1 / 1
チャンスは逃さない
しおりを挟む
「本日をもって、貴殿との婚約を破棄する!この可愛い…愛くるしいミエを虐めたという話はよく聞いている。
例えば、ミエの机に落書きをする。ミエの体操着を切り裂く。ミエの教科書を破り捨て、池に捨てる。等御し難い!よって、本日をもって貴殿とは婚約を破棄する。そして新たにこの愛くるしいミエとの婚約を宣言する!」
高らかに皇太子殿下は宣言した。
ミエ嬢は勝ち誇ったような笑みを貼り付けて、オーウェン皇太子殿下の腕にくっついている。
当然か?婚約破棄されたネクタス侯爵令嬢は蒼白だ。
「オーウェン皇太子殿下、それでは私がテレーゼ=ネクタス嬢と婚約しても問題はないわけですね?」
「叔父上…」
そうは言っても、私は皇太子殿下よりちょっと年上なだけ。
「婚約破棄されたわけですし、問題はないでしょう?テレーゼ嬢?私と婚約していただけませんか?」
周りがざわめく…。オーウェン皇太子殿下にくっついていたあの女も何か知らないが、悔しそうな顔をしている。
「私は貴女が毎日のように王宮に来て王妃教育を真面目に受けているのを見て、なんて素敵な女性だろうと思っていました。しかし、オーウェンの婚約者でしたから私の想いなど届かないと思っていましたが、オーウェン皇太子殿下が貴女と婚約破棄したことで話は変わります。是非ともわたし、ステファンと婚約をしていただけませんか?」
「ステファン王弟殿下に申し上げます。彼女は私を虐めたという事でこちらの皇太子殿下に婚約破棄された、いわば“キズモノ”令嬢ですよ?」
「あなたを虐めたというのが事実ならばですね。私はそうは思っていないので。王妃教育を学園での授業後に王宮でこなし、即家路につく。そんな生活をしていてはあなたを虐める暇などありません。それに虐めているのが事実ならば、既に陛下がご存じでしょう?このように殿下自ら婚約破棄を言い渡す必要など全くないのです。陛下が事実を把握しているはずですから。本日は陛下が視察で王宮を留守にしていますね?」
さらに、周りがざわつく。
そうなんだよなぁ。事実なら、王家の影が陛下に報告をして既に本人及びネクタス侯爵家に報告済みだろうから。
「私でよろしければ、ステファン様のとの婚約を考えます」
「ありがとうございます」
私は彼女の手を取り指先にキスをした。
正直ミエ嬢が国母をできるとは思っていない。
見た目だけで国母ができるほど甘くない。だからこそ、テレーゼ嬢は王妃教育を頑張っていたというのに…。私の代では…。私は宰相というポストに就く予定だったが、この分だと陛下が戻ってきて事の次第を聞いたら、私が皇太子になって…。ということもあり得るな。
別に狙っていたわけではない。
あの女がオーウェン皇太子殿下を唆したからこうなったわけで、結果論だ。
ミエ嬢は何を考えてたのだろう?自分の知識量などで国母をできると思っていたのだろうか?
Side ミエ
何でなのよ?
あの女はキズモノなのよ?
キズモノの令嬢に求婚するイケメン王弟?
はぁ?ありえないんだけど?
私は、王妃になって贅沢の限りを尽くした生活をするんだから!
そうなった時には、王弟殿下なんかどっかの辺境の土地にぶっ飛ばしてやるんだから!
