スキル【等価交換】で異世界商会革命!元社畜、現代知識でざまぁ成り上がる!

かしおり

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第7話:白銀の顕現、魂の絆再び

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ユウトが葛藤している、まさにその時だった。

「「「グウウウオオオオオオオオッ!!!」」」

突如、天を裂くような、しかしどこか神聖ささえ感じる咆哮が広場に響き渡った。
まるで空気そのものが凍りついたような強烈な威圧感が広場を支配し、チンピラたちの動きが、ピタリと止まる。
これは……ただの獣ではない――魔力を持つ“何か”だ!
周囲の人々も、何事かと息を呑んだ。

そして、どこからともなく現れた一体の獣が、チンピラたちの前に立ちはだかった。
月光を浴びたかのように美しく輝く、白銀の毛並み。
しなやかで力強い四肢。
鋭い牙を剥き、蒼く澄んだ瞳でチンピラたちを射抜くその姿は、狼――いや、それよりも遥かに大きく、そして神々しい。
エンシェント・フェンリル。
伝説に謳われる、気高く強力な魔獣だ。

「な、なんだこいつは……!?」

チンピラたちは、その圧倒的な存在感と殺気に完全に気圧され、腰を抜かさんばかりに後ずさる。
リーダー格の男でさえ、顔面蒼白だ。

フェンリルは低い唸り声を上げ、一歩、また一歩とチンピラたちに詰め寄る。
その圧力に耐えきれず、チンピラたちは

「ひぃっ!」
「た、助けてくれー!」

と情けない悲鳴を上げながら、蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていった。

◇ ◇ ◇

騒ぎが収まり、広場に静けさが戻る。
助けられた獣人の行商人は、茫然とその場に座り込んでいた。
周囲の人々も、あまりの出来事に声も出ない様子で、ただ遠巻きにその神々しい魔獣を見つめている。

そのエンシェント・フェンリルが、ゆっくりと優斗の方へ向き直った。
そして、トテトテ、と巨体に似合わぬ可愛らしい足取りで近づいてくる。
優斗は、本能的な恐怖と、しかしそれ以上に強い、魂が震えるような懐かしさに襲われた。
まさか、と思う。しかし、その期待を裏切るように、現実はさらに信じられない光景を彼に見せつけた。

フェンリルは優斗の目の前まで来ると、その大きな体を優斗にすり寄せ、「クゥン」と甘えたような、どこか切なげな声を漏らした。
そして、ペロリと優斗の頬を舐める。
その仕草。
その温もり。
その、真っ直ぐに自分を見つめる、蒼く澄んだ瞳の色。

「……ルミア……?」

かすれた声で、優斗はその名を呼んだ。
間違えるはずがない。
姿形は変わってしまっても、魂が覚えている。
目の前にいるのは、まぎれもなく、自分の愛犬だったルミアだ。

「ルミア……! 本当に、ルミアなんだな……!」

涙が、堰を切ったように溢れ出した。
優斗は、その白銀の美しい毛並みに顔をうずめ、力いっぱいルミアを抱きしめた。
ルミアもまた、嬉しそうに「クンクン」と鼻を鳴らし、優斗の首筋に顔を押し付けてくる。

周囲の人々は、強力な魔獣がごく普通の青年にじゃれついているという、信じられない光景に言葉を失っている。
だが、今の優斗には、そんなことはどうでもよかった。

(ルミア……! 会いたかった……! 本当に、会いたかったんだ……! こんなに立派になって……! そうか、女神様は、こういう形でルミアを俺の元へ……! これなら、この世界でも……! きっと、何とかなる!)

絶望的なMP不足。心許ない所持金。右も左も分からない異世界。
そんな不安の全てが、この温かい毛並みの前では些細なことに思えた。
最強の相棒。
かけがえのない家族。
ルミアという絶対的な存在を得たことで、優斗の心には、確かな希望の光と、この異世界で生き抜いていくための強い勇気が、力強く湧き上がってくるのだった。

(ありがとう、ルミア。お前がいてくれれば、俺は……。よし、まずはギルドへ行こう。冒険者として、そして商人として登録するんだ。生きていくために、そして――この世界で、ちゃんと立って歩いていくために!)

優斗は涙を拭い、決意を新たにする。
隣には、信頼に満ちた瞳で彼を見上げる、白銀の相棒がいた。
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