お役御免の『聖女』の生き様

satomi

文字の大きさ
7 / 17

7.魔物の仕組み


 よく話を聞くと、世の中に陰の気、瘴気が溜まるのが原因となって普通の獣が変化してしまうのが魔物らしい。
 『聖女』はその瘴気を浄化するのが仕事のようです。

 ふむふむ。私は瘴気を浄化すればいいのね。
 ちなみに私を失ったタフラス王国は瘴気を浄化する人間がいなくなったことで魔物には物理的に対抗しなければならなくなっただろう。とエヴァンス皇子に教えてもらった。あの国の行く末なんか興味ないけどさ。

 魔物と物理的に対抗するのはかなり命懸けらしい。―――私なら嫌だ。
 獣と対抗するのは容易だが、魔物となると全然要領が異なるとエヴァンス皇子は言う。
「そういう意味でもリカの存在はこの国には非常に有難いことなんだ。シークンス兄上はリカをただの平民の女だと思っているみたいだけどな」
 そう言って悪戯っ子のように笑うエヴァンス皇子はレアです。できるなら国境を守る信者の方にも見せたい。

「国中の瘴気を浄化するとは、口で言うのは簡単だけど、これでも帝国は広いからな」
 馬車で移動でしょうか?面倒だなぁ。
「私が浄化魔法の範囲を広げることができればいいんですよね!」
 馬車で移動するのも、面倒だと思っていることも黙っておこう。

 私は帝国の地図を拝借し、地図の国境をなぞるように帝国を囲った。その上で、帝国内に浄化魔法をかけた。

 すると、ある邸からこの世のものとは思えないほどの断末魔の叫びが聞こえた。王城のテラスから様子を窺った。
「あれは……カースター侯爵家だな。侯爵家が魔獣の事件の黒幕だったみたいだな。証拠となる。魔獣は消えてしまったが……」
 カースター侯爵家…どこかで聞いたような……あ!そうだタフラス王国でギャラン王子に‘真実の愛’とか言って言い寄ってた令嬢がカースター侯爵家の令嬢!
「エヴァンス皇子、魔獣の供給元はタフラス王国のカースター侯爵家だと思います。今のタフラス王国は魔獣が産まれ放題ですからね」
 そう言い残して、私は魔力を使いすぎたようで気絶してしまった。



「なるほどな。タフラス王国産の魔獣を俺の騎士団に引き入れたのか?目的がわからんが。そんなに簡単に騎士団に魔獣を引き入れることができるものだろうか?」
「恐れながら殿下」
「なんだロブ?」
 こいつは護衛としては優秀だが、忠誠心が強すぎるというか……。
「そんな権力を持っているのはシークンス様と陛下のお二人かと……。さらに、陛下は除外するとしたら、黒幕はシークンス様という事に……」
「陛下を除外する理由がわからないが、シークンス兄上か……。確かに兄上は俺のことをよく思ってないだろうな。俺の方が民衆からの支持があるからな。貴族からの支持は知らないが」
「エヴァンス様は貴族からの支持も得ております。そう考えると、王位継承権を持つものとしてエヴァンス様は邪魔なのでは?」
「言葉が過ぎるぞ!」
「申し訳ありません」
 とは言うものの、シークンス兄上かぁ。あり得るだけに相手にするのが面倒だなぁ。リカが『聖女』だという事は黙っておこう。『聖女』だと分かれば、兄上にどう使われるものだかわからない。あやうい能力だ。

感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

(完結)モブ令嬢の婚約破棄

あかる
恋愛
ヒロイン様によると、私はモブらしいです。…モブって何でしょう? 攻略対象は全てヒロイン様のものらしいです?そんな酷い設定、どんなロマンス小説にもありませんわ。 お兄様のように思っていた婚約者様はもう要りません。私は別の方と幸せを掴みます! 緩い設定なので、貴族の常識とか拘らず、さらっと読んで頂きたいです。 完結してます。適当に投稿していきます。

すみっこ婚約破棄同盟〜王子様による婚約破棄のすみっこで〜

まりー
恋愛
   ある夜会で王子とその側近達の婚約破棄が行われた。腕に恋人をぶら下げて。所謂、王道断罪劇である。  でもこのお話の主役は麗しのヒロインでも、キラキラ王子でも、学園一の秀才や騎士団期待のホープでもない。これは王道のすみっこで行われた、弱小貴族と商人の子息たちの婚約破棄のお話である。 _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 「もう俺ら、恋なんてしない!」と言う小学生の息子の話を参考に書きました。登場人物の男子たちの頭は小学生レベルだと思って読んでください。    

夫に欠陥品と吐き捨てられた妃は、魔法使いの手を取るか?

