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第0章
第1話: テイラー
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(ウッ.....)
鳴り響く警報の中、1人の青年が足を止める。
(クラクラする……。まただ……。クソッ……。頻度が増してきてやがる……。)
青年は膝をつき、目を瞑る。
(頭が……。ボーッとする……。)
(あれ……?ここはどこだ……?なぜ俺はここに立ってる……?)
目を開けた青年は辺りを見回す。
すると、10メートルほど先を走っていた仲間のうちの1人が足を止め、こちらに向かって大声で叫ぶ。しかし、警報でかき消されそうだ。
「おい、テイラー!!!何やってるんだ!!!」
その声によって青年はハッと気がつく。あれはライアンの声だ。
「あー、大丈夫だ。」
テイラーと呼ばれたその青年は再び走り出す──。
─────────────────
これは、どこかの星の遠い未来の物語である。
世界は限りある資源であるミレクリスタルに支えられていた。
しかし、今や市民は豪族に支配、管理されている。
ごく一部の豪族がミレクリスタル所有権を掌握しているため、テイラーたち義賊が彼らからミレクリスタルを奪い、コミュニティに分け与えているのだった。
今回も義賊の大手柄であった。
「いつもありがとう!」
テイラーたちは民衆からの大喝采で迎えられた。
──夜、難民キャンプにて。
「今日も間一髪だったな。でも、おかげで貴族どもからまた資源をぶん取ってやれた。俺たちのコミュニティも少しずつだが豊かになっていってる。嬉しいことじゃないか。」
皆から少し離れて座り俯いているテイラーの背中をそう言いながら叩き、骨付き肉を手渡してきたのはライアンだった。
「あ、ああ…」
「どうした?浮かない返事だな。何か悩み事でもあるのか?俺に話してみろよ。」
そう言うとライアンは何かを察したかのようにハハーンという顔をすると、少し離れて座っているブロンドでポニーテールの少女の横顔をニヤリとしながらチラッと横目で見た。
「エリサのことだろう?俺とお前の仲だ。内緒にしといてやるよ。」
テイラーは頬を赤くし、
「はぁ?!ち、違う!!!」
その顔を見てライアンは爆笑していた。
「やっといつものお前に戻ったw」
涙を拭きながら彼はそう呟いた。
「俺はちょっと用があるんでな。また後でな。」
そう言うとライアンはどこかへ姿を消した。
今は宴の真っ最中。
向こうでは、キザなお調子者の双子、ヒューイとドゥーイが食べ物の取り合いをしている。
周りは賑やかな筈なのに、彼にはとても静まり返って感じられた。
彼は再び物思いにふける。
(思えば、最初の異変を感じたのは半年くらい前のことだった。
いつもの逃走ルートの筈だったのに初めて道に迷ったのだ。
あの時は本当に焦った。
追っ手に捕まるギリギリのタイミングで何とか道を思い出し難を逃れることが出来たが。
あれからと言うもの、俺はあらゆることに慎重になった。
忘れそうになったら腕にメモをすることは数え切れないくらいしてきたと思う。
それで現在に至るまで何とか誤魔化してきたつもりだ。
だが、最近は限界を感じ始めてきた。
周りにバレるのも時間の問題だ。
いや、もう既にバレてるかもしれない。
ライアンや他の皆んなが──。
でも、俺はこの仕事を辞めるわけにはいかないんだ。
何としても。
俺には年端のいかない弟と病床のお袋がいる。
もしも、俺がいなくなったら──。)
テイラーは夜空を見上げた。綺麗な星空が彼の顔を照らした。
鳴り響く警報の中、1人の青年が足を止める。
(クラクラする……。まただ……。クソッ……。頻度が増してきてやがる……。)
青年は膝をつき、目を瞑る。
(頭が……。ボーッとする……。)
(あれ……?ここはどこだ……?なぜ俺はここに立ってる……?)
目を開けた青年は辺りを見回す。
すると、10メートルほど先を走っていた仲間のうちの1人が足を止め、こちらに向かって大声で叫ぶ。しかし、警報でかき消されそうだ。
「おい、テイラー!!!何やってるんだ!!!」
その声によって青年はハッと気がつく。あれはライアンの声だ。
「あー、大丈夫だ。」
テイラーと呼ばれたその青年は再び走り出す──。
─────────────────
これは、どこかの星の遠い未来の物語である。
世界は限りある資源であるミレクリスタルに支えられていた。
しかし、今や市民は豪族に支配、管理されている。
ごく一部の豪族がミレクリスタル所有権を掌握しているため、テイラーたち義賊が彼らからミレクリスタルを奪い、コミュニティに分け与えているのだった。
今回も義賊の大手柄であった。
「いつもありがとう!」
テイラーたちは民衆からの大喝采で迎えられた。
──夜、難民キャンプにて。
「今日も間一髪だったな。でも、おかげで貴族どもからまた資源をぶん取ってやれた。俺たちのコミュニティも少しずつだが豊かになっていってる。嬉しいことじゃないか。」
皆から少し離れて座り俯いているテイラーの背中をそう言いながら叩き、骨付き肉を手渡してきたのはライアンだった。
「あ、ああ…」
「どうした?浮かない返事だな。何か悩み事でもあるのか?俺に話してみろよ。」
そう言うとライアンは何かを察したかのようにハハーンという顔をすると、少し離れて座っているブロンドでポニーテールの少女の横顔をニヤリとしながらチラッと横目で見た。
「エリサのことだろう?俺とお前の仲だ。内緒にしといてやるよ。」
テイラーは頬を赤くし、
「はぁ?!ち、違う!!!」
その顔を見てライアンは爆笑していた。
「やっといつものお前に戻ったw」
涙を拭きながら彼はそう呟いた。
「俺はちょっと用があるんでな。また後でな。」
そう言うとライアンはどこかへ姿を消した。
今は宴の真っ最中。
向こうでは、キザなお調子者の双子、ヒューイとドゥーイが食べ物の取り合いをしている。
周りは賑やかな筈なのに、彼にはとても静まり返って感じられた。
彼は再び物思いにふける。
(思えば、最初の異変を感じたのは半年くらい前のことだった。
いつもの逃走ルートの筈だったのに初めて道に迷ったのだ。
あの時は本当に焦った。
追っ手に捕まるギリギリのタイミングで何とか道を思い出し難を逃れることが出来たが。
あれからと言うもの、俺はあらゆることに慎重になった。
忘れそうになったら腕にメモをすることは数え切れないくらいしてきたと思う。
それで現在に至るまで何とか誤魔化してきたつもりだ。
だが、最近は限界を感じ始めてきた。
周りにバレるのも時間の問題だ。
いや、もう既にバレてるかもしれない。
ライアンや他の皆んなが──。
でも、俺はこの仕事を辞めるわけにはいかないんだ。
何としても。
俺には年端のいかない弟と病床のお袋がいる。
もしも、俺がいなくなったら──。)
テイラーは夜空を見上げた。綺麗な星空が彼の顔を照らした。
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