【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi

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第8話 赤川は古狸③

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「え…?食べるの早っ。スローフードの方が体にいいんですよ?」
 俺も新橋も無視して食べ続けていた。時間は有限。昼休みを無駄にはできない。14時から会食なんだからいいだろ?どうせ貴様も来るんだろう。
 会社に戻ったら、新橋と14時からのRRカンパニーとの会食について話し合うからな。その時間も考えるとのん気に食べてられない。ああ、社食が良かったのに、この小娘が調理場をぶっ壊したからなぁ。社食だったらゆっくり食べてもまだ時間があったけど、外食は移動時間もあるから、昼休みの時間が短くなる。俺はイライラをつのらせていた。


 俺は赤川の小娘を無視して会社へ戻った。
 受付に「あの小娘は俺とは関係ない。今度来たら、追い返せ」と、言っておいた。警備の人間(組の人間)にも言っておこう。
 
「14時からの会食ですが、商談ではないですね。一体何を話すのでしょう?」
「大方、自分の娘の素晴らしさだろう?あるのか?」
「調理場を2カ所もダメにする能力(?)を持っていることはわかりましたが?」
「それだけだろう?姐からの情報によるとあの小娘は中卒だ」
「男なら極道の世界で中卒でもいいのですが、女は家事能力に加えて組を支えなければなりませんからね。それなりにアタマが良くないと…」
「だよなぁ。若さと勢いだけじゃあ、姐は務まらないんだが……」


 そして14時、俺と新橋は会食だという料亭へと行くことにした。
「わざわざ個室ですよ?面倒ですね?」
「そんな話をしたいからだろう?古狸め」

「いやいや三代目、わざわざお越しいただきありがとうございます」
「ここには白虎商事のCEOとして来ているんだが?商談じゃないのか?」
「まぁ、お堅いことは仰らずに。今日は娘が色々と失礼したようで申し訳ありません」
 本当にそうだよ。組の方の被害状況はどうなってるんだろう?まさか夕食まで外食とかじゃないよな?
「実はこの場に娘を連れてきておりまして。これがなかなか親の贔屓目で見なくても器量よく育ったものだと思っているのですよ。リコ、ここへ」
「は~い」
 親の欲目だ。贔屓目じゃなじゃなくても欲目だ。可愛いかもしれんがそれだけだな。
「率直に用件は何だ?」
「今の姐は三代目にはどうかと思うんです」
「なぜ?」
「我が娘の方が全てにおいて勝っているからですよ」
 調理場をダメにする娘が?全て?冗談(笑)
「理由が曖昧だな。そんな理由は理由にもならない」
「っ大体!三代目とあの姐は正式に籍を入れているわけではないでしょう?」
「つまり、正式に籍を入れれば問題はないんだな?それなら、今夜にでも正式に書類に名前を書いて、明日にでも役所に書類を提出しよう。他に理由、あるんだろ?ないならもう解散だな。俺達は会社に戻って仕事をする。予定よりも早く帰ることが出来そうだ」
 憧れの定時退社!夕食を姐(他の組員もいるが)と食べることができる。

「待ってください!娘はっ、貴方の姐になるためにと育てたんです」
「そんなことは俺には関係のないことだ。姐を選ぶのは俺だ」
「そうですねえ、三代目の姐になりたいのでしたらせめて高校くらい卒業していればよかったですね。あと、家事もマスターしていないと、今の姐さんの足元にも及びませんよ」
 実際にユキは時間があれば家の掃除とかしてるみたいで、組員をハラハラさせていると報告を受けている。事実、ユキが掃除してくれるので家の中がキレイになったように感じる。
「少なくとも調理室を2カ所もダメにするような女に用はない」
 俺が言いきると、小娘は泣き出したが自業自得と言うのか?勝手に上がり込んで壊して迷惑千万だ。ため息も出る。
「さ、帰るか。新橋、車を玄関に回してくれ」
「承知しました」

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