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レティシア・バーレント
20話 リッケン侯爵家家令トーマス(トーマス視点)
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王家から奥様とお嬢様方宛に茶会の招待状が届いた。直接奥様にお渡ししたいが、この家でそんなことが許される訳がない。仕方なく主人の執務室に向かうが、気持ちは重い。
「旦那様、奥様とお嬢様方宛に茶会の招待状が届いております」
私の言葉に侯爵は苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「処分すればいい。あれ達を茶会になど行かすつもりはない。捨ておけ」
「し、しかし、今回は王家主催です。断るわけにはまいりません」
「そんなもの病だとかなんとか適当な理由をつけて断りの文を出しておけ」
「お待ちください旦那様、なんでも今回の茶会は、レティシア姫のご友人を決めるための茶会だとか。お嬢様方が姫様の友人になれば、リッケン侯爵家の力になりましょうぞ」
「レティシア? あの忌々しい姫か。女のくせにでしゃばって競技会に出たやつか。女は家で大人しく主人の言うことを聞いていればいいのだ。子供を産むしか脳が無いくせに。今までどおり王女宮に閉じ込めておけばいいものを」
不敬だ。だがしかし、侯爵は心の底から本当にそう思っているようだ。
「まぁいい。それなら断るわけにはいかんな。トーマス、あれと娘達を参加させよ」
「畏まりました。ドレスはどういたしましょうか」
侯爵は難しい顔をしている。
「いつもの貸しドレス屋から借りればいい。借料も死金だが、誂えるよりは安いだろう。安いものでいいからな」
「畏まりました」
私は頭を下げて部屋を出た。
私はいつものように、自分で購入した、パンや焼き菓子を持って夫人の部屋に向かった。夫人や令嬢達は冷遇されていて、侯爵の息のかかったメイド達に食べ物を搾取されている。私や同じように夫人や令嬢達を不憫に思う使用人達がこっそり食べ物などを運んでいる。
「奥様、失礼いたします。来週王家主催の茶会に出席していただくことになりました。ドレスはまたいつもの店で借ります。アクセサリーもいつものイミテーションをお付け下さい」
「旦那様は出席なさるの?」
「いえ、茶会ですので今回は夫人と令嬢だけです」
「カリーナは?」
「カリーナお嬢様は領地におられるので不参加です」
「そう、わかったわ」
「こんなものばかりですみませんが、召し上がって下さい」
「いつも有難う。あなたがいなかったら私達は死んでいたかもしれないわね」
夫人は生気のない表情で微笑む。
夫人は元は伯爵家の令嬢だった。この家に嫁いでこなければ幸せな毎日を過ごしていたのだろう。多産系の家の見目麗しい令嬢。それだけで侯爵に目をつけられ、無理やり娶られた。
見目麗しい令嬢からは見目麗しい子供が生まれるはず。見目麗しい子供は男も女も手駒になる。
夫人は嫁いでからは部屋に幽閉され、毎年のように子供を産まされている。
男児は侯爵と同じ思想を持つ守り役に育てられ、女児は夫人と同じように部屋に閉じ込められ、高位貴族に夫人や愛人になれるような教育をほどこす。自由などない。口答えすれば体罰が待っている。夫人同様、令嬢達も生気がない。
私は普通の考えを持つ男だ。侯爵のように偏った男尊女卑思想ではない。妻を愛し、子を愛して、男女関係なく家族を大切にしている。決して体罰などしない。侯爵の考え方は私には理解不能だった。
最近リッケン侯爵家に御者として入ってきたゴードンに声をかけられた。
「トーマス様、私は夫人や令嬢をお助けしとうございます。このままでは、あまりにもお可哀想です」
「これ、滅相な事を言うものでない。誰に聞かれているかわからんぞ」
「大丈夫です。今はトーマス様と私だけです」
新しく雇ったゴードンは真面目で仕事熱心な男だ。しかも聡い。この家がおかしいとすぐにわかったようだ。
「気持ちはわかるが、こればかりはどうにもならんのだ。私に力があればどうにかなったかもしれんが、私はしがない子爵家の出身だ。夫人や令嬢達を救うことはできない」
無念でたまらない。
私の姿を見てゴードンはにやりと口角を上げた。
「私に任せてもらえませんか? 当日の馬車は私ひとりでお城まで送迎させて下さい。旦那様はきっと護衛などつけずとも良いと仰るでしょう。トーマス様、お手配をお願いいたします」
この御者を信じていいものか迷っている。
だが、もし、この御者が悪者で夫人達を連れ去り売ったとしても、このままリッケン侯爵家にいるよりは幸せかもしれない。
ひょっとしたら、御者は王家が噂を調べるためにこの家に送り込んだ間者で、夫人達の状態を知り、哀れに思い保護しようとしてくれているのかもしれない。この茶会もそのために開催されたものだったとしたら……。
信じよう。そして夫人達が消えたら責任をとって職を辞しよう。
もう、私も年だ。この主人に仕えるのはもうたくさんだ。
私は心を決めた。
「ゴードン、私はお前を信じる。夫人達を頼む。どうか安全なところに保護してくれ。そして一生、旦那様に見つからないようにしてほしい」
「畏まりました。トーマス様も夫人達が消えて、ある程度したら、責任をとる形で侯爵家を辞して下さい。後のことはこちらに任せてください」
「ゴードン、お前?」
ゴードンは柔らかく微笑んだ。
「私はただの御者ですよ」
茶会の日が来た。
夫人と令嬢達はいつもの貸しドレス屋から借りた質素なドレスにイミテーションのアクセサリーをつけ、馬車に乗り込んだ。
「奥様、お気をつけて」
