母さん、死後の世界は異世界でした!

彩夏

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母さん、俺死んじゃいました。

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ここはどこだ?
そう自問自答をするのは十八歳の少年、竜垣暦だ。
彼が立っているのはどこまで続いているのか、どこに立っているのかが不確かな暗闇の世界。
彼は、ふつーに高校行って。
ふつーにアルバイトして。
ふつーに彼女作って。
ふつーに青春を謳歌していた、ごくごく普通の、普通過ぎる高校生。
だが、死んだ。十八歳という短い人生の幕を下ろしたのだ。

「なぜ死んだ!?なぜ!」

彼はは大声で叫んだ。
それはそうだ、誰もが自らの死をそう簡単に受け入れられるはずがない。まあ、死後の世界があるのは暦もしらなかったのだが。

「なぜって、それは僕が決めたからだよ」 

暗闇の中、左右上下どこからかまだ声変わりも済んでいないような男の子の声で返事が返ってきた。まあ上下はないだろうが。

「てゆか君、何そんなに怒ってるの?」 

声の主の姿は見えないが、とりあえず応答してする。

「この世の理不尽と神様にだ」

そう答えると「そうかい」と大きな笑い声が飛んでくる。 

「何笑ってやがる!姿を見せろ!」

そう叫ぶと、暗闇の中に一つのスポットライトが灯り、声の主の姿が見えた。暦の予想を裏切る真上からの登場。

「君が怒ってる神様は僕だよ、はじめまして!こよみくん。僕の名前はヘル、生と死を司る神様だよ」

こちらにピースサインをしながら自己紹介をした少年は歳が十歳くらいで、髪は金髪、目はライムグリーンの無邪気な男の子だった。
でもそんな事はどうでもいい!
俺には一つ確認しておかないとダメな事がある。

「お前、生と死を司る神様なんだよな?」
「うん!」

「じゃあ人の生死を決められるのか?」
「うん、そうだけど?」

質問にこもる怒りが増していく。
「じゃあ、もしかして、ひょっとすると・・・俺を殺しだのはお前か?」
「そうだよー」

プチっんと頭の血管が二三本切れる音がした。

「そうだよー、じゃあねぇ!てめぇよくも俺を殺してくれたな?!」

「そんな怖い顔しないでよーー。しょうがないじゃん、暇だったんだもん!」 

ヘルはへらへらとしている。

「このくそガキー!暇つぶしで人をころすんじゃねぇ!しかもなんだ!あの死に方は!」 

「イヤーごめんね?最近暇過ぎてさー、ちょっと遊んじゃった。テヘペロ♪」 

「かわいくねーよ!」

このガキ、俺をおちょくってやがる!

「でも、我ながらに面白かったなー。パンチラ見て、大量出血とか・・・プククク」 

「ありえねーだろ!普通!パンチラ見ただけで死ぬとか!殺すならもっとマシな殺し方しろ!」

やれやれっと言わんばかりの顔でヘルは、
「死ぬ寸前に大好きだった花子ちゃんのパンツが見れてよかったでしょ?ま、とにかく、あなたは死んだんだよ」

こいつ俺の死をとにかくでかたずけやがった・・・。まあ花子ちゃんのパンツが見れてよかったとは思うけど・・・。

「まあそんな事よりも、あなたに決めてもらいたいことがあるんだよねー」 

スポットライトを動かしながらこちらへずいっと、ふわふわ浮きながらよってきた。

「なんだよ?決めるとこって」

「記憶を消して人間に生まれ変わるか、天国にいくのか、地獄にいくのか、それとも記憶をそのまま残して異世界にいくのか、どれがいいです?」  

「一ついいか?なんで地獄が選択肢にある?」 

そんな選択肢の意味がわからないのだが、 

「時々ですけど、頭のおかしい極度のドMが行きたがるんです」  
暦もMではあるけれどそこまでじゃない。

「地獄に行きたいって・・・まあいいや、仕方ねぇここまできた
ら決めるしかないか。なあ異世界ってどんなんだ?」

そう聞くとヘルは嬉しそうな顔をこちらに向けて答えた。

「お!異世界に興味がおありで、異世界は聞いての通り、ドラゴンあり、ダンジョンあり、魔法や剣がありありの所ですよ」

「おーーなんかいいなー。中高男子の憧れだしなー」

「異世界は転生先No.1になってるよー」

No.1とか聞くと旅行みたいだな。 

「そんじゃあ俺と同じ境遇の人間がいるのか?」

「うん!まあ出会える保証はないけどねー」 

この感じだと十中八九会えないのだろう。

「なら天国は?」 

「天国ですか?あそこは1日中ぐうたらして生活できる場所ですよ。まぁ僕としてはあそこは地獄ですけどね」

「天国が地獄?なんで」 

天国が地獄だったら地獄の世界は異世界か転生か地獄二つになってしまう。地獄が二つとかようしゃないな地獄の世界。 

「天国に行くとだいたい1ヶ月いただけで頭の中が空っぽになって、幸せという感覚意外が欠落し始め、最終的には笑って寝ているだけの存在になります。まぁ元々天国は神様用に創られた世界ですし、人間なんかが神様用の幸せを受けてまともでいられる訳がないんですよ。なのにユリウスの阿呆が……」  

