即席異世界転移して薬草師になった

黒密

文字の大きさ
9 / 25
第1章 運命

第九話 悪夢

しおりを挟む
「はぁ、今日は何をしようかな?」

 食堂で朝食を摂りながら、俺は今日の予定を決めていた。
 というのも、昨日は魔道具屋で道具を買ったし、そのほかにも買い物を済ませたし。

 明日の鉱石採取ツアーの準備でもするかな?
 でもそんなに準備に時間はかからないし、今日は基本的に暇だな。

「どうしたの? そんなに考え込んで」
「ああ、明日鉱石採取ツアーがあるみたいだからそれに参加する準備をした後、どうするかなってね」

 そういうと、リアンはある提案をした。
 それは海に行くことだった。
 トラリィアには自由には入れるビーチがあり、そこは有名な観光地のようだ。

 せっかく来たんだからこういう所は行かないと損だよ、とリアンに言われた。

「じゃあ、用意が終わったらそっちに戻るね」

 そういい、俺はスマホを使い自分の空間に入った。
 にしても、やけにリアンは機嫌がよかったな。
 海に行くと言った瞬間、妙に機嫌がよかった。
 やっぱり観光地に行くから楽しみなんだろう、でも俺的にはリアンの水着姿が楽しみだな。

 そう思っていると、俺は急いで薬を作り始めた。
 作っているのは主に戦闘用では、煙薬を三個と火薬を仕込んだ拡散式の麻痺薬を二個、そしてランク四の丸薬タイプの回復薬を五個作った。

 素材は途中で仕入れはしたが、小麦粉などは途中で買いに行った。

「ふう、何とか終わったな」

 時間を見ると十四時を指していた。
 俺は部屋から出て、リアンに声をかけた。

「おまたせ、やっと明日使いそうな薬ができたから行こうか」

 正直採取ツアーに行くだけだから必要無いかと思いもしたが、念のために俺は作っておいたのだ。
 しかし海に行くことを伝えると、リアンは機嫌よく頷いた。

 やはりかなり楽しみにしていたのだろう。
 俺はそう思いながら、海に行く準備をしてリアンと一緒に海に行った。

「おおっ、結構人がいるな」

 ビーチには、それなりに人が海水浴を楽しんでいた。

 取りあえず水着に着替えたし泳ぐかな? だけど、それよりもまず最初にリアンの水着姿でも拝ませてもらいますか......

 俺は期待を胸に抱きながら脱衣室を出た。
 だが、外にはいつもの恰好をしたリアンが立っていた。

「あれ? リアン水着はどうしたの? もしかしてそれは元々水着だったの?」
「そんなわけないでしょ、本当は新しい水着を買っていたんだけど部屋に忘れていたみたいでね」

 ちくしょう、何故だ? せっかく俺はリアンの水着姿を楽しみにしていたのにこんなのって.......
 俺はひたすら海にダイブしていた。

 何か周りからは、冷たい目線を浴びていた気がするが今の俺には関係なかった。

 五、六回目あたりで俺はリアンに止められた。
 俺は、もう泳ぐ気を失くして普段着に着替えた。
 見たかったなぁ、リアンの水着姿。

 俺が着替え終わるとリアンが飲み物を持ってきてくれていた。

「何考えているのよ?」
「ん? ああ、海が綺麗だな~って思ってた」

 そう言うと、リアンは呆れた表情でこっちを見ていた。

「よくあんなに海にダイブした後にそんなこと考えられるね......」
「まあね~」

 そういうと、リアンにクスッと笑われていた。
 はぁー、何か一気に疲れが増したな。
 その後はリアンと一緒に宿に戻り、夕食を済ませて風呂に入ってその日は眠りについた。

「やあ、元気かい?」

 ん? なんだ、ユーリか......にしても本当に夢の中は落ち着くな。
 俺はそう思っているとユーリが微笑みながら話しかけてきた。

「それは君の夢だからだよ、仮にもそれが別の人の夢ならそうは思わないよ」

 それは一体どういう事だろうか? 

