紫水晶の瞳は私を捕らえる

satomi

文字の大きさ
9 / 12

9.アンジーの社交デビュー♪

しおりを挟む
 
「アンジー、感動してるところ悪いけどもうそろそろ淑女教育の時間よ。遅れると先生に怒られるんじゃないの?」
「もっと早く言ってよ~! あの先生、時間に厳しいんだ。ああ、着替えなきゃだし、本当はお風呂にも入りたいよぉ」
 そうだと思う。―――現実って厳しいよね。


 なんだかんだとアンジーも立派な淑女に成長した。
 来るデビュタント。アンジーはどんなドレスがいいかしら?
 侍女による聞き取り調査によると、『どんなドレスもアンジー様の美しさには敵わない』という結果だった。
 何を聞いたの?違うわよ!ドレスの形はどういうのがいいのかを聞きたかったのよ!
 最近成長してるし(身長)筋肉で締まってるからマーメイドラインでも大丈夫だろうけど、可愛らしさが表現できないのよね。無難なプリンセスラインかしら?紫水晶のアクセサリーの新調に……あら、アンジーって誰かエスコートする人いないの?婚約者もいないし。
「俺がエスコートするよ……」
 ため息交じりで登場しないで~!!えーっと薄茶色でドレスに刺繍をしましょう。それでいいかなぁ?コンラッド様としてはOKだろうなぁ。


 当日、ウィルのエスコートでアンジーがデビュタント。私もコンラッド様も感無量です!
 当然、アンジーの入場がラストだと思ってたんだけど、アンジーよりも上位の方がいらっしゃるんだなぁ。と私はその時ぼへぇ~っと思っていた。

 ウィルはまだ騎士団を辞めていないので、騎士服になんだか徽章がいっぱいジャラジャラついてる。辞めちゃうのもったいない逸材なんじゃない?実は。
 礼服用騎士服もなかなか様になるような体型に育ったなぁ。コンラッド様に似てイケメンに育ったし、よかった~。
 アンジーもなかなかサマになってるじゃない?鍛えてるから、体が締まってるし。欲を言うと……胸が欲しい所だけど。剣を振るう時に巨乳は邪魔だもんね。

 アンジーよりラストに入場したのは第2王子殿下の息子オズワルド(愛称:ルド)。アンジーの従兄弟だねぇ。そういえば、忘れてた。年始に会った時に『同じ年だね』って話になったんだっけ。すっかり忘れてた。コンラッド様は覚えてたかもしれないけど。

 向こうは第2王子殿下のお嬢様をエスコートしてる感じで入場してるのか。お互いパートナーがいないことに直前に気付いたというやつ?(うちだけかなぁ?)

 陛下に挨拶をすると、デレデレ返事が返ってきて「私がもっと若ければアンジーのエスコート役をしたかった」という言葉をいただいた。と、後から聞いた。

「なぁ、アンジー?お前とルドで出席すれば良かったんじゃないか?」
「私もルドが今年デビュタントだってすっかり忘れてたんだもん。エスコートの話とかって男性からするものじゃないの?」
「まぁ、そうだな。向こうも、お前がデビュタントだって知らなかった可能性あるし、まあどっちもどっちだな。後の祭りだし」
「俺がアンジーのデビュタント、エスコートしたかった……」
「アンジーだってルドが今年デビュタントだって知らなかったんだから、お互い様だよ」
 ウィルが二人の間で緩衝材みたいになってくれてるけど、コレは……オズワルド殿下はうちのアンジーにラブコールですか??

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された私は、世間体が悪くなるからと家を追い出されました。そんな私を救ってくれたのは、隣国の王子様で、しかも初対面ではないようです。

冬吹せいら
恋愛
キャロ・ブリジットは、婚約者のライアン・オーゼフに、突如婚約を破棄された。 本来キャロの味方となって抗議するはずの父、カーセルは、婚約破棄をされた傷物令嬢に価値はないと冷たく言い放ち、キャロを家から追い出してしまう。 ありえないほど酷い仕打ちに、心を痛めていたキャロ。 隣国を訪れたところ、ひょんなことから、王子と顔を合わせることに。 「あの時のお礼を、今するべきだと。そう考えています」 どうやらキャロは、過去に王子を助けたことがあるらしく……?