天国の裏事実を死んでから聞かされて、驚きを隠せなかったが気を取り直して次の質問へ。 

「ちなみにそのユリウスって?」 

「天国の守護神ユリウス。12神の一人。あいつは神や人が幸せになることを望んでる善神なんですけど、神の幸せを目的としてユリウスの創った天国をあいつは人に、善人な死者にも与えようと言い出して、もちろんユリウスの配下からも反対意見が出たんだけど『幸せの神能』を使ってそれを丸目こみ、死者も天国へ入れる用になった。でもその結果は話した通り、それでもあいつは幸せならそれでいいっていってるよ、本当にくそみたいな神だよ」

「そのくそみたいな神はお前も一緒だよ。ヘル」

「ひどいじゃないかー、でもやっと君僕を名前で呼んでくれたね」

作った悲しい顔をしながらも嬉しそうにヘルはしている。

「天国の話は聞いたからなら次は転生だ、転生って具体的にはどうゆうもんなの?」 

「転生ですか?転生は先ほどもお話しした通り、記憶を消して、魂を新しい赤子の肉体に宿らせて生まれ変わらせるものだよ。君達の世界で前世の記憶を少しだけ持っている!とか言ってる人は薬を決めちゃってるか、なんかの別に名前は言わないけどどっかの暦くんもこじらせてた中二病か、記憶を消す作業にミスがあったか」

例にあげられたことで胸にあと痛ましき過去に同時にフックをくらいながらもめげずに、

「そんなミス、していいのか?」 

そう質問すると、驚きの表情を見せ言う。

「驚いた。さっきの精神攻撃をくらっても質問をかいせるとは……」

驚くのそこかよとツッコんでやりたいが、今の言葉で傷口に塩を塗られたのでやめておく。

「話がずれたね、記憶を消し損なうのは新神のやることだ、新神はいろいろ慣れてないからな、時折やってしまうんですよ。まぁそんなこと五十年に一度ほどですから大抵の人はお薬決めちゃってるか……」

「もういいよ!どんだけお前はおれの黒歴史を掘り返してえんだよ!」 

そうだよ!俺は中二から中三まで派手に中二病をこじらせてたよ!あんまりにも酷くなって母さんにがち目に病院つれてかれたこともある。あー、思い出すだけで死にたくなる破壊力!そして何より、黒歴史と言いながら当時使ってた衣装や魔本とひょうし、訳のわからぬ字でノートに書いた物も大事に保管しているのが情けない!

本気で死にたくなっている暦を見てヘルが、

「すみません、ここまで破壊力を持っているとは……まああのそれですよ。うん」

言葉を選べなくなるヘルは無言で俺をあわれむように見つめ、その状況が嫌だから話を変える。

「えーと、それじゃあ地獄は?」 

「地獄ですか?地獄は死んでいるものを肉体はないが蘇らせ、殺しては生き返らせ、殺しては生き返らせを繰り返し、最終的に感情は消え失せ、痛みまで感じなくなり、ただ殺されるために蘇らせられる人形のようになります。だから極度のドMもお手上げなとこですね、しかも一回一回のしにかたは1日以上かけてじっくり殺したり、痛みを感じることなく殺したりと多彩です」

「まじ……かよ……」

地獄のえげつなさに吐き気を覚え口を押さえる。

「やっぱりそうなりますよね、あんなことしてるやつの顔を見たらもっと吐きたくなりますよ」

喉の上まで酸っぱいのが上がってきたが、それを押し込み続ける。
「地獄の話はもうたくさんだ、全部の話を聞いたとこ、異世界が一番夢があって良さそうだ」 

「オッケー、すぐに異世界に転生させるねー、心の準備はいい?」

「はや!もうかよ!」 

地獄の話や黒歴史のせいでダメージ大なのに異世界への旅行はもうらしい。 

「では、楽しい異世界ReLifeにしてくださいねー♪」

暗かった足下から魔法陣のようなものが浮かび、強い光を放ち出す。
「ちょっま、まだ心の準備が・・・」

「一つだけアドレス!すぐに死なないでね?異世界に転生した人毎回毎回初日に死んじゃうからさ」

「え?」 

それって・・・異世界やばくね?
それ、異世界に転生する意味ある?

「いってらっしゃーーい」

ニコニコと笑うヘルの顔を最後に、俺の意識は途絶えた。

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