「実際に見た者にしかわからない事だよ」

 マジか、でも俺にはあまり関係なさそうだな。
 そんな簡単に人の夢の中に行けるわけないからな。

「なら、実際に見てみる?」

 え? 何それ、そんな簡単に見れるのかよ。

「一応ね、でも僕が見た人の夢だからね、内容はそんなにいいものではないよ」

 まあ、人の夢はそれぞれだからな。
 そう思っているとユーリが指を鳴らした。
 すると辺りが一変して、見渡すと一面どこかの村になっていた。

 しかも人が普通に生活している村だった。
 だが少しすると何処からか煙が上がり、そこから火が付いた。

「うわ!? 危ねえ」

 俺は火を消そうとした。
 しかし、いくら踏んでも火は消えなかった。
 そうしている内に俺は井戸から水をくみ上げようとしたら、俺は桶を触ることができなかった。

「無駄だよ、ここはある人の夢の中なんだよ、触ることはできないから建物もすり抜けられるよ」

 俺は近くの建物の壁に手を通した。
 すると、ユーリが言った通り俺の手は壁をすり抜けた。

 本当だ、確かにすり抜けられるようだな、ってそうじゃなくてさっきの火はどうなったんだ!?

 煙が出ていたところに目を向けると、もう手遅れで辺りに燃え広がっていた。
 そのうち建物にも引火して建物が次々と燃え広がっていた。

 辺りから悲鳴なども聞こえてきたが、俺はただ見ていることしかできなかった。
 気が付くと一面が焼け野原になっていて、建物の面影などはほとんど残っていなかった。

「ね、決して夢が全て心地良いものだけではないでしょ?」

 ユーリは真剣な顔でそう言ってきた。

「一体誰の夢なんだ?」

 そういうと、ユーリはいつもの表情に戻り質問に答えた。

「それは言えないよ、人の夢なんだから他人に見せても誰の夢かまでは教えられないよ」

 それもそうか、確かに誰の夢か聞いても俺には関係なさそうだしな。

「いずれわかるよ」

 ユーリがそういうと、俺は夢から覚めた。

「はあ、とんでもない夢だったな」

 そういって俺は、リアンの方を見たらすでに起きていて用意をしていた。

「おはよう、リアン」
「おはよう、シン、何かうなされていたけど大丈夫?」

 うなされていたのか......まあユーリにあんな夢を見せられたらうなされもするか。

 俺は、とにかく朝食を摂って鉱石採取ツアーの待ち合わせ場所に向かった。
 場所は町の中心の広場のようだ。

「しかし、人が多いな」

 俺たち以外にも多くの人が広場に向かっていた。
 鉄や銀なども取れるから武器の素材で使うために、俺のような冒険者たちが来ているのだろう。

 そう思っていると、広場に着いたみたいで一息ついた。
 しばらくしていると、二人組の兵士が声を上げた。

「鉱石採取ツアーに参加する皆さま、門の外に誘導する案内人がいますのでその人について行ってください。」

 俺たちは門を出て、さっきと変わらない恰好の兵士五人と共にリトラ山に向かった。
 リトラ山は主に鉱石が多く取れるらしい。

 今回はあまり薬草は取れないかな?
 そう思っていると、足元にはヒリン草やクドミ草、ニトロ草がたくさん生えていた。

 後で採取しに来ようと俺は思った。
 しばらくすると洞窟の中に俺達は入った。
 中に入ると、所々に鉄や銀などの鉱石がむき出しになっていた。

 気が付くと案内人が一人ずつにピッケルを配っていた。

「ではこれより鉱石採取ツアーを開催します、十七時には終了しますのでそれまでに出口にお戻りください、なお薬草師様は安全のため爆薬などの使用はお控えください」

 まあ、そうだろうな。
 俺は渡されたピッケルを持って近くの鉱石を掘り始めた。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。 ※この作品は、カクヨムでも掲載しています。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処理中です...