129 / 129
~おまけ
しおりを挟む
俺は81才、ユキは75才になってた。さらに言えば、ひ孫まで存在する。
今は出先から屋敷に帰る途中の車の中。ユキは何気なく外を見ている。やっぱり俺のユキは最高だなぁ。外を眺めるユキを俺は眺めていた。
ユキがある店を真剣に見ていることに気づいた。
写真館。
入口に飾られているウェディングドレス着て写真に写る花嫁が羨ましく見えたようだ。
思えばユキをあの家から連れ出し、籍を入れたものの式は挙げていないし、やっぱりウェディングドレス着たかったんだろうか?
「ユキ、ウェディングドレス着たかったのか?」
「違うのよ?そんなワガママ。蘭さんもみんな着てないじゃない」
俺は知っている。あいつらが俺に黙って写真だけは撮っていたことを。
「写真だけでもこれから撮らないか?」
「え?だってこんなおばあちゃんになっちゃって」
ユキはそう言うけれども、恥じるほどの年寄りくささはないと俺は思う。
「そうだなぁ。和装は今の年代で。洋装はユキが屋敷に来たばかりの頃に合成ってのはどうだ?見開きで過去と現在がわかるんだ。昔のユキがウェディングドレスかぁ。さぞかし、可愛いだろうなぁ」
「今はそんな技術が?」
「大輝に笑われるぞ。そのプログラムを作ったのはあいつだし。サンプルをかなり見て作ったらしい。しかも引きこもりの時に既に構想を作ってて、産休中に完成させたそうだ。あいつのPC技術はスゲーな。犯罪捜査にも一役買っているらしい。表向き白虎商事の秘書だからな。表が作ったソフトを警察が使うのはOKなんだろう?」
数日後、俺とユキは写真館で和装と洋装の写真を撮ることとなった。
「大雄さんは年齢に関係なく、タキシードも似合っててステキです」
そんなことを言われたら俺の理性さんがまたどこかへ旅立ってしまう!
「ユキだってウェディングドレス姿、どこに出しても恥ずかしくないぞ?」
「私が恥ずかしいからやめてください!」
「そうかぁ?そこら辺の若い花嫁よりも魅力的だと思うんだけどなぁ?」
「欲目ですよ!」
「いやいやお二人とも美男美女でいらっしゃる。若い時はさぞかしモテモテだったんでしょうな?」
「そうでもないぞ?ユキは二十歳前に俺が俺の屋敷に連れ込んでるからなぁ」
「いやはや血気盛んだったのですね~」
「とはいえ、俺はユキ一筋だぞ!」
「お熱いことで」
軽口で話しながらも写真を撮り続ける。
「若く合成するなら、もっといちゃついた方がいいのか?」
「そうですねぇ、二人見つめ合ってお姫様抱っことか?」
「そんなんでいいのか」
俺はもっとイチャイチャするもんだと思ってた。先入観て怖いな。
年をとってもユキはオバサン体型になったりしなかったから、以前と変わらず軽かった。屋敷に連れてきてからは少し体重が増えたけど、健康的になったというのか?
