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第一章
異世界奴隷商人(3)亜人
しおりを挟む実は元来た道を戻って行った。
自分の部屋に戻る途中、実は無邪気に笑いながら遊ぶ子供たちや刺繍などを楽しむ女性たち、剣術や棒術などで腕を磨く若者たちなどが目に入った。
そんな彼らは、実の存在に気づくと作業を止めてお辞儀をする。
来た時は自分の存在が物珍しいのか見ていたのだと思っていたが、この世界の事を知った今は、自分を見る鳥人族たちの目が怯えている事に気付いた。
『羽を持たない人間族のあなた様が私たちよりも高く飛べることは無い』
大婆様の言葉で、実はあることに気づいた。
「…ナガレ」
「はい」
「羽が無い人間は、ここには来たことないのか?」
「……はい、この集落は人間に見つかったことはありません。
なので、ここにいる我々は誰も人間族の奴隷ではありません」
ナガレのその答えに、実は「思うがままに」と言う大婆様の言葉が頭を過った。
それは、使い方によってはとても恐ろしい言葉だ。
それは、命を命として考えなくても良いと言うことだ。
捉え方を変えると、ここは人間が来ることが出来ない秘境の地。
つまりここにいる全員を売れば、ボロ儲けという悪い考え方と、ここに居る全員に会わなたったと言って、保護するも全部が俺の思うがままってことだ。
とんでもない所に来てしまったと、実は頭を抱えて、ため息をついた。
それに気づいたナガレが立ち止まり振り返った。
「ミノル様、お腹は空いていませんか?」
ナガレの言葉に言われて、最後に食事をしたのがいつなのか思い出せない自分がいた。
実はナガレについていくと、さっきまで自分が眠っていた部屋ではなく、
別の場所に向かった。
ナガレは「ただいま」と扉をくぐると「おかえり」とすぐ近くにいた
女性が返事をした。
女性はすぐ後ろにいた実に気づいた。
「まあまあ、このような所まで、ようこそお越しくださいました。 ナガレの母のマレーリアと申します。」
そう言って彼女は丁寧に挨拶をして、頭を下げた。
銀髪の長い髪を黄色い刺繍が入った布で包み、遊牧民のような服装もそれに合わせて黄色や緑色の花や草の細かい刺繍が施された。
背中にはナガレよりも明るい茶色の大きな羽が生えていた。
「こちらは娘のイリーナです」
マレーリアに言われて、彼女の羽に隠れるように小さな女の子がいたことに
気づいた。
歳の頃は10歳前後の可愛らしい女の子。
黒く肩までの髪をピンク色の花が刺繍された布で包み、同じくピンク色の刺繍が
施されたワンピースをしていた。
背中にはまだ小さいけど、淡い茶色の羽が生えていた。
「ああ。 いいえこちらこそ、お邪魔します」
実もそう言って同じく頭を下げると、彼女たちは少しびっくりしていた。
部屋の中を見渡すと自分が眠っていた部屋よりは天井が高く、
広めで生活感があった。
壁には美しい色と模様の刺繍が施されていた壁掛けの布が所せましと
並べられていた。
テーブルや椅子などの家具には細かい細工などが彫られた芸術的だった。
部屋の奥には 1人の男性が座っていた。
椅子に座っているその男性は手には、彫刻刀のようなものを持ち棒状の木を削って模様をつけて行った。
実に気づき、よろけながら立ち上がった。
「ようこそお越しくださいました、私はこの家の主人でナガレの父、
オールドです」
オールドは少し白髪混じりの短髪な髪型に、青い色の刺繍が入った服を着ていた。
背中に羽流よりも少し黒っぽいグラデーションの見事な羽が生えていた。
よく見ると足が悪いのか、オールドは杖をついていた。
立ち上がったオールドの元へナガレが駆け寄る。
「父さん、無理しないで」
倒れないように支えるナガレを見て、実は
「気にせず座って下さい。 あなたはこの家の家長なんだから」
と声をかけた。
言われた通り、ナガレはオールドを元の席に戻した。
「俺がいた世界にもこういう感じの家があったよ。 モンゴルって言う国で、
遊牧民をやっている人たちがゲルって呼ばれている、こーゆー家を建てて
暮らしてるんだ。 遊牧してる家畜たちの餌を求めて、あちこちに移動するから
組み立て式になっているけど、これもそうなの」
彼らを緊張させないよう、当たり障りの無い話をした。
「ええ、私どもは浮島から浮島へと移動をするのに、家をバラしたり組み立てたりして移動の時には簡単に持ち運べようにしてるんです」
俺の知る遊牧民たちは、家畜の餌を求めて移動することが多いが、
彼らはが移動するのはおそらく人間に見つからないためと分かったが、
あえてそれを聞かないことにきた。
その時、家の中を見渡したミノルは左手の奥に柵があることに気づいた。
「? なんで家の中に柵があるんだ?」
近づきながら聞いていると、中からグリフォンが顔を出した。
「うお!? びっくりした!」
「家で飼っているグリフォンのオスのムイと、奥のがメスのレレとです」
ナガレの説明で奥の方を見るともう一匹、座っているのが見えた。
「グリフォンって飼えるんだ……噛んでくることってある?」
グリフォンから少し距離を取りながら聞く。
「魔物は言葉が話せませんが知性はあります、だから人間を傷つけることは本能的にまずいと言うことが分かっているので、人間族に手を出すと言う事はありません」
そう言われたので、実はそぉっとムイの首元に触れた。
今までの人生勉強ばかりで動物どころか、人とも触れ合ってこなかったので新鮮な気持ちだった。
この世界においてはドラゴンであろうとグリフォンであろうと、魔物もまた亜人と同じ亜種と言う種類に分類されることから、人間を傷つけることができないと
言われている。
だからなのか、このグリフォンは鋭い爪もくちばしも持っているのに、体に触れても決して実を傷つけようとはしなかった。
「ですが、時に悪種と呼ばれる魔物もいます。 人間族を傷つけたことで呪いによって、耐え難い苦痛に悶えているうちに、正気を失い息絶えるまで暴れ続けるんです。 だから人間族の区別がつかなくって、人間族に危害を与える場合があるんです」
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