スキル【等価交換】で異世界商会革命!元社畜、現代知識でざまぁ成り上がる!

かしおり

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第15話:銀狼の威嚇と等価交換の報復

「やめろ!」

ユウトが制止の声を上げるよりも早く、傍らで静かに客の往来を眺めていたルミアが猛然と立ち上がった。

「「「グルルルルルルルッ!!!」」」

地響きのような低い唸り声と共に、エンシェント・フェンリルの持つ圧倒的な威圧感が周囲に放たれる。
ルミアの一睨みに、市場全体の空気が凍りついたかのようだった。風すら止まり、先ほどまで騒がしかった周囲の物音も、一瞬にして掻き消える。
その場にいた全ての者が、本能的に理解した。これはただの獣ではない、と。
ボルック商会の下っ端たちは、その剥き出しの殺気に当てられ、一瞬にして顔面蒼白になった。

「ひぃっ! な、なんだこの魔獣は……!?」
「ば、化け物だ……!」

リーダー格の男でさえ、手にしていた短剣を取り落としそうになりながら、後ずさっている。
彼らがこれまでミレルナで威張り散らしてこられたのは、相手が自分たちより弱いと分かっていたからに過ぎない。
本物の「力」を前にしては、ただの小悪党でしかなかった。

(ナイスだ、ルミア! さすが俺の相棒!)

優斗は内心で喝采を送りつつ、この機を逃すまいと行動に移る。
MPは相変わらずカツカツだが、こういう時のために僅かながら温存しておいたのだ。
ここで一泡吹かせなければ、彼らは何度でもやってくるだろう。

「おっと、商品を勝手に触らないでいただけますか? それと……あなた方のその立派な剣、少し錆びついていませんか? よろしければ、私のスキルで綺麗にして差し上げましょうか?」

優斗はニヤリと笑い、【等価交換】を密かに発動させた。
対象は、リーダー格の男が腰に差している、それなりに値の張りそうな長剣。
イメージするのは、その剣が、見かけは同じだが中身はボロボロの、刃こぼれし、赤黒い錆が浮いたナマクラに変わる様。

男が自分の剣に目を落とした瞬間、その表情が驚愕に変わった。
慌てて剣を抜くと、そこには先ほどまでの鈍い輝きはなく、見るも無残な鉄屑があった。

「なっ……俺の剣が……!? い、いつの間に……!」

さらに優斗は、別の下っ端が懐に隠し持っていた革袋――おそらく今日の「挨拶料」をせしめるためのものだろう――に狙いを定める。
イメージは、中の硬貨が、ただの丸い石ころに変わる様。

「ついでに、そちらの方の懐も少し軽くなったかもしれませんね? 今日の売上は、石ころ数個でしたか?」

下っ端が慌てて革袋を確認すると、中からはジャラジャラと音を立てて、ただの丸い石ころが数個転がり落ちた。
周囲で見物していた他の露天商や子供たちから、どよめきと、押し殺したような笑い声が起こる。

「おい、見たか? あの兄ちゃんの力……」
「剣が錆びて、金が石に……!? あれは魔道具か何かか?」
「すげー! 魔法使いみたいだ!」

そんな囁き声が、優斗の耳にも届いた。
効果は絶大なようだ。

「こ、こいつ……! 何をしやがった!」
「ま、魔法か!? いや、こんな不可解なスキル、聞いたことがないぞ……!?」

下っ端たちは完全にパニックに陥っている。
ルミアの威圧と、目の前で起きた不可解な現象。
もはや彼らに、優斗に逆らう気力は残っていなかった。

「さあ、これ以上私たちの商売の邪魔をするなら、あなた方の持っているものが、次はもっと面白いものに変わるかもしれませんよ? 例えば……そうですね、その立派な服が、ボロきれになるとか」

優斗の言葉は、彼らにとって悪魔の囁きに聞こえただろう。

「お、覚えてろよぉぉっ! ボルック様が黙っちゃいねえぞ!」

リーダー格の男はそう捨て台詞を残し、仲間たちと共に蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていった。
あっけない幕切れだった。

(ふぅ……何とかなったか。MPはほとんど空だけど、それだけの価値はあったな。それにしても、あの剣と財布の中身……俺のスキル、使い方次第では結構えげつないことできるな……。気をつけないと)

周囲で見守っていた他の露天商や客たちからは、驚嘆と、ほんの少しの称賛、そして何よりも「ユウト=不思議なスキルを持つ謎の若者」という畏怖の念が入り混じった視線が向けられていた。

「兄ちゃん、大したもんだな!」
「あのボルック商会の連中を追い返すとは、見直したぜ!」

中には、こっそりと優斗の石鹸を「厄除けに」と買いに来る者も現れ始めた。
小さな「ざまぁ」ではあったが、確実にミレルナの市場に一石を投じた瞬間だった。

(ボルック商会――ただの市場のチンピラじゃない。あいつらの背後には、もっと厄介な奴らがいるかもしれない……。今日のところは追い返せても、次はどうなるか分からないな……。もっと力を、そして仲間を増やさないと……)

優斗はルミアの頭を撫でながら、次なる戦いへの覚悟と警戒を新たにする。
ボルック商会という明確な敵の存在を、改めて強く認識した一日だった。
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