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人魚の鱗ドロップス
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人魚の鱗ドロップス。そう書かれた袋が店先に並べられている。あたしがその袋を摘まみ上げると、店主がにこりと笑った。
「ほんとに人魚の鱗なの?」
「それは食べてみてからのお楽しみさ」
なんだそりゃ。あたしは魚を捌くときのことを思い出した。鱗は脆くて、すぐに割れてしまう。触ったら溶けるなんてことはないし、うっかり食べたときは口の中に残る。鱗は鱗で飴は飴だ。
「良いから食べてごらん。一枚あげるから」
摘まんだ鱗は、陽光に照らすと青空の色を透かせる。触ってもべたべたしないけれど、鱗みたいに割れたりはしない。躊躇いながら口に運ぶと、舌の上でじゅわりと溶け始めた。なぁにこれ。
泡みたいに消えていく甘い味。しゅわしゅわと弾けていく潮の香り。それらはすぐに口の中からなくなってしまって、寂しさだけが残った。
「一袋くれる?」
「あいよ」
歩きながら人魚の鱗ドロップスを開けて、一枚口に入れる。今度は懐かしい味がした。
「ほんとに人魚の鱗なの?」
「それは食べてみてからのお楽しみさ」
なんだそりゃ。あたしは魚を捌くときのことを思い出した。鱗は脆くて、すぐに割れてしまう。触ったら溶けるなんてことはないし、うっかり食べたときは口の中に残る。鱗は鱗で飴は飴だ。
「良いから食べてごらん。一枚あげるから」
摘まんだ鱗は、陽光に照らすと青空の色を透かせる。触ってもべたべたしないけれど、鱗みたいに割れたりはしない。躊躇いながら口に運ぶと、舌の上でじゅわりと溶け始めた。なぁにこれ。
泡みたいに消えていく甘い味。しゅわしゅわと弾けていく潮の香り。それらはすぐに口の中からなくなってしまって、寂しさだけが残った。
「一袋くれる?」
「あいよ」
歩きながら人魚の鱗ドロップスを開けて、一枚口に入れる。今度は懐かしい味がした。
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