和装では、ユキには着付けが必要なかった。普段から着物だからなぁ。
俺は慣れてないから、スタッフの方に着せてもらった。屋敷から持ってきた俺の爺さんが着てた紋付袴。
「うわ~!大雄さん素敵です!それはうちの家紋ですか?」
「そうらしい。いちいち名前があるらしいが、この家紋はなんだろう?ま、いいやユキの白無垢もいいなぁ。角隠し(?)か?」
「多分、和服って難しいですね。着るのはできるんですけど。メイクとかはスタッフさんにお任せしました。女性スタッフさんですよ?大雄さんはすぐ嫉妬しちゃうからなぁ」
「んなっ。まるで俺の心が狭いみたいに言うなよ」
「そうは言ってませんよ?」
俺が立った状態で、ユキは着席で写真を撮った。洋装の時と違って何枚も撮るわけじゃなく、せいぜい3・4枚だ。
後日、改めて写真館に行くと写真が完成しているらしいので、後日に行くことにした。
その後日写真館に行くと、ビックリした。
結構な大きさで俺とユキの写真が写真館の入口を飾っている。
「ご主人~!驚くじゃねーか!許可なくあれはビビるじゃねーか」
「いやぁ、お二人の写真の洋装バージョンは合成するととんでもない美男美女になってこちらが驚きましたよ!」
俺は24才くらいの頃美男だったのか?ユキは美女だったと思う。19才だったからだろうかまだちょっとあどけなさを残しつつの美女。ユキの両親が身体を売るように強要してなくて本当に良かったよ。
写真の中のユキは俺が見ると、なんだか久しぶり過ぎて『久しぶりに会った親戚の子』みたいな感じだった。
ユキは写真の俺を見て「うわ~!懐かし~!大雄さんもこんな時期があったんですよね!」と結構頓珍漢な事を言っていた。
和装の俺たちはもうなんだか落ち着きすぎていた。やんちゃの欠片も感じられない。それでもユキは「袴の大雄さんも素敵ですね~!」と言っていた。普段から袴……。いや慣れていないから駄目だなぁ。紋付の袴だし、これは大志に継承すべきものだよな。
写真館の主人には俺の職業をはっきりと伝えて、「店の正面に堂々と俺の写真なんか貼ったら、俺の命を狙うやつらがこの写真館をマークするようになるぜ?」と伝えた。
翌日には店の正面に飾られていたちょっと大きめの写真は撤去されていた。もったいないので、その写真は俺が個人的に引き取って俺とユキの部屋に飾っている。
ユキが満足そうでよかった。
今は出先から屋敷に帰る途中の車の中。ユキは何気なく外を見ている。やっぱり俺のユキは最高だなぁ。外を眺めるユキを俺は眺めていた。
ユキがある店を真剣に見ていることに気づいた。
写真館。
入口に飾られているウェディングドレス着て写真に写る花嫁が羨ましく見えたようだ。
思えばユキをあの家から連れ出し、籍を入れたものの式は挙げていないし、やっぱりウェディングドレス着たかったんだろうか?
「ユキ、ウェディングドレス着たかったのか?」
「違うのよ?そんなワガママ。蘭さんもみんな着てないじゃない」
俺は知っている。あいつらが俺に黙って写真だけは撮っていたことを。
「写真だけでもこれから撮らないか?」
「え?だってこんなおばあちゃんになっちゃって」
ユキはそう言うけれども、恥じるほどの年寄りくささはないと俺は思う。
「そうだなぁ。和装は今の年代で。洋装はユキが屋敷に来たばかりの頃に合成ってのはどうだ?見開きで過去と現在がわかるんだ。昔のユキがウェディングドレスかぁ。さぞかし、可愛いだろうなぁ」
「今はそんな技術が?」
「大輝に笑われるぞ。そのプログラムを作ったのはあいつだし。サンプルをかなり見て作ったらしい。しかも引きこもりの時に既に構想を作ってて、産休中に完成させたそうだ。あいつのPC技術はスゲーな。犯罪捜査にも一役買っているらしい。表向き白虎商事の秘書だからな。表が作ったソフトを警察が使うのはOKなんだろう?」
数日後、俺とユキは写真館で和装と洋装の写真を撮ることとなった。
「大雄さんは年齢に関係なく、タキシードも似合っててステキです」
そんなことを言われたら俺の理性さんがまたどこかへ旅立ってしまう!
「ユキだってウェディングドレス姿、どこに出しても恥ずかしくないぞ?」
「私が恥ずかしいからやめてください!」
「そうかぁ?そこら辺の若い花嫁よりも魅力的だと思うんだけどなぁ?」
「欲目ですよ!」
「いやいやお二人とも美男美女でいらっしゃる。若い時はさぞかしモテモテだったんでしょうな?」
「そうでもないぞ?ユキは二十歳前に俺が俺の屋敷に連れ込んでるからなぁ」
「いやはや血気盛んだったのですね~」
「とはいえ、俺はユキ一筋だぞ!」
「お熱いことで」
軽口で話しながらも写真を撮り続ける。
「若く合成するなら、もっといちゃついた方がいいのか?」
「そうですねぇ、二人見つめ合ってお姫様抱っことか?」
「そんなんでいいのか」
俺はもっとイチャイチャするもんだと思ってた。先入観て怖いな。
年をとってもユキはオバサン体型になったりしなかったから、以前と変わらず軽かった。屋敷に連れてきてからは少し体重が増えたけど、健康的になったというのか?