里見
恋愛
リュシアーナは、公爵家の生まれで、容姿は清楚で美しく、所作も惚れ惚れするほどだと評判の妃だ。ただ、彼女が第一皇子に嫁いでから三年が経とうとしていたが、子どもはまだできなかった。 そんな時、夫は陰でこう言った。 「完璧な妻だと思ったのに、肝心なところが欠陥とは」 立ち聞きしてしまい、失望するリュシアーナ。そんな彼女の前に教え子だった魔法使いが現れた。そして、魔法使いは、手を差し出して、提案する。リュシアーナの願いを叶える手伝いをするとーー。 リュシアーナは、自身を子を産む道具のように扱う夫とその周囲を利用してのしあがることを決意し、その手をとる。様々な思惑が交錯する中、彼女と魔法使いは策謀を巡らして、次々と世論を操っていく。 男尊女卑の帝国の中で、リュシアーナは願いを叶えることができるのか、魔法使いは本当に味方なのか……。成り上がりを目論むリュシアーナの陰謀が幕を開ける。 *************************** 本編完結済み。番外編を不定期更新中。

『お前の針仕事など誰でもできる』——なら社交界のドレスの裏地を、めくってごらんなさい

歩人
ファンタジー
「地味な針仕事しかできない令嬢は要らない」——公爵家の嫡男にそう言い渡された伯爵令嬢ティナは、 裁縫道具だけを持って屋敷を出た。その翌週、社交界が凍りつく。王妃の夜会服も、公爵令嬢の舞踏会 ドレスも、第一王女の外交用ローブも——仕立てた職人が消えたのだ。しかもティナが十年かけて縫った 全てのドレスの裏地には、二重縫いで隠された署名が残されていて——。 辺境の小さな仕立て屋で穏やかに暮らすティナの元に、王都から使者がやってくる。

婚約破棄を突き付けてきた貴方なんか助けたくないのですが

夢呼
恋愛
エリーゼ・ミレー侯爵令嬢はこの国の第三王子レオナルドと婚約関係にあったが、当の二人は犬猿の仲。 ある日、とうとうエリーゼはレオナルドから婚約破棄を突き付けられる。 「婚約破棄上等!」 エリーゼは喜んで受け入れるが、その翌日、レオナルドは行方をくらました! 殿下は一体どこに?! ・・・どういうわけか、レオナルドはエリーゼのもとにいた。なぜか二歳児の姿で。 王宮の権力争いに巻き込まれ、謎の薬を飲まされてしまい、幼児になってしまったレオナルドを、既に他人になったはずのエリーゼが保護する羽目になってしまった。 殿下、どうして私があなたなんか助けなきゃいけないんですか? 本当に迷惑なんですけど。 拗らせ王子と毒舌令嬢のお話です。 ※世界観は非常×2にゆるいです。     文字数が多くなりましたので、短編から長編へ変更しました。申し訳ありません。  カクヨム様にも投稿しております。 レオナルド目線の回は*を付けました。

とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜

入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】 社交界を賑わせた婚約披露の茶会。 令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。 「真実の愛を見つけたんだ」 それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。 愛よりも冷たく、そして美しく。 笑顔で地獄へお送りいたします――

悪役令嬢は間違えない

スノウ
恋愛
 王太子の婚約者候補として横暴に振る舞ってきた公爵令嬢のジゼット。  その行動はだんだんエスカレートしていき、ついには癒しの聖女であるリリーという少女を害したことで王太子から断罪され、公開処刑を言い渡される。  処刑までの牢獄での暮らしは劣悪なもので、ジゼットのプライドはズタズタにされ、彼女は生きる希望を失ってしまう。  処刑当日、ジゼットの従者だったダリルが助けに来てくれたものの、看守に見つかり、脱獄は叶わなかった。  しかし、ジゼットは唯一自分を助けようとしてくれたダリルの行動に涙を流し、彼への感謝を胸に断頭台に上がった。  そして、ジゼットの処刑は執行された……はずだった。  ジゼットが気がつくと、彼女が9歳だった時まで時間が巻き戻っていた。  ジゼットは決意する。  次は絶対に間違えない。  処刑なんかされずに、寿命をまっとうしてみせる。  そして、唯一自分を助けようとしてくれたダリルを大切にする、と。   ────────────    毎日20時頃に投稿します。  お気に入り登録をしてくださった方、いいねをくださった方、エールをくださった方、どうもありがとうございます。  とても励みになります。