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大学生 編
不在
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部長たち四人は、言っていた通り、誰も部室に来なかった。
有馬部長だけ、顔を見せにきてくれたが、すぐにまたでなければいけないらしくあまり話もできないようだった。だけど、体調が戻った様子で良かった。
「有馬部長、もう大丈夫ですか?」
「ええ、宇佐木氏のおかげで、助かりましたぞ」
「え? それ何の話スか?」
初耳、という狼谷に、簡単に事の説明をしてやった。ただ、獣耳関係は伏せて、単に薬を渡してやったというだけだが。
「ふぅん?」
「それでも、助かった事には違いありませんからな。宇佐木氏の優しさは、国宝級ですぞ!」
で、また感激した部長に手を握られようとしたのを、狼谷がパシッと手を阻止する。
あれ、今日はちょっと強く叩き落としたな?
部長も、それを感じたらしく、眼鏡を上げながら、狼谷を見た。
「狼谷氏?」
「あっ、いや。すんません」
不思議そうに見られた狼谷は、バツが悪そうにふいと顔をそむけた。
「っていうか、センパイまじお人好しすぎない? オレの時も、迷ってた時に声かけてくれたの、センパイからだったろ。草食なのに、よく声かけてくれたよな」
「困ってたら、可哀想じゃないか」
オレが反論すると、呆れたようなため息が高い所から二つ、聞こえた。
な、なんでため息吐かれたんだ。
「まあ、美徳ではありますが、気をつけて欲しい所ですなあ」
「そうそう。誰彼かまわず助けるんじゃなくて、ひと見てよ。危なっかしいんだから」
「はいはい」
オレが適当に返事すると、二人は苦笑していた。
その後、すぐに有馬部長は出て行った。
狼谷は、何か聞きたげだったが、深く追求してくるような事はなかった。助かった。
次の日も、次の日も。
もちろん、部室にはオレたちしかいなかった。
それでも、オレと狼谷は部室に通っていた。
二人とも、他に行く所が無かっただけ、ともいえるが、案外二人だけのサークル活動も楽しかった。たわいない話をして、アニメや漫画の話をして。
心地良く流れる時間に、来年以降、部長たちが居なくなっても、オレたちは上手くやれると信じて疑わなかった。
だけど。
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