スキル【等価交換】で異世界商会革命!元社畜、現代知識でざまぁ成り上がる!

かしおり

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第26話:ミカド商会の躍進と黒い噂

リヴィアが本格的にミカド商会の運営に参画してからというもの、ユウトのビジネスは目覚ましい勢いで成長を始めていた。

高品質な石鹸は、リヴィアの戦略通り、富裕層や有力者層に口コミで広がり、やがてミレルナの上流階級で話題の商品となる。
注文は日ごとに増え、作っても作っても追いつかないほどだった。

ユウトは、日々【等価交換】による石鹸の生成に追われながらも、顔にはかつてのような焦燥はない。
むしろ、満たされたような充実感が滲んでいた。

リヴィアの提案で進めていたMP効率化の検証――月の満ち欠けとスキル効率の関係、さらにはルミアとの魔力同調の可能性。
それらも少しずつ成果を見せ始めていた。
たとえば、満月の夜にはほんのわずかにスキル発動が楽になる、という傾向が観測されている。

一方、レンは最初こそ不慣れで戸惑っていたものの、今では倉庫の整理や商品運搬、露店の設営などを黙々とこなす立派な“右腕”となっていた。
ティナも、体調の良い日にはリヴィアに手ほどきを受けながら、商品の包装やラッピングに加わるようになっている。
二人は少しずつ、商会の“家族”としての立ち位置を得ていた。

そして、ルミア――
その白銀の獣は今日も変わらず商会の守護者として傍にいて、時には優斗のMP回復を助けるようにそっと寄り添ってくれていた。
(正直、プラシーボ効果かもしれないが、ルミアがそばにいると明らかに集中しやすくなる)

だが、その好調な滑り出しを、快く思わない者たちもいた。

ミレルナの日用品市場を牛耳ってきたボルック商会――
その当主、デブリン・ボルックは、重々しい体を椅子に沈めながら、ひときわ脂ぎった声で唸っていた。

(あの忌々しい新参者め……! 小僧一人に、これほどまで市場を荒らされるとは……!)

椅子の肘掛けがミシリと軋む。
豊満すぎる腹を揺らし、デブリンは苛立ちを抑えきれない様子で呟いた。

(しかも、あの銀髪の女……どこかで見たことがあるような……いや、気のせいか……?)

だが、もはやどうでもよかった。
問題はただ一つ――“ミカド商会”の存在そのものが、既得権益を侵す“異物”であるという事実。

「このまま放置しておけば、我らの利権が削られる一方だ……ならば――潰すまでよ」

力で屈しない相手には、信用を剥がして潰せばいい。
デブリンは、より陰湿で巧妙な策略を打ち始めた。

 

──数日後。

市場の片隅。小さな酒場で、酔っ払いの男が語り出す。

「おい聞いたか? ミカド商会の石鹸……呪われてるって噂だぜ」

周囲の者たちが、酒瓶を持つ手を止める。

「俺の知り合いなんてな、使っただけで肌が真っ赤にただれたって話だ。夜も眠れないくらい痒くなったってよ。どうも、あの石鹸には“異国の怪しい薬草”が入ってるらしい……」

別の場所では、主婦たちが井戸端会議で声を潜めていた。

「聞いた? ミカド商会の石鹸、魂を吸い取るって……。最近、商業ギルドに“健康被害の投書”が相次いでるって噂よ。しかも、ギルドの薬師様が『正体不明の成分が検出された』って……本当なのかしら」

それらはすべて――

巧妙に仕組まれた“嘘”だった。

ボルック商会が金で雇ったサクラたちが流し、買収された者たちが尾ひれをつけて広めた噂。
だが人々は、それが虚構かどうかなど気にも留めない。
ただ“気味が悪い”という感情と、“誰かが言っていた”という曖昧な情報だけで、ミカド商会の商品を遠ざけ始めた。

かつての常連客たちが、購入をためらうようになり、新規の注文も急減。
露店には、前とは違う静けさが訪れ始めていた。

さらにボルック商会は、ミカド商会が原材料を仕入れていた問屋や商人にまで圧力をかけ、取引停止に追い込んでいく。

商業ギルド内部でも、彼らと癒着した役人たちが、不自然な「調査」や「監査」をちらつかせるようになった。

(……くそっ。やっぱりボルック商会の仕業か)

優斗は、静まり返った露店で、売れ残った石鹸を見つめながら奥歯を噛みしめた。

(今度は力じゃなく……“噂”と“圧力”か……)

手強い。
見えない敵と、姿のない刃で戦わされている感覚。
これまでの努力が、少しずつ無言で切り崩されていく。

このままでは本当に、ミカド商会は潰されてしまうかもしれない。
成功の兆しが見えていた矢先に――再び、理不尽な力が牙を剥こうとしていた。

そして――
それでも諦めないために、ユウトには次の一手が必要だった。
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