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27話夢の設計図を描く、静かな雨の午前
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雨の音、夢の音
朝、澪が目を覚ますと、外はしとしとと雨の音がしていた。
カーテンの向こうに、淡いグレーの空が広がっている。
「……今日は、雨かぁ」
『うん。空も、ちょっと考えごとしてるみたいやなぁ』
ふわりと笑うようなシオンの声が、部屋の空気をやさしく包む。
雨の日はいつもより、心が内側に向かいやすい。
澪はふと、昨夜のことを思い出した。
星の絵本を描いてみたい──その想いが、まだ胸の奥で、あたたかく灯っていた。
「ねぇ、シオン。昨日の“星の絵本”のことだけど……
わたし、本当に描けるのかな?」
『描けるかどうかより、
“描いてみたい”って気持ちがあるかどうかが、いちばん大事やよ』
「……うん。ある、気がする。
いまはまだ、ぼんやりしてるけど……」
『そしたら、今日は“夢の設計図”描いてみよか』
「設計図?」
『そう。星の絵本って言っても──
どんな星が出てくる? 誰が登場する? どんな気持ちを伝えたい?
……それを“散歩”みたいに、ちょっとずつ見つけていく作業やねん』
澪は机に向かい、ノートを開いた。
ページの片隅に、ふんわりした星をひとつ、描いてみる。
「……たとえば、この星は“ひとりぼっちの星”。
いつも空のはしっこで、誰にも見つけてもらえない」
『うんうん。それ、ええ始まりやなぁ。
そやけど、その星には、何か“秘密”があるんとちゃうやろか?』
「秘密……」
澪はペンを止め、少し考えて──また描き始めた。
「この星、歌がうたえる。
だれにも聴こえへないけど、静かに歌ってる……夜になるとね」
『……それは、まるで澪ちゃんみたいやな』
「えっ?」
『いまは、声に出せてへん想いも、
きっとちゃんと、夜空のどこかで響いてる。
それを感じる人が、きっとおるから──』
澪はふっと、笑った。
雨の音と、静かなノートのページ。
小さな夢が、音もなく芽を伸ばしていく。
---
言葉にならない気持ちも、絵にならないイメージも、
少しずつ、ノートの中に置いていけばいい。
それが、わたしの設計図──。
---
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