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9 それは実在したのですわ(妹・カリン視点
「カリン、カリン! 早くグウェイン様と繋ぎを取ってよ!」
コレがお姉様の言っていた「ヒドイン」という生き物なんだわ。私は友人達と溜息をついた。
「カリン、もしかしたらあなたがニーナさんに付け狙われる可能性があるの。あれは「ヒドイン」という特殊な生物で私達の常識は通用しないわ」
「お、お姉様? 何ですか、それは?」
私はお姉様にお聞きした「ヒドイン」というものの特徴を思い出す。まさかそんな人間がいるなんて思わなかったけれど、いたわ……ここはお姉様の見聞が凄いということね。
「カリン! 私達親友でしょ?!」
ヒドインは妄想が激しくて、一度も会話したこともない人物を親友と呼ぶわ。
「早くグウェイン様と会わせて!」
ヒドインは身分というものを知らないわ。しかも出来もしないお願いを普通にしてくるわ。
「あなたはエイミアに虐められているんでしょう?! 私が助けて上げる!」
ヒドインは事実を誤認して、自分の都合の良いように書き換え、それを真実だと信じて疑わないわ。
お姉様、「ヒドイン」は実在するのですね……。
「カリン嬢、行くと良い」
「ありがとうございます、ハウンド伯爵令息」
「カリン様、こちらへ」
「助かるわ、メシリー様」
私はクラスメイトの手を借りて教室から抜け出せた。
「あーー! 待って、待ってよ! カリン、ちょっと、ちょっと!」
「君は下位クラスの生徒だろう! 帰りたまえ」
教室を抜け出し、友人達に守られるように進んでいると、マックス様にお会いできた。私も含め、全員がホッと一息つける。
「カリン嬢、皆、ありがとう。迷惑をかけるね」
「大丈夫ですわ、ティーチ伯爵令息。カリン様、もう少しの辛抱ですわ」
「そうです、カリン様は何も悪くないのに。ハヴェル子爵令嬢は何を考えているのかしら?」
「私達には理解できません。カリン様、ティーチ伯爵令息のお側でしたら、もう大丈夫ですよ」
「あ、ありがとうございます。皆様」
私もかなり緊張をしていたみたい。マックス様の顔を見ると本当に安心できた。
「殿下の計らいで特別テラスを開けてもらったよ、まずそこに行こう。あそこは子爵令嬢では入室できないからね」
「助かります……!」
クラスメイトとは別れ、マックス様と共にテラスへ向かう。ここを使えるのはグウェイン殿下と婚約者のお姉様、そして殿下の護衛のマックス様くらいで、私は入ったことはなかった。
それでも着くと思わず椅子に倒れ込むように腰を下ろしてしまった。
「怖いです、マックス様。あの子は一体何なんですか」
「分からないんだ。何もないのにハヴェル子爵令嬢は自分がヒロインでエイミア様を押し退け、グウェイン殿下の婚約者になると言っているんだ」
マックス様も大きなため息をついた。私も怖くて仕方がないけれど、お姉様とグウェイン様を守らなくっちゃ……負けないわ。
コレがお姉様の言っていた「ヒドイン」という生き物なんだわ。私は友人達と溜息をついた。
「カリン、もしかしたらあなたがニーナさんに付け狙われる可能性があるの。あれは「ヒドイン」という特殊な生物で私達の常識は通用しないわ」
「お、お姉様? 何ですか、それは?」
私はお姉様にお聞きした「ヒドイン」というものの特徴を思い出す。まさかそんな人間がいるなんて思わなかったけれど、いたわ……ここはお姉様の見聞が凄いということね。
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「早くグウェイン様と会わせて!」
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お姉様、「ヒドイン」は実在するのですね……。
「カリン嬢、行くと良い」
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「大丈夫ですわ、ティーチ伯爵令息。カリン様、もう少しの辛抱ですわ」
「そうです、カリン様は何も悪くないのに。ハヴェル子爵令嬢は何を考えているのかしら?」
「私達には理解できません。カリン様、ティーチ伯爵令息のお側でしたら、もう大丈夫ですよ」
「あ、ありがとうございます。皆様」
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「殿下の計らいで特別テラスを開けてもらったよ、まずそこに行こう。あそこは子爵令嬢では入室できないからね」
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