辺境はいいところです~実家に戻りたくありません

satomi

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3.辺境伯様のお邸に到着です

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 本来は馬で辺境伯様のお邸まで行くものなのでしょうか?私も乗馬の練習をしなくてはなりませんね。
 蹄の音が近づいてきます。
「キャシーちゃん、辺境伯様のお邸まで行くなら、馬に乗らないかい?」
 昨日お世話になった宿屋のお客様からのいいお話です。馬に乗れば確かに楽に辺境伯様のお邸まで行くことが可能なんでしょう。でもなんだか自力でいかなくてはいけないような気がします。
「とてもいいお話なのですが、楽をしてはいけない気がするのです。自力で行くことに意味があるように思いますので、せっかくのお誘いですが申し訳ありません。断らせていただきます」
 えーっと私は一応伯爵令嬢だから、そうそう不敬にならないわよね?かなりドキドキするのは気のせいかしら?
 昨日の宿のお客様は「そうか」と言い、馬でそのまま辺境伯様のお邸まで行ったようです。せっかくですから、馬ちゃんのお名前を伺えば良かったなぁと思います。毛並みもよい、いい馬だったんですよね。実家では厩所での仕事もしていましたので、馬は好きです。


 女将さんに頂いた昼ご飯(弁当)もなくなり、太陽も陰ったころに私はやっと辺境伯様のお邸に到着しました。女将さんにせっかくいただいた靴もなんだかボロボロになりました。前から履いている靴では到着できなかったかも……。
「お待ちしていました。キャシー=ホワイト様」
 私はまだ名乗ってもいないのに・・・。この使用人の数!流石辺境伯様ねぇ。
「私エマがキャシー様の身の回りのお世話をさせていただきます!よろしくお願いいたします!」
 今までそんな人いなかったから、緊張するよ~。
「私が侍女長のナーヴァと申します。何か不都合なことがあればご遠慮なく私におっしゃってください!」
「ゴホン、私は執事長をしてます。リドルと申します。お邸の事なんでもご遠慮なく私でもナーヴァにでもご相談ください」
 人数が多くて、顔と名前を一致させるのに時間かかりそう。とりあえず、今の3人はわかった。…と思う。

「私が辺境伯のレイリー=リチャードソン=ヴェナス。よろしくね。キャシーちゃん。さっきはゴメンね、普通に試すみたいにして。私はたまに街に出て様子を見るんだ。あの宿は私の息がかかった宿だよ。女将は私の部下だ」
 思わず(?)レイリー様を睨んでしまう。
「あ、そうだ!さっきの馬ちゃんのお名前を教えてください!スゴイいい馬ですよね?」
「そういえば、報告書に君が実家では馬の手入れなんかもしているって書いてあったな」
「お恥ずかしい」
「特に名前は付けていないが……」
「男の子ですか?女の子ですか?」
「食いつきがいいな。あいつは男だ」
「でしたら……リックはどうですか?ちゃんと熟考したんですよ?ここまでの道々考えてました」
 ただ歩くのは、疲れるし、暇だから。
「あいつに伝えるけど、あいつはけっこう荒いからなぁ。気に入らなかったら結構怒ると思う」
「まぁ、キャシー様に名付けられるだけでも光栄なことなのに。なんて贅沢な馬なのでしょう?」
「俺に言わないでくれ」
 辺境伯様の普段の一人称は‘俺’なんですね。男らしくてそっちの方が私は好ましく思います。

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