【完結】転生悪役っぽい令嬢、家族巻き込みざまぁ回避~ヒドインは酷いんです~

鏑木 うりこ

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10 わざとではないのです!(妹・カリン視点

「エイミア様は大丈夫かい?」
「ええ、学年が違う分、ニーナさんはお姉様に近づけないみたいです。殿下は大丈夫なのですか?」
「ああ、こちらも学年が違うし、護衛も増やしている。あのハヴェル子爵令嬢が何を企んでいるか今調査中なんだが、裏が見えない……証拠が集まらないんだ。これ以上学園の風紀を乱したくないんだが、手詰まりでね」

 マックス様もよく見るととてもお疲れの顔をしていらっしゃる。私もいつどこでハヴェル子爵令嬢に呼ばれるか気が気でなくてぐったりしてしまうけれど……私はぐっと拳に力を入れた。

「マックス様! 私が探ってみます!」
「許可できない、カリン嬢をそんな危険な目に合わせられない」

 少し怖い顔で諭されてしまったけれど、マックス様だって手詰まりだって言ってらしたじゃないですか。私は、お姉様の役に立ちたいし、マックス様の役にも立ちたいの!

「多分、大丈夫です。理解できないことですが、ニーナ・ハヴェルは私のことを親友だと思っています。今まで一度も会ったことがない人物を親友と呼べる頭のおかしい「ヒドイン」という人種なのです」
「ヒ、ヒドイン? なんですか、それは」

 マックス様が驚いて顔を上げました。お疲れなのに、素敵なお顔……ああ、大好き! ……じゃなかったわ。
 私はお姉様から教えていただいた情報をマックス様にもお伝えした。

「ヒドインとは私達貴族……いえ、平民でも理解できないモノなのですが……」

 ともかく、私はニーナ・ハヴェルに接近することにした。怖いけれど、このままではグウェイン様に何か被害が、ひいてはお姉様に被害が出ることは間違いない。そんなの絶対に嫌だし許せない!

「私はマックス様の婚約者なんですよ? 私にもお姉様とグウェイン様を守らせてくださいませ」

 絶対に無理はしない、何人も協力者をつける、二人きりにならない……沢山の約束事を取り決めて、私は立ち上がった。


「ちょっとー、カリン! どこ行ってたのよ!!」

 一般生徒が歩けるエリアに出ると同時に、ニーナ・ハヴェルが走ってきた。まず走って来る時点で意味が分からないし、遠くから大声で呼びかける意味も分からない。本当にマナーを何も知らないのね……普通の令嬢なら子供の頃から嫌という程叩き込まれているはすなのに、このニーナは何をしていたのかしら?

「でも、お姉様の仰っていたヒドインの特徴そのままね」

 小声での呟きは何食わぬ顔で私の後ろに立っていたマックス様に聞こえたらしく、小さく頷く。そして私も頷き返し……近くにいたクラスメイトにも頷く。皆、気がついたらしく頷いたり、目立たない程度に手をあげたりしてくれたから、これから起こることを見て見ぬふりをしてくれるはずだ。
 よし、私はできる、私はお姉様の妹、カリン・リンデンドールなのだから! 小さく息を吸い込み、淑女の顔を作った。これは戦闘開始の鎧なのよ!

「どうしたのかしら? ニーナ・ハヴェルさん」

 いいえ、親友ならそんな言い方しないわね。私は言い直す。絶対やってみせるわ。

「どうしたの? ニーナ」
「カリン! 聞いてよ、私ぃエイミアにノートを捨てられたのぉ」
「まあ! なんて、なんて酷いでしょうぉ~!」

 あっ! 最後は前に見た歌劇のようになってしまった! 大失敗よ!
 マックス様が顔を背けて笑ってる?! クラスメイトもだわ! こ、これは恥ずかしい!! 顔に熱が集まってきて、真っ赤になったと思う! きゃぁーー!

「カリン、どうしたの? 熱でもあるの?」
「そ、そうかもぉー知れませんわぁ~~!」

 あーー! 語尾にビブラートが効いてるぅー! もうイヤぁ~~! 恥ずかしいっ!




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