和装では、ユキには着付けが必要なかった。普段から着物だからなぁ。
俺は慣れてないから、スタッフの方に着せてもらった。屋敷から持ってきた俺の爺さんが着てた紋付袴。
「うわ~!大雄さん素敵です!それはうちの家紋ですか?」
「そうらしい。いちいち名前があるらしいが、この家紋はなんだろう?ま、いいやユキの白無垢もいいなぁ。角隠し(?)か?」
「多分、和服って難しいですね。着るのはできるんですけど。メイクとかはスタッフさんにお任せしました。女性スタッフさんですよ?大雄さんはすぐ嫉妬しちゃうからなぁ」
「んなっ。まるで俺の心が狭いみたいに言うなよ」
「そうは言ってませんよ?」
俺が立った状態で、ユキは着席で写真を撮った。洋装の時と違って何枚も撮るわけじゃなく、せいぜい3・4枚だ。
後日、改めて写真館に行くと写真が完成しているらしいので、後日に行くことにした。
その後日写真館に行くと、ビックリした。
結構な大きさで俺とユキの写真が写真館の入口を飾っている。
「ご主人~!驚くじゃねーか!許可なくあれはビビるじゃねーか」
「いやぁ、お二人の写真の洋装バージョンは合成するととんでもない美男美女になってこちらが驚きましたよ!」
俺は24才くらいの頃美男だったのか?ユキは美女だったと思う。19才だったからだろうかまだちょっとあどけなさを残しつつの美女。ユキの両親が身体を売るように強要してなくて本当に良かったよ。
写真の中のユキは俺が見ると、なんだか久しぶり過ぎて『久しぶりに会った親戚の子』みたいな感じだった。
ユキは写真の俺を見て「うわ~!懐かし~!大雄さんもこんな時期があったんですよね!」と結構頓珍漢な事を言っていた。
和装の俺たちはもうなんだか落ち着きすぎていた。やんちゃの欠片も感じられない。それでもユキは「袴の大雄さんも素敵ですね~!」と言っていた。普段から袴……。いや慣れていないから駄目だなぁ。紋付の袴だし、これは大志に継承すべきものだよな。
写真館の主人には俺の職業をはっきりと伝えて、「店の正面に堂々と俺の写真なんか貼ったら、俺の命を狙うやつらがこの写真館をマークするようになるぜ?」と伝えた。
翌日には店の正面に飾られていたちょっと大きめの写真は撤去されていた。もったいないので、その写真は俺が個人的に引き取って俺とユキの部屋に飾っている。
ユキが満足そうでよかった。
11
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。
星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。
引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。
見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。
つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。
ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。
しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。
その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…?
果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!?
※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。
ある日、憧れブランドの社長が溺愛求婚してきました
蓮恭
恋愛
恋人に裏切られ、傷心のヒロイン杏子は勤め先の美容室を去り、人気の老舗美容室に転職する。
そこで真面目に培ってきた技術を買われ、憧れのヘアケアブランドの社長である統一郎の自宅を訪問して施術をする事に……。
しかも統一郎からどうしてもと頼まれたのは、その後の杏子の人生を大きく変えてしまうような事で……⁉︎
杏子は過去の臆病な自分と決別し、統一郎との新しい一歩を踏み出せるのか?
【サクサク読める現代物溺愛系恋愛ストーリーです】
婚約破棄された私を拾ったのは、冷徹領主様でした。——不器用なのに過保護で、どうしてそんなに愛してくるんですか!?
鷹 綾
恋愛
婚約破棄されたその日、私の人生は——終わるどころか、むしろ始まった。
控えめで、影が薄いとさえ言われてきた令嬢ミリア。
突然の婚約破棄に戸惑うミリアの前に現れたのは、
冷徹で不器用、誰も近づけないと噂の若き領主・アーロンだった。
「来い。——おまえを、俺が雇う」
淡々とした声の奥に隠された、誰より優しい本心。
ぶっきらぼうなのに過保護すぎる態度。
毎日少しずつ距離が縮まり、気づけばミリアは彼の隣が一番安心できる場所になっていた。
しかし——
アーロンには“狙われる理由”があり、
ミリアは敵から“アーロンの弱点”として標的にされてしまう。
「ミリアを傷つける者は……俺が終わらせる」
影が迫る中、不器用な領主は初めて感情を露わにし、
ミリアを守るため命をかけて戦う。
そして明かされる真実——
彼が守りたい理由は、弱点ではなく“特別”だから。
婚約破棄から始まる、甘くて切なくて止まらない恋。
不器用領主 × こつこつ健気令嬢の、守られ愛されラブストーリー!