「有難う、行ってきます」
これが今生の別れになるのだろう。流れそうになる涙を堪えた。
「ゴードン頼むぞ」
「御意」
夫人達を乗せた馬車は城に向けて走り出した。
「旦那様、奥様とお嬢様方宛に茶会の招待状が届いております」
私の言葉に侯爵は苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「処分すればいい。あれ達を茶会になど行かすつもりはない。捨ておけ」
「し、しかし、今回は王家主催です。断るわけにはまいりません」
「そんなもの病だとかなんとか適当な理由をつけて断りの文を出しておけ」
「お待ちください旦那様、なんでも今回の茶会は、レティシア姫のご友人を決めるための茶会だとか。お嬢様方が姫様の友人になれば、リッケン侯爵家の力になりましょうぞ」
「レティシア? あの忌々しい姫か。女のくせにでしゃばって競技会に出たやつか。女は家で大人しく主人の言うことを聞いていればいいのだ。子供を産むしか脳が無いくせに。今までどおり王女宮に閉じ込めておけばいいものを」
不敬だ。だがしかし、侯爵は心の底から本当にそう思っているようだ。
「まぁいい。それなら断るわけにはいかんな。トーマス、あれと娘達を参加させよ」
「畏まりました。ドレスはどういたしましょうか」
侯爵は難しい顔をしている。
「いつもの貸しドレス屋から借りればいい。借料も死金だが、誂えるよりは安いだろう。安いものでいいからな」
「畏まりました」
私は頭を下げて部屋を出た。
私はいつものように、自分で購入した、パンや焼き菓子を持って夫人の部屋に向かった。夫人や令嬢達は冷遇されていて、侯爵の息のかかったメイド達に食べ物を搾取されている。私や同じように夫人や令嬢達を不憫に思う使用人達がこっそり食べ物などを運んでいる。
「奥様、失礼いたします。来週王家主催の茶会に出席していただくことになりました。ドレスはまたいつもの店で借ります。アクセサリーもいつものイミテーションをお付け下さい」
「旦那様は出席なさるの?」
「いえ、茶会ですので今回は夫人と令嬢だけです」
「カリーナは?」
「カリーナお嬢様は領地におられるので不参加です」
「そう、わかったわ」
「こんなものばかりですみませんが、召し上がって下さい」
「いつも有難う。あなたがいなかったら私達は死んでいたかもしれないわね」
夫人は生気のない表情で微笑む。
夫人は元は伯爵家の令嬢だった。この家に嫁いでこなければ幸せな毎日を過ごしていたのだろう。多産系の家の見目麗しい令嬢。それだけで侯爵に目をつけられ、無理やり娶られた。
見目麗しい令嬢からは見目麗しい子供が生まれるはず。見目麗しい子供は男も女も手駒になる。
夫人は嫁いでからは部屋に幽閉され、毎年のように子供を産まされている。
男児は侯爵と同じ思想を持つ守り役に育てられ、女児は夫人と同じように部屋に閉じ込められ、高位貴族に夫人や愛人になれるような教育をほどこす。自由などない。口答えすれば体罰が待っている。夫人同様、令嬢達も生気がない。
私は普通の考えを持つ男だ。侯爵のように偏った男尊女卑思想ではない。妻を愛し、子を愛して、男女関係なく家族を大切にしている。決して体罰などしない。侯爵の考え方は私には理解不能だった。
最近リッケン侯爵家に御者として入ってきたゴードンに声をかけられた。
「トーマス様、私は夫人や令嬢をお助けしとうございます。このままでは、あまりにもお可哀想です」
「これ、滅相な事を言うものでない。誰に聞かれているかわからんぞ」
「大丈夫です。今はトーマス様と私だけです」
新しく雇ったゴードンは真面目で仕事熱心な男だ。しかも聡い。この家がおかしいとすぐにわかったようだ。
「気持ちはわかるが、こればかりはどうにもならんのだ。私に力があればどうにかなったかもしれんが、私はしがない子爵家の出身だ。夫人や令嬢達を救うことはできない」
無念でたまらない。
私の姿を見てゴードンはにやりと口角を上げた。
「私に任せてもらえませんか? 当日の馬車は私ひとりでお城まで送迎させて下さい。旦那様はきっと護衛などつけずとも良いと仰るでしょう。トーマス様、お手配をお願いいたします」
この御者を信じていいものか迷っている。
だが、もし、この御者が悪者で夫人達を連れ去り売ったとしても、このままリッケン侯爵家にいるよりは幸せかもしれない。
ひょっとしたら、御者は王家が噂を調べるためにこの家に送り込んだ間者で、夫人達の状態を知り、哀れに思い保護しようとしてくれているのかもしれない。この茶会もそのために開催されたものだったとしたら……。
信じよう。そして夫人達が消えたら責任をとって職を辞しよう。
もう、私も年だ。この主人に仕えるのはもうたくさんだ。
私は心を決めた。
「ゴードン、私はお前を信じる。夫人達を頼む。どうか安全なところに保護してくれ。そして一生、旦那様に見つからないようにしてほしい」
「畏まりました。トーマス様も夫人達が消えて、ある程度したら、責任をとる形で侯爵家を辞して下さい。後のことはこちらに任せてください」
「ゴードン、お前?」
ゴードンは柔らかく微笑んだ。
「私はただの御者ですよ」
茶会の日が来た。
夫人と令嬢達はいつもの貸しドレス屋から借りた質素なドレスにイミテーションのアクセサリーをつけ、馬車に乗り込んだ。
「奥様、お気をつけて」
「有難う、行ってきます」
これが今生の別れになるのだろう。流れそうになる涙を堪えた。
「ゴードン頼むぞ」
「御意」
夫人達を乗せた馬車は城に向けて走り出した。
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