大魔王の娘に転生したのはいいが、何故か幼なじみたちが勇者として現れた

弥刀咲 夕子

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side千華

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「ねぇ、聞いた?魔界の大魔王の話。」

「ええ、何でも新しい女を作ったものの、娘が認めなくて女を殺そうとしたから牢に入れたって話でしょ?」

「え?私は死刑にしたって話を聞いたわ。」

「そうそう。でも、死刑にするはずの娘は逃げてしまったらしいわね。
家族の中でも殺し合いなんて魔界って怖いわね。」

水場で洗濯をしている侍女たちが笑いながら世間話に花を咲かせていた。


私は、楽しげな声を背に二人がいる訓練場へと向かう。
訓練場に入ると、二人は運動がてらに魔法の打ち合っている。

「ちー、何してたの?遅いわよ!」

「れーこがせっかちなだけで時間通りだよ。」

腰に手を当てて言うれーこにたまがやれやれと首を振る。

「何事も五分前行動でしょ。日本人の基本。」

「いやいや、実際にそれをやってるの極少数の人だと思うよ?」

この二人はいつもこんな感じ。
見てて面白い。

「ごめん、つい迷っちゃって。」

「あはは、ちーは方向音痴だからねぇ。」

「そうね、いつも目的地と逆方向に行っちゃうものね。」

それはちょっと言い過ぎな気もするけど···、
否定はできないし。

「でももうこっち来てから結構経つわけだし、ちーもそろそろ城の中ぐらい覚えないとね。
どれくらいたったかな?」

「こちらの時間でだいたい半年よ。
まぁ、私たちの世界ではどうだか分からないけれど。」

「あっという間だね。」



本当にこっちに来てからあっという間だった。
はじめの1ヶ月はこの世界の知識と魔法の基礎を習った。
それから体術や剣術に魔法の実践が加わった。
3ヶ月過ぎると、実際に戦闘を体験するために王宮騎士と共に王都から少し離れた森で魔物を狩った。

生きている生物を剣で切る感触はとても生々しく嫌でも、もう私たちがいた世界とは別物なのだ、という現実を叩きつけられた。
怖かったし、忌避感もあった。
けれど、相手は本気でこちらに切りかかってくる。
死なないためには、殺すしかなかった。




「はー、それで今日はなんのために集められたのかしらね?」

「わざわざ集めなくても私たちいつも一緒にいるのに、どうしたんだろう。」

「しかも、集合が訓練場だなんてね。」

「それは、今から説明させていただきます。」

突然訓練場の真ん中に現れたのは私たちを召喚した魔導師レアジードさん。

「実は、魔族側に動きがあったようです。
皆様も知っているかもしれませんが、どうやら魔王とその娘の間に諍いがあり、娘を刑にかけようとしたところ、逃げられてしまったようでして娘探しに躍起になっているようです。」

「それと今回の招集とどんな関係が?」

「たま、おそらく私たちの『出陣』ということじゃない?
その娘探しに魔族側が躍起になっているのだとしたら人手が欲しいはず。
多分、人手は軍から割くのではないかしら。」

「つまり、人手が減って弱っているところを叩くってことなんじゃないかな?」

「さすが、レナ様です。
それから、チハナ様の仰るとおりに我々は戦力が欠けているところを叩こうと考えています。」

とうとう、この時が来たんだ···。

戦争なんてもちろん体験したことはないし、この世界の戦争の規模だってわからない。
種族間での戦いだから大きいことは間違いないだろうな。





「──というわけでして、ただいまから皆様には戦地に行っていただきます。」





「「···はい?」」




何かの聞き間違い?かな···。




「レアジードさん、あの今話が突然飛んだようなのですが···」

「ぶっ飛びまくったよね?」

「多分、聞き間違いじゃないかな···。」

当然、困惑する私たちにレアジードさんはにこりと笑った。

「いえ、聞き間違いではありませんよ?
この訓練場、実は火急の要件の際に少数部隊をすぐに現地へ送るための転移場(ゲート)の役割もあるのですよ。
だから、すぐに出発していただけます。」

「いやいやいや、そんなこと今聞いてないですけど!?」

「コダマ様、ご安心ください。
あちらには話を通していますので。」

「あちらに通す前に私たちに通してくださいませんか!?」

「レナ様、ただいまお伝えしましたが何か不都合がございますか?」

「不都合とか以前の問題な気がする。」

「では、皆様の検討をお祈りいたします。」

話が噛み合わないまま、レアジードさんが床を杖で叩くという合図をしたとたんに私たちの周りは光始めた。



「「とりあえず、話を聞いて!!」」




私たちはそんな置き台詞と共に気付いたら戦地であろうテントの中に立っていた。












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