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第73話 閑話~ユキが始めてやってきた日
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ユキは何もわからないままこの屋敷にやってきた。
俺はユキの事を昔から知っている。そのことをユキは知らない。
俺が14才の時に親父が死んだ。と同時に俺は三代目の白虎組組長になった。
俺は人知れず近所の公園でボーっとしていた。
親父が死んだ……自分が組を支えていかなければならない。俺、まだ中学生なんだけど…。
「お兄ちゃん、ボーっとしてどうしたの?」
そんな時に俺に話しかけてくれたのがユキだった。
「お兄ちゃん、悲しそうだよ?我慢してるの?」
「そういう風にしなきゃなんなくなっちゃったんだ」
「そうなんだ。悲しいね。ねぇ、ユキの前でだけ泣いてもいいよ?だから、今泣いちゃいなよ」
そんな風に言ってくれるのはユキだけだった。
だから俺はユキを25億で買った。そして俺の姐にした。
初めてここに来たユキは何にもわかっていなかった。俺の事をCEOの白川大雄だと思っていたからな。本当は裏の人間なのに。
俺がユキを裏に引きずり込んだ。あんな生活をしているのも知っていた。そんな地獄から一刻も早く助け出したかった。
あの時の礼になるんだろうか?俺だけがユキの癒しになればと思っていた。
俺は何もわからなかったユキを無理やりに『姐』にしたようなものだ。組員の前でだけは何やら極道映画のような妖艶な姐さんだが、俺の前では素のユキになってくれるのが嬉しい。
着るものも洋服だったのが和服になり、色気も出てきた。俺はそんなユキを抱くようになった。違う、本当は再会したときから抱きたかった。
ユキが俺に甘えるようになり、俺としては男冥利に尽きる。このままユキを閉じ込めてしまいたいくらい大切だけれども、そんなことをしたらいきなり嫌われるだろう。
籠の鳥ではなく、いつでも俺のところに戻って来るようなそんな姐になってほしい。
今では子供も孫までいるけれども、俺はユキを抱き続ける。この体がもち続けるまで。俺にはユキしかいない。ユキ以外はいらない。
「どうしたの?神妙な顔して」
ユキに顔を覗き込まれた。
「いや、ユキに初めて会った日とユキが初めてこの屋敷に来た日を思い出してたのさ」
「やだ!恥ずかしい‼もう四半世紀以上前の話でしょう?」
「そうなるのか…。早いもんだなあ」
ユキは俺と会話する時に俺の前に座って、俺の腕の中にいるのが通常。向かい合っているのではない。体が重なるというんだろうか?
「あ、やだ。また手を着物の合わせに入れてきて」
「ユキが魅力的なのがいけないんだよ」
こういう風に俺とユキの距離は縮んだ。最初にあったはずの距離はもうない。
今日もユキは俺の腕の中で眠る。
俺はユキの事を昔から知っている。そのことをユキは知らない。
俺が14才の時に親父が死んだ。と同時に俺は三代目の白虎組組長になった。
俺は人知れず近所の公園でボーっとしていた。
親父が死んだ……自分が組を支えていかなければならない。俺、まだ中学生なんだけど…。
「お兄ちゃん、ボーっとしてどうしたの?」
そんな時に俺に話しかけてくれたのがユキだった。
「お兄ちゃん、悲しそうだよ?我慢してるの?」
「そういう風にしなきゃなんなくなっちゃったんだ」
「そうなんだ。悲しいね。ねぇ、ユキの前でだけ泣いてもいいよ?だから、今泣いちゃいなよ」
そんな風に言ってくれるのはユキだけだった。
だから俺はユキを25億で買った。そして俺の姐にした。
初めてここに来たユキは何にもわかっていなかった。俺の事をCEOの白川大雄だと思っていたからな。本当は裏の人間なのに。
俺がユキを裏に引きずり込んだ。あんな生活をしているのも知っていた。そんな地獄から一刻も早く助け出したかった。
あの時の礼になるんだろうか?俺だけがユキの癒しになればと思っていた。
俺は何もわからなかったユキを無理やりに『姐』にしたようなものだ。組員の前でだけは何やら極道映画のような妖艶な姐さんだが、俺の前では素のユキになってくれるのが嬉しい。
着るものも洋服だったのが和服になり、色気も出てきた。俺はそんなユキを抱くようになった。違う、本当は再会したときから抱きたかった。
ユキが俺に甘えるようになり、俺としては男冥利に尽きる。このままユキを閉じ込めてしまいたいくらい大切だけれども、そんなことをしたらいきなり嫌われるだろう。
籠の鳥ではなく、いつでも俺のところに戻って来るようなそんな姐になってほしい。
今では子供も孫までいるけれども、俺はユキを抱き続ける。この体がもち続けるまで。俺にはユキしかいない。ユキ以外はいらない。
「どうしたの?神妙な顔して」
ユキに顔を覗き込まれた。
「いや、ユキに初めて会った日とユキが初めてこの屋敷に来た日を思い出してたのさ」
「やだ!恥ずかしい‼もう四半世紀以上前の話でしょう?」
「そうなるのか…。早いもんだなあ」
ユキは俺と会話する時に俺の前に座って、俺の腕の中にいるのが通常。向かい合っているのではない。体が重なるというんだろうか?
「あ、やだ。また手を着物の合わせに入れてきて」
「ユキが魅力的なのがいけないんだよ」
こういう風に俺とユキの距離は縮んだ。最初にあったはずの距離はもうない。
今日もユキは俺の腕の中で眠る。
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