陛下は戻ってきてビックリした。自分の息子の愚かさに…。
「オーウェン。お前はなんてことをしたんだ!」
「はい、陛下!ミエを虐めるテレーゼ嬢とは婚約破棄しミエと婚約することを宣言しました!」
「お前は…。どうしてくれよう?それで、テレーゼ嬢は?」
「なんだか、叔父上のステファン様と婚約したようです」
「はぁ、そうか。うん、まぁいいか。それより、お前は自分の事をどう思っているんだ?」
「事実を把握し、一番良い選択をしたと自負しております!」
「まず、事実を把握についてだが・・・テレーゼ嬢がミエ嬢を虐めているという証拠はきちんと掴んだのだろうな?」
「はい。ミエやその他の友人の証言です」
「それは、証拠とは言えないんだが…。物的証拠が何一つないではないか?だというのにお前はテレーゼ嬢を責め、婚約破棄をし、ミエ嬢と婚約を宣言したと?」
「はい」
「ではそのミエ嬢はさぞかし優秀なのだろうな?少なくともテレーゼ嬢くらいには」
「いいえ。そのような知識に凝り固まったような人間ではなく、非常に愛らしい人間です」
「愛らしさで国母が出来ると思ってるのか?社交をし、外交をし、と常に人に晒されるような生活が待っているんだ。愛らしさだけではやっていけん」
「…」
「つまり、お前は大事な選択を誤った。皇太子として大失敗だ。それはもう、歴史に残るレベルの大失態。私は恥ずかしい!」
「でも、私は皇太子を続けられますよね?」
「そのミエという女が婚約者ならば無理だ。廃太子だ。決定は覆らない。厳しいがお前はそれほどの事をした。次期皇太子はステファンにやってもらおう。ちょうど、ステファンの婚約者はテレーゼ嬢だから王妃教育も佳境」
「私は…私は何のために?」
「そんなものは自分で考えろ!」
やっぱり私が皇太子となった。
テレーゼ嬢が次期皇太子妃のようだ。今日も王宮で王妃教育を受けている。頑張る姿がいいのだ。
学園を卒業と同時に結婚という事になったが、それはそれで俺達は幸せ。
結婚して5年も経てば、昔が懐かしいと当時の話をしたりする。
キチンと跡継ぎもいます。
阿呆にならないように、変な女に引っかからないように教育しようと強く思います。
余談ですが、廃太子となったオーウェン元皇太子殿下はミエ嬢を伴って北の別荘にこもっているそうです。
一応王家だから、働かなくても最低限食べていけるけど、予算を決めて無駄遣いしないようにしてます。ミエ嬢の目的が王妃になって贅沢の限りを尽くすようだったので…。
例えば、ミエの机に落書きをする。ミエの体操着を切り裂く。ミエの教科書を破り捨て、池に捨てる。等御し難い!よって、本日をもって貴殿とは婚約を破棄する。そして新たにこの愛くるしいミエとの婚約を宣言する!」
高らかに皇太子殿下は宣言した。
ミエ嬢は勝ち誇ったような笑みを貼り付けて、オーウェン皇太子殿下の腕にくっついている。
当然か?婚約破棄されたネクタス侯爵令嬢は蒼白だ。
「オーウェン皇太子殿下、それでは私がテレーゼ=ネクタス嬢と婚約しても問題はないわけですね?」
「叔父上…」
そうは言っても、私は皇太子殿下よりちょっと年上なだけ。
「婚約破棄されたわけですし、問題はないでしょう?テレーゼ嬢?私と婚約していただけませんか?」
周りがざわめく…。オーウェン皇太子殿下にくっついていたあの女も何か知らないが、悔しそうな顔をしている。
「私は貴女が毎日のように王宮に来て王妃教育を真面目に受けているのを見て、なんて素敵な女性だろうと思っていました。しかし、オーウェンの婚約者でしたから私の想いなど届かないと思っていましたが、オーウェン皇太子殿下が貴女と婚約破棄したことで話は変わります。是非ともわたし、ステファンと婚約をしていただけませんか?」
「ステファン王弟殿下に申し上げます。彼女は私を虐めたという事でこちらの皇太子殿下に婚約破棄された、いわば“キズモノ”令嬢ですよ?」