---
ブラック企業に勤めていた私、深夜帰宅途中にトラックにはねられ異世界転生、転生先がホワイト貴族すぎて困惑しております
さくら
恋愛
ブラック企業で心身をすり減らしていた私。
深夜残業の帰り道、トラックにはねられて目覚めた先は――まさかの異世界。
しかも転生先は「ホワイト貴族の領地」!?
毎日が定時退社、三食昼寝つき、村人たちは優しく、領主様はとんでもなくイケメンで……。
「働きすぎて倒れる世界」しか知らなかった私には、甘すぎる環境にただただ困惑するばかり。
けれど、領主レオンハルトはまっすぐに告げる。
「あなたを守りたい。隣に立ってほしい」
血筋も財産もない庶民の私が、彼に選ばれるなんてあり得ない――そう思っていたのに。
やがて王都の舞踏会、王や王妃との対面、数々の試練を経て、私たちは互いの覚悟を誓う。
社畜人生から一転、異世界で見つけたのは「愛されて生きる喜び」。
――これは、ブラックからホワイトへ、過労死寸前OLが掴む異世界恋愛譚。
お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚
ラヴ KAZU
恋愛
忌まわしい過去から抜けられず、恋愛に臆病になっているアラフォー葉村美鈴。
五歳の時の初恋相手との結婚を願っている若き御曹司戸倉慶。
ある日美鈴の父親の会社の借金を支払う代わりに美鈴との政略結婚を申し出た慶。
年下御曹司との政略結婚に幸せを感じることが出来ず、諦めていたが、信じられない慶の愛情に困惑する美鈴。
慶に惹かれる気持ちと過去のトラウマから男性を拒否してしまう身体。
二人の恋の行方は……
白い結婚に、猶予を。――冷徹公爵と選び続ける夫婦の話
鷹 綾
恋愛
婚約者である王子から「有能すぎる」と切り捨てられた令嬢エテルナ。
彼女が選んだ新たな居場所は、冷徹と噂される公爵セーブルとの白い結婚だった。
干渉しない。触れない。期待しない。
それは、互いを守るための合理的な選択だったはずなのに――
静かな日常の中で、二人は少しずつ「選び続けている関係」へと変わっていく。
越えない一線に名前を付け、それを“猶予”と呼ぶ二人。
壊すより、急ぐより、今日も隣にいることを選ぶ。
これは、激情ではなく、
確かな意思で育つ夫婦の物語。
地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!
楓乃めーぷる
恋愛
見た目はどこにでもいそうな地味系女子の小鳥風音(おどりかざね)が、ようやく就職した会社で何故か社長秘書に大抜擢されてしまう。
秘書検定も持っていない自分がどうしてそんなことに……。
呼び出された社長室では、明るいイケメンチャラ男な御曹司の社長と、ニコリともしない銀縁眼鏡の副社長が風音を待ち構えていた――
地味系女子が色々巻き込まれながら、イケメンと美形とぶつかって仲良くなっていく王道ラブコメなお話になっていく予定です。
ちょっとだけ三角関係もあるかも?
・表紙はかんたん表紙メーカーで作成しています。
・毎日11時に投稿予定です。
・勢いで書いてます。誤字脱字等チェックしてますが、不備があるかもしれません。
・公開済のお話も加筆訂正する場合があります。
エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
如月 そら
恋愛
「二度目は偶然だが、三度目は必然だ。三度目がないことを願っているよ」
(三度目はないからっ!)
──そう心で叫んだはずなのに目の前のエリート役員から逃げられない!
「俺と君が出会ったのはつまり必然だ」
倉木莉桜(くらきりお)は大手エアラインで日々奮闘する客室乗務員だ。
ある日、自社の機体を製造している五十里重工の重役がトラブルから莉桜を救ってくれる。
それで彼との関係は終わったと思っていたのに!?
エリート役員からの溺れそうな溺愛に戸惑うばかり。
客室乗務員(CA)倉木莉桜
×
五十里重工(取締役部長)五十里武尊
『空が好き』という共通点を持つ二人の恋の行方は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。