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9.拉致されちゃった
しおりを挟む「申し訳ございません!リカ様が何者かに拉致されてしまいました!」
俺はため息をついた。犯人はまぁ、シークンス兄上とカースター侯爵だろうな。女子トイレからリカを拉致する技量がある女性騎士がいるのは…カースター侯爵か?―――俺は自分の騎士団員を思い起こしても、他の騎士団員を思い起こしても女性はいなかった。……こういう時に備えての女性騎士というのも重要になってくるな。護身術を身につけている侍女でも構わない。とにかく戦うことができる女性が重要だな。
「リカの居場所には大体の目星がついているから安心しろ。連中もリカを粗末に扱う事はしない。むしろ丁重に扱うはずだ」
気づくと私は知らないオッサンの前にいた。誰?
「私はカースター侯爵。以後お見知りおきを『聖女』様」
気持ち悪―。なんなの?このオッサン?
「私を無理矢理連れて来てこの扱いは何なの?無理矢理ってところが気に入らない。元に戻してよ。(そして、トイレに行きたい)」
「すいませんがそれはできかねますな」
「膀胱炎になるじゃない!」
「ぼうこうえん?」
このせかいの医療レベルだと膀胱炎も知らないの?医学的解剖もしてなさそう。
「とりあえず、トイレに行かせてよ」
「そのくらいでしたら、何なりと。このお方をお連れして」
私が連れて行かれたトイレは何と言うか、ただの箱?災害時に使うやつ?そしてトイレが広くない?
「気が散るから、一人にしてよ」
「いいえ『聖女』様の排出物は一体何色なのかをしかと拝見したいと思います!」
ウエーッ!この調子じゃ、私を元の部屋に戻した後に、匂いやら味やらも確かめそう。そこらの人と変わらないのに。
「それでは『聖女』リカ様。こちらにお召変え下さい」
なんだか豪華な部屋に連れられて、私は着替えさせられた。見るんじゃないわよ!お金取るわよ?さっきと同じ理由なんでしょ?
何この衣装は?全部シルク?爪で引っ掻いたらヤバイやつじゃない?無駄にヒラヒラしてるし、白?何なの?
「いやだなぁ?わかってる癖に!ウェディングドレスですよ!」
はぁ!全くわかってなかったんですけど?あのオッサンと結婚すんの?絶対嫌なんですけど?
「流石は『聖女』様ですね。白がお似合いだ」
オッサンは白いタキシードを着ていなかったので一安心。じゃあ、花婿は誰なのよ?
「私は誰と結婚するんですか?」
「誉れ高くも次期この国の国王となられるお方ですよ」
「ああ、いい年して立太子も出来ていない3兄弟の長男。……はぁ?嫌なんですけど?」
「『聖女』様は口が悪くていらっしゃる。シークンス様は立派な方ですよ」
貴族にはね。
という事は、一時的にでも王宮に戻る事ができるという事で、エヴァンス皇子の助けを呼ぶこともなく、自らエヴァンス皇子の元に飛び込む感じ?好都合。
「もちろん式は王宮で行うんですよね」
「もちろん!あの市井の者の話を聞くような野蛮なエヴァンスやヴェールスなんかは招待していません。招待しているのは高貴な身分の今後の政を支えていくような方々のみです」
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