【完結】忌み子と呼ばれた公爵令嬢

美原風香
恋愛
「ティアフレア・ローズ・フィーン嬢に使節団への同行を命じる」  かつて、忌み子と呼ばれた公爵令嬢がいた。  誰からも嫌われ、疎まれ、生まれてきたことすら祝福されなかった1人の令嬢が、王国から追放され帝国に行った。  そこで彼女はある1人の人物と出会う。  彼のおかげで冷え切った心は温められて、彼女は生まれて初めて心の底から笑みを浮かべた。  ーー蜂蜜みたい。  これは金色の瞳に魅せられた令嬢が幸せになる、そんなお話。

カナリア姫の婚約破棄

里見知美
恋愛
「レニー・フローレスとの婚約をここに破棄する!」 登場するや否や、拡声魔道具を使用して第三王子のフランシス・コロネルが婚約破棄の意思を声明した。 レニー・フローレスは『カナリア姫』との二つ名を持つ音楽家で有名なフローレス侯爵家の長女で、彼女自身も歌にバイオリン、ヴィオラ、ピアノにハープとさまざまな楽器を使いこなす歌姫だ。少々ふくよかではあるが、カナリア色の巻毛にけぶるような長いまつ毛、瑞々しい唇が独身男性を虜にした。鳩胸にたわわな二つの山も視線を集め、清楚な中にも女性らしさを身につけ背筋を伸ばして佇むその姿は、まさに王子妃として相応しいと誰もが思っていたのだが。 どうやら婚約者である第三王子は違ったらしい。 この婚約破棄から、国は存亡の危機に陥っていくのだが。 ※他サイトでも投稿しています。

「きみを愛することはない」祭りが開催されました~祭りのあと1

吉田ルネ
恋愛
「きみを愛することはない」祭りが開催されました のその後。 イアンのバカはどうなったのか。 愛人はどうなったのか。 ちょっとだけざまあがあります。

【完結】謀られた令嬢は、真実の愛を知る

白雨 音
恋愛
男爵令嬢のミシェルは、十九歳。 伯爵子息ナゼールとの結婚を二月後に控えていたが、落馬し、怪我を負ってしまう。 「怪我が治っても歩く事は難しい」と聞いた伯爵家からは、婚約破棄を言い渡され、 その上、ナゼールが自分の代わりに、親友のエリーゼと結婚すると知り、打ちのめされる。 失意のミシェルに、逃げ場を与えてくれたのは、母の弟、叔父のグエンだった。 グエンの事は幼い頃から実の兄の様に慕っていたが、彼が伯爵を継いでからは疎遠になっていた。 あの頃の様に、戻れたら…、ミシェルは癒しを求め、グエンの館で世話になる事を決めた___  異世界恋愛:短編☆(全13話)  ※魔法要素はありません。 ※叔姪婚の認められた世界です。 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

〈完結〉貴方、不倫も一つならまだ見逃しましたが、さすがにこれでは離婚もやむを得ません。

江戸川ばた散歩
恋愛
とある夏の避暑地。ローライン侯爵家の夏屋敷のお茶会に招待された六つの家の夫妻及び令嬢。 ゆったりとした時間が送れると期待していたのだが、登場したこの日の主催者であるローライン夫妻のうち、女学者侯爵夫人と呼ばれているルージュの口からこう切り出される。「離婚を宣言する」と。 驚く夫ティムス。 かくしてお茶会公開裁判の場となるのであった。

ある公爵令嬢の死に様

鈴木 桜
恋愛
彼女は生まれた時から死ぬことが決まっていた。 まもなく迎える18歳の誕生日、国を守るために神にささげられる生贄となる。 だが、彼女は言った。 「私は、死にたくないの。 ──悪いけど、付き合ってもらうわよ」 かくして始まった、強引で無茶な逃亡劇。 生真面目な騎士と、死にたくない令嬢が、少しずつ心を通わせながら 自分たちの運命と世界の秘密に向き合っていく──。

デネブが死んだ

ありがとうございました。さようなら
恋愛
弟との思い出の土地で、ゆっくりと死を迎えるつもりのアデラインの隣の屋敷に、美しい夫婦がやってきた。 夫のアルビレオに強く惹かれるアデライン。 嫉妬心を抑えながら、妻のデネブと親友として接する。 アデラインは病弱のデネブを元気付けた。 原因となる病も完治した。それなのに。 ある日、デネブが死んだ。 ふわっとしてます

処理中です...