「あなたを虐めたというのが事実ならばですね。私はそうは思っていないので。王妃教育を学園での授業後に王宮でこなし、即家路につく。そんな生活をしていてはあなたを虐める暇などありません。それに虐めているのが事実ならば、既に陛下がご存じでしょう?このように殿下自ら婚約破棄を言い渡す必要など全くないのです。陛下が事実を把握しているはずですから。本日は陛下が視察で王宮を留守にしていますね?」
さらに、周りがざわつく。
そうなんだよなぁ。事実なら、王家の影が陛下に報告をして既に本人及びネクタス侯爵家に報告済みだろうから。
「私でよろしければ、ステファン様のとの婚約を考えます」
「ありがとうございます」
私は彼女の手を取り指先にキスをした。
正直ミエ嬢が国母をできるとは思っていない。
見た目だけで国母ができるほど甘くない。だからこそ、テレーゼ嬢は王妃教育を頑張っていたというのに…。私の代では…。私は宰相というポストに就く予定だったが、この分だと陛下が戻ってきて事の次第を聞いたら、私が皇太子になって…。ということもあり得るな。
別に狙っていたわけではない。
あの女がオーウェン皇太子殿下を唆したからこうなったわけで、結果論だ。
ミエ嬢は何を考えてたのだろう?自分の知識量などで国母をできると思っていたのだろうか?
Side ミエ
何でなのよ?
あの女はキズモノなのよ?
キズモノの令嬢に求婚するイケメン王弟?
はぁ?ありえないんだけど?
私は、王妃になって贅沢の限りを尽くした生活をするんだから!
そうなった時には、王弟殿下なんかどっかの辺境の土地にぶっ飛ばしてやるんだから!
陛下は戻ってきてビックリした。自分の息子の愚かさに…。
「オーウェン。お前はなんてことをしたんだ!」
「はい、陛下!ミエを虐めるテレーゼ嬢とは婚約破棄しミエと婚約することを宣言しました!」
「お前は…。どうしてくれよう?それで、テレーゼ嬢は?」
「なんだか、叔父上のステファン様と婚約したようです」
「はぁ、そうか。うん、まぁいいか。それより、お前は自分の事をどう思っているんだ?」
「事実を把握し、一番良い選択をしたと自負しております!」
「まず、事実を把握についてだが・・・テレーゼ嬢がミエ嬢を虐めているという証拠はきちんと掴んだのだろうな?」
「はい。ミエやその他の友人の証言です」
「それは、証拠とは言えないんだが…。物的証拠が何一つないではないか?だというのにお前はテレーゼ嬢を責め、婚約破棄をし、ミエ嬢と婚約を宣言したと?」
「はい」
「ではそのミエ嬢はさぞかし優秀なのだろうな?少なくともテレーゼ嬢くらいには」
「いいえ。そのような知識に凝り固まったような人間ではなく、非常に愛らしい人間です」
「愛らしさで国母が出来ると思ってるのか?社交をし、外交をし、と常に人に晒されるような生活が待っているんだ。愛らしさだけではやっていけん」
「…」
「つまり、お前は大事な選択を誤った。皇太子として大失敗だ。それはもう、歴史に残るレベルの大失態。私は恥ずかしい!」
「でも、私は皇太子を続けられますよね?」
「そのミエという女が婚約者ならば無理だ。廃太子だ。決定は覆らない。厳しいがお前はそれほどの事をした。次期皇太子はステファンにやってもらおう。ちょうど、ステファンの婚約者はテレーゼ嬢だから王妃教育も佳境」
「私は…私は何のために?」
「そんなものは自分で考えろ!」
やっぱり私が皇太子となった。
テレーゼ嬢が次期皇太子妃のようだ。今日も王宮で王妃教育を受けている。頑張る姿がいいのだ。
学園を卒業と同時に結婚という事になったが、それはそれで俺達は幸せ。
結婚して5年も経てば、昔が懐かしいと当時の話をしたりする。
キチンと跡継ぎもいます。
阿呆にならないように、変な女に引っかからないように教育しようと強く思います。
余談ですが、廃太子となったオーウェン元皇太子殿下はミエ嬢を伴って北の別荘にこもっているそうです。
