任をもって幸せにするので、お気遣いなく。私は彼女に約束もしたしな」

 マウントを取ってくるがイケメンなら許されるヤツだ!レンセル殿下かっこいいなあ。惚れる!これならやっていけそう!

「レンセル殿下の事、なんだか好きになってきました。顔以外もかっこいいですね」
「それは嬉しいな。私はエリーゼの事を結構知っているが、エリーゼが私の事を好きになってくれるならもっとかっこいいことをしないといけないな!」
「うわ! またかっこいいこと言った! もっと好きになった」
「ふふ、私たちは上手くやっていけそうだね」

 私とレンセル殿下は手を取り合ってこの会場を後にした。かなりの貴族たちが拍手で見送ってくれる。ありがとうありがとう~。



 ヨハン様の事は知らないや。過去の男は忘れて捨てるのがいい女の条件だからね! 多分。



終わり

感想 6

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みんなの感想(6件)

penpen
2026.02.18 penpen

何度か読んでたのに今更感想www
エリーゼさんが絵里ちゃんの子供として転生する妄想がてました(*´∀`*)
心が弱かったのに転生して母親似になって強強になるのです(*^ー゚)b クッ゙

2026.02.18 鏑木 うりこ

お読みいただきありがとうございます(*ノωノ)

お母さんになった絵里は確かにすごく強そうです
「ちょ、ちょっとエリーゼっ! それは駄目だって!」
「お母様、心配し過ぎですわ、私だってお母様の娘なのよ、それくらいできます」

(´-`).。oO(二人で似た性格になったら周りの人達がとても大変そうだけれど……)

解除
ぽぽまも
2026.01.19 ぽぽまも

断罪中にやって来た別の人絵里さんの精神が強いこと!常識をヨハンと浮気女に言ってるだけなのだけど、とても度胸があるし頭も回るなあと感心しながら読ませて頂きました。
『お慕いしていた』エリーゼはあなたに殺されてもう居ません、ですか。悲しみのあまり体を絵里さんに明け渡して消えちゃった?せめて、裏切ったヨハンに自分の言葉で苦情言ってから消えても悪くないのに⋯。
エリーゼさん、本当にヨハンが好きだったのね、可哀想。
ズバズバ物言うギャル系絵里エリーゼが愉快なお話でした。
続きはあるのかしら?«٩(*´ ꒳ `*)۶»ワクワク
読ませて頂きまして有難う御座いました(❁´ω`❁)

2026.01.20 鏑木 うりこ

お読みいただきありがとうございます(*‘ω‘ *)

絵里さんは口は悪いけれど、結構素直でタフな人ですね!
元のエリーゼは令嬢の中でも心も体も弱いタイプだからあんな穴だらけの子爵令嬢にもいいようにしてやられ……(;´・ω・)

 元々短いお話で書いていたんですが、エリーゼ大暴れで続きとかできそうですよね~( *´艸`)

解除
Juckende Rosen
2025.02.28 Juckende Rosen
ネタバレ含む
2025.02.28 鏑木 うりこ

こんにちは!お読みいただきありがとうございます。
 自分でも読み直してすごい勢いだな!と驚いていました( ´∀`)確かに冒険譚が始められそうです!

解除

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