一応王家だから、働かなくても最低限食べていけるけど、予算を決めて無駄遣いしないようにしてます。ミエ嬢の目的が王妃になって贅沢の限りを尽くすようだったので…。
1,300
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(4件)
あなたにおすすめの小説
初めまして婚約者様
まる
恋愛
「まあ!貴方が私の婚約者でしたのね!」
緊迫する場での明るいのんびりとした声。
その言葉を聞いてある一点に非難の視線が集中する。
○○○○○○○○○○
※物語の背景はふんわりしています。スルッと読んでいただければ幸いです。
目を止めて読んで下さった方、お気に入り、しおりの登録ありがとう御座いました!少しでも楽しんで読んでいただけたなら幸いです(^人^)
復讐は静かにしましょう
luna - ルーナ -
恋愛
王太子ロベルトは私に仰った。
王妃に必要なのは、健康な肉体と家柄だけだと。
王妃教育は必要以上に要らないと。では、実体験をして差し上げましょうか。
侯爵令嬢は限界です
まる
恋愛
「グラツィア・レピエトラ侯爵令嬢この場をもって婚約を破棄する!!」
何言ってんだこの馬鹿。
いけない。心の中とはいえ、常に淑女たるに相応しく物事を考え…
「貴女の様な傲慢な女は私に相応しくない!」
はい無理でーす!
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
サラッと読み流して楽しんで頂けたなら幸いです。
※物語の背景はふんわりです。
読んで下さった方、しおり、お気に入り登録本当にありがとうございました!
今、目の前で娘が婚約破棄されていますが、夫が盛大にブチ切れているようです
シアノ
恋愛
「アンナレーナ・エリアルト公爵令嬢、僕は君との婚約を破棄する!」
卒業パーティーで王太子ソルタンからそう告げられたのは──わたくしの娘!?
娘のアンナレーナはとてもいい子で、婚約破棄されるような非などないはずだ。
しかし、ソルタンの意味ありげな視線が、何故かわたくしに向けられていて……。
婚約破棄されている令嬢のお母様視点。
サクッと読める短編です。細かいことは気にしない人向け。
過激なざまぁ描写はありません。因果応報レベルです。
婚約破棄ですって?私がどうして婚約者になったのか知らないのかしら?
花見 有
恋愛
「ダーシャ!お前との婚約を破棄する!!」
伯爵令嬢のダーシャ・パレデスは、婚約者であるアーモス・ディデス侯爵令息から、突然に婚約破棄を言い渡された。
婚約破棄ですって?アーモス様は私がどうして婚約者になったのか知らないのかしら?
旦那様から出て行ってほしいと言われたのでその通りにしたら、今になって後悔の手紙が届きました
睡蓮
恋愛
ドレッド第一王子と婚約者の関係にあったサテラ。しかし彼女はある日、ドレッドが自分の家出を望んでいる事を知ってしまう。サテラはそれを叶える形で、静かに屋敷を去って家出をしてしまう…。ドレッドは最初こそその状況に喜ぶのだったが、サテラの事を可愛がっていた国王の逆鱗に触れるところとなり、急いでサテラを呼び戻すべく行動するのであったが…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ちょっと、ざまぁが緩すぎるかと…
他の方も仰られてますが、王族の生活費は民の税金です。こんな阿呆な皇太子に税金を使うのは…
皇太子は幽閉の上いずれは毒杯、そして件の令嬢は言わば嘘の証言で混乱を招き皇太子を廃太子させた罪で処刑、その際にちゃんと侯爵令嬢の無実を証明した上で証言したその他は罰金もしくは、侯爵令嬢へ謝罪の上慰謝料の支払い。
それくらいしないと…
ラクガキってwww公共物破損とかですね( ゚∀゚)・∵ブハッ!!